表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
電子少女でも恋がしたい  作者: 古河 聖
2030年6月24日(月)
83/318

第83話「あれは完全に確信犯で煽っている目ですね」

 ついに東京オリンピックが始まりましたね。やむを得ない理由で一年遅れでの開催になりましたが、皆さんはどんな感想をお持ちでしょうか。待ちに待ってました、という方もいれば、まだ治まり切っていない中で本当にやるのか、という方もいるでしょう。様々な意見がある中で迎えた開幕ですが、私は開催出来て良かったのではないかと思います。

 もちろん、こんな情勢の中で人を大勢集めるようなイベントをするのはどうなんだ、という声もわかります。これで事態が悪化したとあっては目も当てられませんからね。ただ、ここで皆さんに考えてほしいのは、出場する選手側の気持ちです。多くのスポーツ選手が目指す夢舞台、オリンピック。しかも日本人選手にとっては、一生に一度あるかないかの自国開催です。自分の国で行われるオリンピックに出場できるなんて、どれほど栄誉なことでしょう。そのチャンスがあるだけでかなりのモチベーションになるはずです。ですがもちろん、全ての選手がいつまでもオリンピックに出られるほどの全盛期を保てるわけではありません。2020年には絶好調で日本代表クラスだった選手が、2021年には怪我で出られないとか、本調子ではなくて代表から落選とか、年齢制限で出られなくなるとか、そういったことが当然起こり得るわけです。もちろん、その逆だってあり得るわけではありますが。それに、トップアスリートクラスになるとオリンピックに自分のピークを合わせたりするそうですが、一年延期になるとそれもまたやり直しですからね。身体もメンタルも作り直しです。それがどれだけアスリートの負荷になるか、見ているだけの皆さんにはなかなか伝わらないでしょう。

 一年の延期がいろんな選手の命運を左右し、時に狂わせ壊してしまうことを考えれば、既に正当に出場権利を獲得している選手の皆さんに、東京オリンピックという大舞台で輝いてほしいと私は思います。五輪が無事に開催できるよう多くの方々が尽力していますし、その努力も報われて欲しいですよね。

 では、スタート。



 会社に到着してから始業までの間の時間に、南川様は早速今朝の野球観戦チケットの件で水戸様を誘いに行きます。

「ねえ水戸、今ちょっといい?」

「おう。朝からどうした、南川」

 こちらが何気に本編初登場、南川様の同期入社の水戸様です。歳も一緒でよく飲みにも行きますので、会社の中では最も親しい方ですね。なお彼女持ちです。

「去年も行ったやつなんだけど、今年も野球のオールスターの観戦チケットが届いてさ」

「あー、あれな。相変わらずスゲーよな、お前の同級生」

「ホントね。で、どう? 今年も二枚寄越しやがったから、暇なら行かない?」

「今年こそ彼女と行けばいいんじゃないか?」

「いないからお前を誘ってるんだろうが……!」

 早速煽られた南川様が音速でブチギレています。あれは完全に確信犯で煽っている目ですね。南川様も南川様で煽り耐性が低すぎです。水戸様の性格を考えればこの展開は読めていたはずなんですけどね。

「ははは、スマンスマン。で、今年はいつなんだ?」

「まったく、すぐ人を煽るなよ……今年は19日と20日だな。貰ったチケットは20日の土曜日の方で、場所は千葉だ」

「あー……スマン、20日は無理だ。その日は彼女と京都の予定だ」

「貴様など炸裂してしまえ」

「爆発じゃなく!? なんかそれ威力下がってないか!?」

 あまりの怒りに語彙力がおかしくなっているようですね。まあ確かに、今の水戸様の言葉はブチギレ必至ですが。仮に自分に恋人がいたとしてもブチギレそうですよね。ですがそうなると、水戸様は一緒に野球を観にはいけないということですね。第一候補にして唯一の候補に断られてしまった南川様はどうするのでしょうか。

「……まあとにかく、俺は無理だから他をの奴を誘ってくれ」

「まじかあ。困ったなあ、水戸に断られる線はあんまり考えてなかった」

「なにかお困りなんですか、先輩?」

 頭を抱える南川様のところに、今さっき会社に到着したばかりの町田がやってきました。割と毎日のように遅刻ギリギリですね、この人。

「町田さんおはよう。今水戸をデートに誘ったんだけど、彼女と旅行だからって断られたところ」

「変な言い方をすんな!」

 まあ、間違ってはいませんよね。

「お、ドロドロBL展開ですか。大歓迎ですよ私は!」

「いや冗談だから真に受けないで!?」

 ドロドロはともかく、BL展開は私も大歓ゲフンゲフン。今のは聞かなかったことにしてください。

「あ、そうだ。俺の代わりに町田さんと行ってきたらどうだ?」

「え、私ドロドロに巻き込まれるんですか」

「その話は南川の冗談だから忘れてくれ! そうじゃなくて、南川から野球観戦に誘われたんだけど、俺はその日彼女と予定があって行けないから代わりに町田さんと行ったらどうって話だよ」

「先輩と野球……つまり球場飯食べ放題ってことですか!? 行きます!」

「その解釈はおかしいよ!? というかいいの!?」

「タダ飯のためならば!」

「いやだから解釈が………!」

 あれはもう完全に飯のことしか考えていない目ですね。南川様が何を言おうと無駄っぽいです。

「ちなみにそれいつですか?」

「ええと、7月20日の土曜日で、場所は千葉だけど」

「来月ですか。でもちょうど給料日前なのでありがたいですね。ぜひ奢ってください!」

「なんで来月の給料日前も既にピンチの前提なの……?」

『来月もガチャで爆死する予定なんじゃないですか?』

「そんな言い方しないであげて!?」

 こうして、南川様と町田が野球デートをすることになりました。まあ、話を聞いている感じ、デートと言う言葉で想像するような雰囲気にはまるでならなそうではありますけどね。南川様のお財布が心配です。私がしっかり財布に紐をしなければ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ