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電子少女でも恋がしたい  作者: 古河 聖
2030年6月23日(日)
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第61話「そこで私に振るのですか」

 ショッピングモールなどで複数のお店を回って買い物をする際、回る順番というのは大事ですよね。無計画に行きたいお店を回ろうとすると、無駄な移動が多くなって時間が掛かり過ぎてしまったり、序盤から買い物をし過ぎて重い荷物を持ったままお店を巡る羽目になったりとかしますからね。どの店をどういう順番で巡るか、何から順番に買い物をしていくか、多少ざっくりでもいいので事前に一度プランを練っておくだけで効率が全然違うはずです。無駄な移動、無駄な労力を費やさずに済みますし、その分多くの店を回ることもできるでしょう。

 とはいえ、気の向くままに自由に見て回って偶然気になる商品と出会うというのも買い物の醍醐味ではあると思います。予定には無いのについ衝動的に買ってしまうというのもたまには良いでしょう。ただ、これをやる場合はその時の買い物の目的をきちんと考えてからでなければいけません。例えば、なにかこれを買いに来たという目的の品物がある場合に無計画衝動買いをやってしまうと、予定外の出費のせいで本来買いに来たものが買えなくなってしまうなんていう悲劇が起こるかもしれません。あるいは他のお店に長居し過ぎて時間が無くなるパターンもあるかもしれませんね。ですので、なにか明確な買い物の目的がある場合は、最初にそれを済ませてしまうなど、ある程度計画を立ててから買い物に臨むのが良いでしょう。

 ……まあ、ごくごく当たり前のことなんですけどね。世の中にはその当たり前が出来ない人もいますので。

 では、スタート。



 無事に合流を果たした南川様と妹様は、駅の改札から件のショッピングモールへと向かう人の波が少し途切れたタイミングを見計らって歩き出します。南川様がそうなので、恐らく妹様も人混みが苦手なのでしょう。あるいは南川様に合わせている可能性もありますが。集合がショッピングモール方面とは逆側だったのもその辺に理由がありそうですね。

「愛海はもうなに買うか決まってるの?」

「大体の方向性は決まっているので、あとはお店で実際に見ながら考えようかと。そういうお兄様はどうなんですか?」

「それがまだなんにも決まってないんだよねー。愛海に聞きながら考えようと思ってたから、愛海の買い物が先でいいよ」

「そうですか? では、お店に向かいながら何がいいか考えましょうか」

 妹様の方は、既にプレゼントの目星がついているようですね。それに比べて南川様、何も考えてないんですか。ちょっと妹様頼みが過ぎると思いますが。少しは自分で考えないと南川様からの贈り物になりませんよ。今度からは事前に多少は自分で考えるよう進言するべきかもしれませんね。

「昨年は肩こりに効くクッションでしたよね。それはどうやって選んだのですか?」

 当たり前のように南川様がお姉様に贈ったものを覚えているんですね。これは……どうなんでしょう、全国の兄弟姉妹持ちの皆様。普通は覚えているものですか。私にはサンプルがないのでわからないのですが。

「確か、美音ねえが「肩こりがしんどい」って言ってたのをなにかのタイミングで聞いたからだったかな。去年の今頃は仕事がトラブっててゆっくり考えてる時間もなかったからそれでいいや、って感じだったと思う」

 それは先程電車を待っている時にも聞きましたね。去年は時間がないなりにちゃんと考えられたのに、今年はどうしてこうなったのでしょう。頼れる人がいるが故に、という感じでしょうか。

「そうだったのですね……。ちなみにそれはどこで買ったのですか?」

「アメイゾン」

「……ああ、ネット通販ですか」

 時間に余裕がなかったということであれば当然そういう手段になりますよね。最近は注文から数時間で届けてくれますし、大変便利です。

「そういうことなら、今年も同じような方針で考えるといいと思いますよ。昨年のクッション、お姉様もすごく気に入って愛用しているみたいですし」

「あ、そうなんだ。それは良かった。けど、美音ねえ最近なんか言ってたかな……ユリ、なんかログ残ってる?」

 そこで私に振るのですか。南川様のお姉様とは直接面識がないので会話ログなどは無いと思いますが……通話記録もここ3ヶ月は無いですね。参照できるのはラエンのやり取りか、ツエッターのツエートくらいですが……お、良いのがありました。

『今から約1ヶ月前のツエートになりますが「最近、入浴剤入りのお風呂で温泉気分を満喫するのが至福~」と言っていますね』

「入浴剤かー。確かに美音ねえ、温泉とか好きだよね」

「そうですね。昨年の肩こりのことも合わせて考えると、少し疲れが溜まっているのかもしれません。そういう方向からプレゼントを考えてみると良いかもですね」

「うん、ありがと。愛海の買い物に付き合いながら考えてみるよ」

 私のアドバイスもあってなんとなく方向性が見えてきたあたりで、ようやくショッピングモールの入り口まで辿り着きます。

「それで、どの店から行くの?」

「ええと、西館の二階の……あ、その前にあそこのお店に寄ってもいいですか? ちょっとお兄様に服を選んで欲しくて」

「僕に? 女性の服のことはまるでわからないよ?」

「いいんです。お兄様に選んでもらうこと自体が重要なので」

 ……早速寄り道してますね。お姉様へのプレゼント探しという名目でデートがしたい妹様的にはこれが本来の目的なのでしょうが、南川様的にはお姉様へ贈るものも決まっていないのにこんなことをしていて大丈夫なのでしょうか。まあ、まだ午前10時前ですし、注意する程ではないと思いますけど……あまりに寄り道が長い場合はきちんと指摘する準備をしておきましょう。

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