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電子少女でも恋がしたい  作者: 古河 聖
2030年6月23日(日)
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第73話「これはもう終わりましたかね」

 そろそろ五月病の季節でしょうか。聞いたことが無い方のために一応説明をしておくと、五月病というのは医学的な病名のことではなく、五月の連休明けになんとなく体調が悪くなったり、学校や会社に行きたくないなどの鬱的な気分に見舞われる症状のことを言います。新生活が始まってから約1ヶ月が経過したころに大型の連休を挟むことによって張りつめていた緊張の糸が途切れたり、目に見えないストレスや自分では気付かない負荷などが積み重なって限界を迎えたりして、身体や心に影響が出るわけですね。特に新入生や新社会人、あるいは異動などで環境が変わった人に起こりやすいそうです。まあ、新生活はストレスも疲労も溜まりがちですよね。五月病というと馬鹿にする人もいますが、症状が長引くとうつ病に発展する可能性などもありますので、軽視してはいけませんよ。五月病のような症状が見受けられた場合は、早めに心療内科や精神科を受診することをお勧めします。まあ、そもそもそうならないのが一番の理想なのですが。

 五月病への対策の一つとして、なにか夢中になれる趣味などを持っていると良いですよね。日々のストレスや疲労を、自分の好きなことに熱中して忘れる、解消することが出来るわけです。新生活に慣れるのに必死でそんな余裕ねえよ、という方もいるかもしれませんが、どうにか時間を作ってでも好きなことをする時間を確保するのをお勧めします。これは私の個人的な意見ですが、時間を作るためなら一日くらい学校や会社を休んでもいいと思っています。一日休んだ分の遅れを取り戻すのは大変かもしれませんが、無理をして貴方自身が壊れてしまっては元も子もありませんからね。

 とはいえ、これは別にサボりを推奨するものではありませんよ。時には休んででもリフレッシュすることが大事です、ということを伝えたかったのです。

 では、スタート。



 さて、今回はゲームセンターにあるバスケのフリースローのゲームで南川兄妹対決です。中学時代に県大会まで行ったことのある元バスケ部の妹様か、あるいは小学校時代に野球をやっていた南川様か。ぶっちゃけ結果の見えている勝負ではありますが、最後まで見届けてあげましょう。どちらを応援するかは難しいところですが……まあ、分が悪そうということで南川様の応援をしましょうか。

「お兄様、負けませんからね」

「こっちこそ、絶対に勝つよ」

 お互いに言い合いながら、ゲーム機にお金を投入します。二人対戦のモードを選択すると、軽快な音楽が流れていよいよゲームが始まります。

「ちなみに、私が勝った場合は一つ言うことを聞いてもらいますからね」

「え、ちょ、ゲーム開始直前にそれ言うの!?」

 南川様が抗議の声をあげた瞬間にゲーム開始のブザーが鳴ります。結果、ただでさえ分が悪いのに出遅れるかたちになりました。これはもう終わりましたかね。

「はっ。ふっ」

 ブザーと同時にショットを撃ち始めた妹様は、さすが経験者という美しいフォームで次々とボールをリングに通していきます。軽い屈伸から真っ直ぐに右腕が伸び、その指先から放たれたバスケットボールが綺麗な弧を描いてゴールに吸い込まれていく様子は、まるで芸術作品でも見ているかのようでした。周りで別のゲームを楽しんでいた人々の視線もいつの間にか集めていきます。まるで『小学生は最高だぜ!』というフレーズでお馴染みのバスケを題材にした小説のメインヒロインのようです。……伝わらない? まあ、とにかくフォームがとても綺麗ということです。

「ほい! ほいっ!」

 一方の南川様はと言えば、右手にボールを持って振りかぶると、そのまま左手を使わずまるで野球のスローイングのようにボールを放ります。当然その投げ方では野球ボールよりも重くて大きいバスケットボールの細かいコントロールなどつけられるわけもなく、リングに嫌われたりリングに嫌われたり、あるいはリングに嫌われたりしています。成功率は3割もないくらいです。正直見ていられないですね。

『南川様、その投げ方はバスケットボールには向いてないです。せめて妹様の真似をしてください』

「そ、そうは言っても、野球に慣れすぎちゃってこれ以外のボールの投げ方よくわからないんだよ」

 マジですか。そんな事ありますか。南川様が小学生の頃どれだけ野球漬けの日々だったのかは存じ上げませんが、それでも学校の授業とかでバスケはやるでしょう。投げ方がわからないなんて、そんな事ありますか。まあ、事実私のアドバイス通り妹様をチラチラ見ながらやってもフォームがまるで改善されないので本当なんだと思いますが。これはちょっと衝撃ですね。南川様の運動神経は悪くないと思っていたのですが、それでもこういう事があったりするのですね。人間って不思議です。

 結局二人の差は広がる一方で、終わってみれば46対150というトリプルスコアでの決着でした。

「私の勝ちですね、お兄様」

「ナンテコッタ……」

 見事に兄の威厳大崩壊ですね。まあ、こうなることは大いに予想できてましたが。

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