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電子少女でも恋がしたい  作者: 古河 聖
2030年6月23日(日)
80/318

第80話「いい声優さんを起用しています」

 今回は第80話&1.5周年という非常におめでたい回ですね。ここまでやって作中時間がまだ4日も経っていないという衝撃の事実はありますが、これからも変わらずのんびり行きますのでどうぞよろしくお願いします。一応、4日目も今回で終わる予定ですしね。

 ところで、ハーフアニバーサリーという概念について皆さんはどう思いますか。いわゆる半周年とか、X.5周年とかのことです。ソーシャルゲームなどではこれに合わせて記念イベントを行うことも近年増えてきましたし、ゲームに限らなくてもお店とか配信者とかでもセールをしたり大きな企画をやったりということはあるでしょう。

 正直、私はそんなに頻繁に祝わなくてもいいのではないかと思ってしまいます。もちろん、ソシャゲの運営やお店の経営などを半年間続けるだけでも大変なことは重々承知しています。利用者的にも、良いゲーム内アイテムが貰えたり安くものが買えたりするので全然悪い事ではないでしょう。ですがやはり「アニバーサリー」というのは、年に1回の特別だからこそ良いのだと思うのですよ。それを半年ごととかで祝っていては、特別感とか価値とかが薄れる気がするのです。例えば……そうですね、皆さんに身近なところで誕生日で考えてみてください。貴方の誕生日とは別で、半年ごとのハーフバースデーもお祝いされてるとしましょう。年に2回もお祝いされるとか嬉しい限りですね。でもそうすると、自分の本当の誕生日の特別感って薄れませんか。最終的にはどっちが自分の本当の誕生日だかもどうでもよくなりそうです。なんならお祝いされることにさえ飽きてしまうかもしれません。プレゼントだって、年に2回あるならそれぞれのグレードは落ちるんじゃないでしょうか。

 なんでも祝う回数が多ければいいというものではないはずです。年に1回だからこそ、その日を特別に感じて、その日を大切にしたいと思うんじゃないでしょうか。

 では、スタート。



 中ボス前のセーブ地点までゲームを進めて、夕食とお風呂、ついでに日課の筋トレも済ませて時刻は午後8時半。ここからいよいよ中ボスとの大激闘が幕を開けます。

『ナァ、フrrrラペチィーノォォ。いい加減テメェらの相手すんのも疲れて来たンだよォ。いつまでもハエがタカってンのもウゼェし……そろそろ本気で叩き潰してやろうか』

 いつものふざけたような口調から一転、ドスのきいた鋭い声をキリマンジャロが放ちます。なかなかゾワっと来ますね、このギャップ。いい声優さんを起用しています。

「やっぱり中ボスはキリマンジャロか……三日前のトラウマが蘇るね」

『フrrrラペチィーノ要らない子事件のことですね。まあ、キリマンジャロも本気モードのようですし、流石に中ボス戦ではあんな惨劇は起こらないでしょう』

 なんの事件だそれ、と思ったそこの貴方は第13話を見に行くと良いですよ。

「そう信じてやるしかないか……パーティメンバーは前回同様フラペチーノ、カプチーノ、ドッピオ、モカの4人で、今回はちゃんと蘇生アイテムも整えてきたから何回でも死ねるよ」

『どうしてやる前から既に何度もやられる前提なんですか』

「いやだって、ユリが2時間かかる想定してるから」

『あれはシナリオを読む時間も加味した想定ですよ。戦闘時間時間自体はおよそ30分くらいの想定です』

「あ、そうなんだ。それなら案外楽に勝てるのかな……え、シナリオ読むのに1時間半もかかるの!?」

『フルボイスでしっかり聴くとそのくらいかかるボリュームらしいですよ。中盤最大の山場、今回のシナリオの根幹的な話にもなるようなので』

 ネット上にも2回目のキリマンジャロ倒した後のシナリオのボリューム半端ねえ、という声がいくつも溢れていました。そのくらい大事なシーンのようです。それに、ゲームのボイスはフルで聞きたがる南川様なので、多分全部しっかり聴こうとすることでしょう。

「なるほどね……なら、早々にボス戦は終わらせて、大ボリュームのシナリオ満喫して気持ちよく寝ようか!」

『南川様それフラg』

「さあ、行くぞ!」

 私の言葉を遮り、キリマンジャロとの戦闘が開始します。前回同様主人公のフラペチーノを南川様が操作して、他の3人をCPUが動かします。前回同様近接型のフラペチーノはキリマンジャロに接近して剣で攻撃を加えようとしますが、キリマンジャロはこれをステップで回避したり剣でガードしたりしつつ、反撃を加えてきます。前回とはちょっと違う戦い方です。

「ちょっと防御主体の戦い方になってるね。ダメージは通りづらくなったけど、その分こっちもそんなにダメージは食らってないかな」

『これは長期戦の予感ですね』

 フラペチーノの攻撃は割と防がれてしまいますが、代わりに遠距離から弓や魔法で味方が攻撃してくれているので、キリマンジャロの方がHPは早く削れていきます。そうして半分くらい削ったころ、事件は起きました。

『やっぱこういう戦い方は性に合わないンだよナァ!?』

「あ、嘘、ここで秘奥義!?」

 キリマンジャロのセリフと共にカットインが入り、秘奥義演出が始まります。近接していた南川様操るフラペチーノは、どんな秘奥義かわからないのでとりあえず距離を取ります。直後、戦闘フィールドほぼ全域を覆い尽くす隕石のような大魔法が降ってきて、主人公パーティは壊滅しました。

「『…………はい?』」

 南川様と一緒に、思わず自分の(カメラ)を疑ってしまいました。4人とも6、7割くらいは残っていたはずのHPが、一瞬にしてすべてなくなったのです。悪夢のような光景です。

「え、ちょ、なに今の回避不能攻撃! こんなの勝ちようがないじゃん!」

『なにか回避方法を探らないといけないようですね。防御バフをかけるのか、あるいは秘奥義を撃たれる前に一気に削り切るのか……致死ダメージを受けた時にHPを1だけ残して耐える、みたいなスキルもありましたよね。その辺を活用する必要があるかもです』

「……うん。これは本当に長期戦になるやつだ」

 結局、キリマンジャロを倒すまでに2時間くらいかかりました。シナリオを読み切って再びセーブできたのは丁度日付が変わるくらいです。他のやるべきことを既に済ませてあって良かったですね。

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