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電子少女でも恋がしたい  作者: 古河 聖
2030年6月23日(日)
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第76話「結局それかい」

 今年も梅雨の時期がやってきましたね。天気の崩れる事が多いこの季節ですが、皆様はどうお過ごしでしょうか。どうしてもお出掛けしにくい季節なので家で過ごす方が多いのでしょうか。晴れているように見えても突然降ってきたり、数日前の予報では晴だったのに当日になったら雨が降ってるなんてこともよくありますので、外出の予定も立てづらいですよね。2030年現在の予報技術ではそういうことはだいぶ減りましたが、それでも確実なわけではありませんし。

 ではそもそも、どうして梅雨という雨の降りやすい季節が発生するのでしょう。その原因は、日本の南北に存在する性質の異なる気団にあります。気団というのはざっくりと言うと空気の塊のことですね。日本の南方には小笠原気団と呼ばれるものがあり、これは暖かくて湿った空気の塊です。毎年6月ごろになると日本の方へと押し寄せてくるんですね。一方で日本の北方にはオホーツク海気団という冷たくて湿った空気の塊があります。これが、南方から押し寄せてくる小笠原気団と日本の上空あたりでぶつかるわけです。2つの気団の勢力はほぼ同じくらいなので拮抗するわけですが、気団のぶつかったあたりというのは大気が不安定になるんですね。これがいわゆる梅雨前線と呼ばれるもので、雨を降らせる原因になります。勢力が拮抗しているが故に長く前線が維持されることになるので、長期間にわたって雨が降り続ける梅雨という季節が生じるわけですね。その上この梅雨前線、ちょっとした勢力の変化で一時的にバランスが崩れたり位置関係が変わったりするので、非常に予報がしづらいのです。テレビの予報とかを見て「全然当たらねえじゃねえか」と思う方もいるかもしれませんが、梅雨の時期は予報がしづらいということを皆様も理解してあげてください。予報に頼り切らず、常に備えをしながら出かけたりするよう心掛けましょう。

 では、スタート。



 ゲームセンターのゾンビゲームでフルボッコを食らった南川様達は、ゲームセンターを後にして近くのクレープ店でクレープを購入すると、一階まで降りて荷物の発送手続きを済ませた後、朝から言っていたパックのご飯を買いにスーパーへと向かいます。家の近くのスーパーで買うのでも良かったのですが、雨が降っていますしこのショッピングモールで一緒に買ってしまった方が効率は良いですね。妹様を南川様の私的な買い物に付き合わせてしまう形にはなりますが、本人はあまり気にしていなさそうです。

「ちなみにお兄様、来週何か食べたいものとかありますか?」

 パックご飯のコーナーへ向かう道すがら、妹様が尋ねます。来週というと、お姉様の誕生日パーティでの料理の話しでしょうか。

「それは僕じゃなくて美音ねえに聞いた方がいいんじゃないかな……」

 まあ、その通りですね。主役はお姉様なのですから、お姉様の食べたいものを提供する方が正解だと思うのですが。

「そっちは既に聞いてあります。なので、追加で何かを作るならお兄様の食べたいものにしようと思いまして」

「なるほど、そういうことか」

 そっちは既に聞き取り済みだったのですね。確かに、ここまで接している感じでは、ブラコン気味ではありつつもその辺りの常識はきちんと備わっている方ですよね、妹様は。姉の誕生日に兄の好物ばかりを振るうやべえ奴ではなくて良かったです。

「うーん、改めて言われると難しいなあ……せっかくだから普段あんまり作らないものとかお願いしてみたいけど」

「なにか手の込んだものが良いということですか?」

「そうなるのかなあ……いやでも、あんまり愛海に負担はかけたくないな」

「料理は好きですし、気にしなくてもいいですよ」

「そうは言ってもねえ……あっ、せっかくだから愛海の炒飯とか食べてみたいかな」

 結局それかい。

「炒飯ですか……シンプルですけど奥は深いですね。わかりました、準備しておきます」

 こんな時でも炒飯を要求するとか、本当にブレないですね南川様は。誕生日パーティの料理としてはいささか微妙な感じもしますが……まあ、当人たちが良いのであれば私から口出しする必要はないでしょう。

 そんな会話をしている間に目的のパックご飯のコーナーに到着します。そこそこたくさんの種類が並んでいますが、南川様が選ぶものは既に決まっています。私と出会う前から決まってこのパックご飯ですね。理由は単純で、味がどうこうとか一切関係なく「一番安くて長もちだから」だそうです。

「取り敢えず五パックセットが四つとかでいいかな」

「めっちゃ買いますね!?」

「使う時は割と一気になくなるし、使おうと思ったときにないのが一番困るからね。賞味期限も一年くらいはあるからすぐに使わなくても無駄にはならないし、多めに買うようにはしてるんだよ」

『それにしたって二十パックは買い過ぎな気もしますが』

「いや、なんか家の近所のスーパーで買うよりもちょっと安い気がしてつい」

『……確かに、いつも使うスーパーのものに比べて一パックあたり3円くらい安いですね』

「でしょ? だからちょっと多めに買っておこうかと」

 たかが3円、されど3円ですからね。いつの時代でも節約は大事です。ちょっとずつ主婦が板についてきましたね、南川様。良い傾向です。

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