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電子少女でも恋がしたい  作者: 古河 聖
2030年6月23日(日)
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第79話「そんな標語みたいに言わないでください」

 今週は宝塚記念ですね。年末に行われる有馬記念同様、ファン投票で選ばれた18頭の馬のみが走ることのできるグランプリレースです。有馬記念ほどの知名度があるわけではありませんが、その年の上半期のナンバーワンを決める最高峰のG1レースです。

 そんな宝塚記念を語る上で、みなさんに是非覚えておいて欲しい競走馬が4頭います。彼らの名前だけでも、よければ覚えて帰ってください。

 1頭目はライスシャワー。菊花賞ではミホノブルボンのクラシック三冠を、春の天皇賞ではメジロマックイーンの三連覇を阻み、「悪役(ヒール)」なんて呼び名もついた漆黒の長距離馬(ステイヤー)です。しかし春の天皇賞以降なかなか勝てずに苦しんでいました。そんなライスシャワーが再び脚光を浴びるのは2年後の春の天皇賞。種牡馬入りも検討されましたが小柄な身体や実勢不足を理由に買い手がつかず、もう一度大きなレースに勝つしかないと出走したレースで、見事に勝利するのです。「悪役(ヒール)」が「英雄(ヒーロー)」になった瞬間でした。確かな実力を証明したライスシャワーは、更なる実績の獲得のためや、ファン投票で一位に推されていたこともあって宝塚記念への出走を決めます。これが悲劇を引き起こします。95年の宝塚記念、ライスシャワーは第3コーナーを回ったあたりで転倒、骨折。その場から動かすこともできず、安楽死の処置が取られました。ヒーローになった瞬間の悲劇でした。京都競馬場には彼の記念碑がありますので、立ち寄った際には是非。

 2頭目はサイレンススズカ。大逃げという、スタート直後から先頭に立って逃げ、そのまま誰にも先頭を譲らずにゴールするという戦法で多くのファンを魅了した馬です。いろんなところで名前を聞く名馬かと思いますが、実は勝利したG1レースは98年の宝塚記念だけです。理由は明白で、大逃げ戦法を確立してから宝塚記念を含む重賞を5連勝し、ここからだという中で臨んだ秋の天皇賞で、故障でもなければ確実に一着と言われた中でまさかの故障発生、そのまま予後不良で安楽死の処置が取られたからです。この故障が無ければその後どれほどのレースを勝っていたことか。翌年の宝塚記念では実況アナウンサーが『私の夢は、サイレンススズカです。夢、叶わぬとはいえ、もう一度この舞台でダービー馬(スペシャルウィーク)やグランプリホース(グラスワンダー)と走ってほしかった』とレース前に語ったほど、多くの人の心に残る馬でした。

 3頭目はメイショウドトウ。00年の宝塚記念から翌年の春の天皇賞まで、G1レースで5回連続2着という悔しい思いをし続けた馬です。加えてその5レース全てで1着を飾ったのは、00年に年間無敗という大偉業を成し遂げた世紀末覇王、テイエムオペラオー。覇王に負け続けたメイショウドトウが遂に雪辱を果たすのが、6度目の対決となった01年の宝塚記念なのです。追い上げてくるオペラオーを振り切り、念願のG1レース初制覇を成し遂げたのでした。

 そして最後はもちろんゴールドシップ。その破天荒なレースぶりからファンは多く、皐月賞でのゴルシワープなどは有名でしょう。後方集団から終盤、一気に全てを抜き去る姿は非常に見ていて気持ちがいいです。そんなゴルシですが、実はこの79話の投稿時点で唯一宝塚記念を連覇している馬なのです。前年の覇者や一番人気が苦戦する宝塚記念というレースでのこの偉業は、今後もそうそう現れることはないでしょう。ちなみに、3連覇をかけて臨んだ15年の宝塚記念ではゲート内で立ち上がってしまい大きく出遅れると、そのまま上がってくることなく15着に敗れ、120億と言われる馬券を紙屑にしました。後に120億円事件とか呼ばれたりしてます。まあ、ゴルシらしくはありましたけどね。

 ……馬の話しだすと小話が長引きますね。気をつけます。

 では、スタート。



 家に帰ってきてからゲームで遊ぶこと約一時間。バイオのゲームデータのダウンロードを待つ間はフラペチーノをプレイしていた南川様ですが、残念なことにダウンロードが完了してしまいました。画面にも通知が出ていましたので、南川様も当然把握しています。ただ、今はフラペチーノのシナリオも中盤の佳境に来ており、ここで中断するのは大変もやもやするのでひとまずフラペチーノをプレイし続けている感じです。

「……これ、あとどのくらいで一区切りつくかな。バイオどころか夕飯作ったりする時間もなくなったりしない?」

『多少ネタバレしても良いのであれば、この後の展開をざっくりお教えしますが』

「ネタバレダメ。ゼッタイ」

『そんな標語みたいに言わないでください』

 確かにネタバレを嫌う人ではありますけど。仕方ないので南川様のシナリオを読む速度や先頭の腕前を計算してざっくりとした時間だけ算出してみましょう。

『……セーブができる場所までであればあと30分くらいです。中ボス前のセーブって感じですが、シナリオ的にはやや半端になります。シナリオの区切りが良いところまで遊ぶのであれば、そこからさらに2時間くらいといったところでしょうか。南川様の腕前次第で前後するとは思いますが』

「なるほどなぁ。でも、2時間半くらいならやり切っちゃいたいね。セーブ地点のところで夕飯とかお風呂とかを早めに済ませて、その後中ボス戦って流れで行こうか」

『そうですね私もそれがいいと思います』

 それなら今日はバイオをやらなくて済みます。素敵な思い出の日曜日のままで終われそうです。

「食い気味だね……。そんなにバイオやりたくないの?」

『やりたくないですね。自分が苦手で嫌いなものを積極的にやりたいと思う人はそうそういないでしょう?』

「まあ、それは確かに。でも、そんなに苦手ならバイオの間は電源オフとかでもいいよ?」

『……いえ、それでは罰ゲームになりませんよ』

「そっか、元々は罰ゲームだったっけ。じゃあ、頑張ってもらうしかないね」

 元々はカラオケバトルの罰ゲームとして買ってきたバイオです。それなのに電源オフで逃げるようでは罰ゲームの意味がありませんし、「ヒト」としていけません。それに……苦手ジャンルでも南川様と一緒であれば、また違った風に思えるかもしれませんし。


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