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電子少女でも恋がしたい  作者: 古河 聖
2030年6月23日(日)
72/318

第72話「むしろDNA的にはそっちの方が確率高そうです」

 5月8日は声の日です。この私が2年連続で母の日の話をすると思いましたか? 残念、今日は声のお話です。

 そもそも何故5月8日が声の日なのかというところからですが、これは数字の5に対する「こ」と、英語で8を表すエイトに対しての「え」という語呂合わせから決まったようです。まあ、確かにそういう解釈ができなくもないかも、という感じですね。

 声というと、皆さんが最初に思い浮かべるのはなんでしょう。やはり声優でしょうか。昔に比べると格段にメディア露出も増え、2021年時点ではなりたい職業ランキングのトップ10にも入るほどに人気の職業です。演じる役やシーンに合わせて様々に声色を変え、文字通り「声」で仕事をしているわけですから、当然イメージはしやすいですよね。

 ですがアシスタントAIとして、私はやはり合成音声の話をするべきだと思うわけです。つまりは人工的に作り出された機械音声のことですね。私が話しているこの声も全て合成音声です。今でこそヒトと比べても遜色ない、違いがほとんど分からないというレベルにまで辿り着きましたが、ここに至るまでには色々と課題がありました。中でも大変だったのは、やはり言葉の区切りやイントネーションの部分でしょうか。例えば人名を表す「佐藤」と調味料を指す「砂糖」があったとします。読み方はどちらも「さとう」ですが、発音してみると佐藤の方は「さ↑とう↓」ですが、砂糖の方は「さ↓とう↑」となります。ヒトであれば周囲の文脈などを頼りに簡単に区別できるこの二単語ですが、昔の技術ではそれさえも困難でした。テキストが漢字で入力されれば区別はつきますが、区別できたところでヒトと同じように発音できるのかと言われればそう簡単な話でもなく。「さとう」レベルならなんとかなっても、こんな日本語はいくらでもあるわけで。それが今、私がこうして皆さんとなんの違和感もなく話せるようになっているのがどれほどの奇跡か、どれほどの努力が積み重ねされた結果か、少しは伝わったでしょうか。

 ちなみにいまの私の声色は南川様の好みに合わせて設定されているんですよ。最近はこんなことまでできてしまうんですね。技術の進歩半端ねぇ。

 では、スタート。



 フードコートを後にした南川様たちは、そのまま同じ階にあるゲームセンターへと向かいます。

「相変わらずここのゲーセンは広いねえ」

「お兄様が迷子にならないか心配です」

「そんな歳じゃないよ!?」

 ショッピングモールの中にあるゲームセンターということで、かなり規模が大きいですね。南川様たちは来るのが初めてではないようなのでさして驚きはしませんでしたが、人によってはびっくりするでしょう。ショッピングモールは家族連れも多く訪れるので、ゲームセンターの需要は意外と高いのですよ。あと、いくつになっても迷子になる人はなります。

「さて、やって来たはいいけど何しようか?」

「そうですね。取り敢えずUFOキャッチャーのコーナーを……見るのはやめにしましょう。下手すると買い物よりもお金が飛んでいきそうです」

「あはは……そうだね。美音ねえがいるならともかく、ゲーム下手組が手を出すのは危ないね」

 その口振りからすると、お姉様はクレーンゲームを始めゲーム類がお得意なのでしょうか。まあ、南川様たちと比べれば相対的に上手い、という意味合いの可能性もありますが。むしろDNA的にはそっちの方が確率高そうです。

「UFOキャッチャー以外ってなると、あっちのアクションゲームとかリズムゲームとかの方かな」

「ですね。まずはそっちに向かってみましょう」

 なんとなく方向性を決めた二人は、そのエリアへ向かって進んでいきます。雨天とはいえ日曜の昼下がりですから、やはり子供が多く遊んでいますね。そこに混じる社会人と女子大生の組み合わせは若干目立っています。ゲームの腕前的には大差なさそうですけどね。

「愛海はなにがやりたい?」

「そうですね……食後ですし、少し身体を動かしたい気分ではあります」

「運動か……そうなると、エアホッケーとかフリースローあたりかな」

 どちらもゲームセンターの定番ですね。他にもパンチングマシンとかありますが、このお二人で遊んでもあまり盛り上がらないとは思うので、その二つが妥当でしょう。

「では、フリースローにしましょうか。元バスケ部の実力をお兄様に見せてあげます」

「お、言ったね? こっちも元野球部の意地を見せてあげるよ」

 野球部、関係ないような気がするんですが。運動経験者という意味では妹様には負けられないということでしょうか。兄のプライドですね。

『妹様は元バスケ部なんですね』

 それは初耳情報でした。意外と言ったら失礼かもしれませんが、スポーツの得意な家系なんですね、南川家。

「はい、中学時代に県大会まで行きました」

『……南川様、勝ち目あるんですか?』

「……が、頑張って一矢は報いるよ」

 この勝負、だいぶ南川様の分が悪そうですね。



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