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電子少女でも恋がしたい  作者: 古河 聖
2030年6月23日(日)
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第65話「さすがお兄ちゃんです」

 この時期の学生の皆さんはもう春休みでしょうか。羨ましいですね、春休み。当事者のみなさんは「期間が短い」なんて言ったりしますが、社会人になればそもそもそんな休みは存在しませんからね。休めるだけありがたいってものです。私なんか毎日休みなしなんですからね。まあ、それは別に苦ではないのでいいんですけど。

 ですが休みがない分、社会人にとってはワクワクするイベントがあったりもしますよね。そう、昇給です。会社によっては全然違う時期にあったり年に二回くらいあったりするのかもしれませんが、この時期に昇給がある会社は多いのではないでしょうか。南川様の勤める会社でも三月末に昇給がありますし。やはり給料が上がるというのは皆さんワクワクしますよね。その年の自分がどれだけ頑張ったか、というのが目に見える形でわかる、かつ給料という形でしっかり返ってくるというのは良い事だと思います。上がり幅が大きければ当然「来年も頑張ろう」という働くモチベーションに繋がりますし、逆にあまり上がらなくてもそれはそれで「来年は頑張らなければ」というモチベーションに繋がりますよね。……まあ、給料が上がらなくて働く意欲がなくなるパターンも全然あるとは思いますが。むしろそういう人の方が多かったりするんでしょうか。確かに、頑張って働いたにも関わらずそれが給料に反映されなかったら意欲は削がれますよね。もしかしたらそこから転職や退職なんて話にも繋がるかもしれませんし、会社側からしてみれば嫌なイベントなのかもしれません。

 では、スタート。



 約7分の移動時間を経て、南川様達はようやくショッピングモールの西館へと辿り着きます。私の試算では5分あれば着くはずだったのですが、寄り道もしていないのに2分オーバーしてしまいましたね。アシスタントAIとしてこの計算ミスは少々へこみかけたのですが、どうやら南川様が妹様に合わせて少しゆっくり歩いていたようです。私の試算は南川様の普段の歩行ペースをベースに算出していたので、そこでずれが生じたみたいですね。さすがお兄ちゃんです。

「やっと西館まで着いたね。愛海の行きたいって言ってたお店はどの辺にあるの?」

「東館との連絡通路からはそんなに離れていなかったはずです。二階に上がれば見えると思うので、ひとまず二階に上がりましょう」

「おっけー」

 連絡通路の目の前にあるエスカレーターを上がると、その正面方向に妹様の目的のお店がありました。

「あっ、ありました。あそこですよ、お兄様」

「すぐ見つかったね。あれは……ジグソーパズルのお店?」

「はい。こういう一人で集中して黙々とやるようなのが好きですからね、美音姉様は。調べたらこの施設に専門店があるとのことだったので、覗いてみようかと思いまして」

「へー、ジグソーパズルの専門店なんてあるんだ」

「珍しいでしょう? では、早速行ってみましょう」

 そう言うと、二人は件のお店の方へ向けて歩き始めます。正直、少し意外なお店のチョイスでしたね。私がお姉様のことをよく知らないというのもありますが、もう少し女性向けのお店をなんとなく想像していました。だって、現役女子大生が選ぶんですよ? 流行最先端のオシャレアイテムとか美容グッズとか想像するじゃないですか。……せっかくなので聞いてみましょうか。

『服とか化粧品とか、そういう方向ではないのですね』

「そういうのは美音姉様と一緒に見て選んだ方が確実ですし楽しいですからね。なので、あまり二人では見に行かないものの方が良いかと思いまして」

『……なるほど、そういうことですか』

 それは確かに妹様の言う通りですね。普段からよく服や化粧品を二人で見に行くのであれば、それはその方が絶対に楽しいでしょう。結果として何を買ったかよりも、それを選ぶまでの過程の方が重要だったりしますからね、買い物は。

 ほどなくして目的のお店に到着します。広さはそれほどでもありませんが、専門店を謳うだけあって品揃えはかなりありそうです。完成品を飾る用の額縁なども取り扱っているようですしね。

「おおー、凄いね。額縁とかまで売ってるんだ」

「まあ、美音姉様には必要なさそうな気がしますけどね」

「そうだね。一回完成したのを崩して何度も遊ぶタイプだし」

「では、なにか良いものがないか探してみましょう」

 お二人は店内に並べられているパズルを順番に眺めていきます。アニメのイラストを使用しているものや自然風景の写真を利用したものなど、絵柄は本当に様々です。選択肢が多い分悩みそうですが、お姉様の好みを知るお二人であれば案外すぐにいいものが見つかるかもしれません。

「あ、これなんてどうですか? ミルクパズルの5000ピースだそうです」

「美音ねえ発狂するよ!?」

 ミルクパズルとは、イラストなどが一切描かれていない真っ白なパズルのことですね。絵柄をヒントに出来ないためピースの形状のみをヒントに解かなければならないという、宇宙飛行士の選抜試験に採用されたこともある超高難易度パズルです。通常の物よりも遥かに忍耐力や集中力が必要で、普通に作るのさえ大変な5000ピースをミルクパズルでやろうものなら大抵の人間は発狂すると思いますよ。

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