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電子少女でも恋がしたい  作者: 古河 聖
2030年6月23日(日)
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第74話「完全に遊ばれてますね」

 プロ野球では間もなく交流戦の季節がやってきますね。普段はセ・リーグ、パ・リーグの二つに分かれて戦っている各チームが、リーグの異なるチームと試合をするわけです。いつもとは異なる相手との戦いで調子を上げるチーム、あるいは逆に調子を落とすチームも多く、年間でのリーグ優勝の行方を占う大事な期間なんですよ。それまでいまいちな順位にいたのに交流戦をきっかけに一気に勢い付いて優勝争いに絡んでいくチームもあれば、それまで首位を走っていたのに交流戦で躓いた結果一気に転落するチームもあります。まだまだ先は長いのに大袈裟な、と野球に詳しくない皆さんは思うかもしれませんが、これまでの歴史がそれを証明しています。交流戦では同一リーグ内での一人勝ち、一人負けという事が起こり得ますからね。普段であれば同リーグ内での対戦になるので最大でも3チームが勝って3チームが負ける形になりますが、交流戦だと自分のチームだけが勝って他の5チームが負ける、あるいはその逆も起こるわけです。こうなると一気に他チームとの差が縮まる、あるいは開くので、リーグ優勝の行方にも大きく影響するのです。もしも応援しているチームや選手がいる方は、この交流戦をどんな成績で終えるのか、ぜひ注目してみてください。たとえ今の順位が悪くても、交流戦の結果次第では一気に上がってくることも全然ありますからね。各チームの奮戦に期待しましょう。

 他にも勝敗には関係なく、普段対戦がない人たち同士の対決も楽しみの一つです。違うリーグに所属するかつての同級生やチームメイト同士の対決なんかは見ていて非常にワクワクしますよね。南川様の少年野球時代のチームメイトたちも普段は別々のリーグで戦っていますので、交流戦の時期でないと見られない対決もあるから毎年楽しみだと南川様もおっしゃっていました。

 野球に興味がなくてさっぱりわからなかった、という方はこれを機に一度見てみてはいかがでしょうか。野球に限らずスポーツには貴方の心を動かす力がありますよ。

 では、スタート。



 ゲームセンターでのフリースロー兄妹対決は妹様に軍配が上がりました。ちょっとお話にならないくらいの圧勝でした。

「ふふっ、私の勝ちですね、お兄様」

「おかしいなあ。敵わないとは思ってたけど、さすがにここまで差がつくとは」

『投げ方が矯正できないとお話にならないですよ』

 野球ボールの要領でバスケットボールを投げるようでは上達は厳しいでしょう。相当数練習を積めば安定してくるかもしれませんが、そこまでして上手くなる必要があるかと言われるとそうでもないでしょう。

「では、約束通りお兄様には私の言うことをなんでも聞いてもらいますね」

「一つって約束じゃなかった!?」

「冗談です」

 完全に遊ばれてますね。実際に会う前はもっとお兄様至上主義な感じかと思っていたのですが、こういうやり取りや二人の距離感は本当に仲の良い兄妹そのものです。確かにブラコン気味ではありますが、心配するようなことはなさそうですね。……南川様に彼女ができたときとかが少し心配ではありますが。

「それで、僕は何をすればいいの?」

「そうですね……では、この後なにかスイーツでも奢ってもらいましょうか」

「……さっきお昼食べたばっかりだよ?」

「スイーツは別腹です」

『その通りですよ、南川様』

「なんでユリまで!?」

 私ってば優秀なAIですからね。実際にスイーツを食べることこそかないませんが、その現象は知っています。甘いものは満腹だったはずでも何故か平気で食べられるんですよね。そういう世の女性たちの意見を今までいくつも目にしてきましたので、間違いないはずです。ユリ、学習してます。

「あ、あんまり高くないものにしてよ?」

「わかっています。自分の得意なゲームで勝ったくらいでそんなに酷い要求はしませんよ」

 お店に入ってしっかり食べるというよりは、アイスやクレープ等を買って歩きながら食べる、みたいな感じでしょうか。確かに、あれだけ実力差のあるゲームに勝ってめっちゃ高いスイーツを奢らせるとか、さすがに南川様が可哀想ですからね。その辺の良識もきちんと持ち合わせているようです。

「せっかくですから、もう少しここで遊んでからクレープでも買いに行きましょう。今度はお兄様がゲームを選んでください」

「うーん、そうだなあ……さっきは対戦だったし、今度は協力がいいかな。例えばあそこの、ゾンビを倒していくシューティングゲームとか」

「え」

『え』

 南川様の発言に、妹様と揃って声をあげてしまいます。私の聞き間違いでなければ、ゾンビとかいう不穏なワードが聞こえた気がするのですが。

「……いや、ゲーセンに置いてあるやつだからそんなに怖くはないと思うけど」

「べ、べべ別に怖がってなんていませんよ。ねえユリさん?」

『そそそその通りですよ南川様。私たちがそのくらいで怖がるわけないじゃないですかははははは』

「二人揃ってめっちゃ棒読みだよ……」

 そう言いつつシューティングゲームのコーナーへ歩いていくあたり、本当にやる気のようです。まさかこんな楽しげな空間で突然地獄が始まるとは。幸いなのは道連れがいることでしょうか。反応的に間違いなく妹様もホラー系は苦手なようですので、お互いに支え合ってどうにか乗り切りたいと思います。

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