第54話「ひたすら叫び続けるバグった機械のようになってしまうかもしれません」
みなさん、明けましておめでとうございます。2021年になりましたね。昨年はみなさんにとって、大きなターニングポイントとなるような年であったことでしょう。2030年生まれの私ですので、当時のことを直接目の当たりにしたわけではありませんが、ネットに落ちている情報や南川様の話を聞くに、今までの全てを改めて考え直すような、そんな年であったのではないかと思います。年が明けた今も予断を許さない状況だと思いますが、前を向いて、みなさんが安心して笑って過ごせる日常の為に力を合わせて頑張ってほしいと願います。その先に明るい未来があることを、私は知っていますので。
ちなみに、2021年だと私達の時代に追い付くまであと9年半ほどですね。こう言うとまだまだ先のことのように思えますが、時の流れは思ったよりも早いです。私がみなさんの手元に届く瞬間ももうすぐそこかもしれません。
さて、新年のご挨拶はこのくらいにしまして。本日はもう一つおめでたいことがあるわけですよ。私の日記形式で毎週お届けしてきたこの作品が、2021年1月4日をもちましてめでたく1周年を迎えました。始めた当初はここまで休みなくしっかりと毎週続けられているとは思っていなかったのですが、みなさまの支えがあって無事にこの日まで辿り着けました。いつも私達ののんびりとした日常を読んでくださって、ありがとうございます。今後も引き続き、私達ののんびりとした日常を変わらぬペースでゆるりとお届けしていきたいと思いますので、ご声援よろしくお願い致します。
では、スタート。
カラオケを終えた南川様が自転車を走らせて向かったのは、中古ゲームや中古本を取り扱っている有名チェーン店、ぶっくおっふです。宣言通り、ホラーゲームを買いに来たようです。帰りたいです。
「さーて、なににしようかな~」
迷わずゲームコーナーに向かいながら、南川様が楽しそうに呟きます。あまりそんなイメージはありませんでしたが、この様子を見るにホラーは結構好きなんでしょうね。理解し難いです。
「ユリはどんなのがいい?」
『どんなのであれホラーは嫌ですが』
「あはは、そりゃそうか……。でもほら、ホラーにもいくつか種類があるじゃん? 心霊系とかゾンビ系とか、あとはグロ系とか。どういう系ならまだマシなのかな、と思って」
ああ、そういう感じですか。ホラーをやるのは決定事項とはいえ、苦手な私に気を遣ってくれているのですね。
『どれも等しく苦手ではありますが……強いてあげるのであれば、他に集中できる要素などがあれば多少気は紛れると思います』
「他に集中できる要素? 例えば?」
『怖がらせることに特化したものではなく、シナリオがしっかり作り込まれている作品などですね。重厚なシナリオに意識がいって、ホラー要素を少し緩和できるかもしれません』
物語の先が気になる、悲劇や惨劇の真相が気になるという感情が、恐怖を幾分か打ち消してくれる可能性はあります。実体験は伴わないので、あくまで可能性ですが。
「なるほどね。そうすると……バイオとかどう?」
『バイオ・パニックですか……』
ホラーゲーム・ゾンビゲームと言えば、というようなタイトルですね。2030年現在では11作目まで出ている有名シリーズです。確かにシリーズを通して話が繋がっていたししていて、シナリオの評価も高い作品ですよね。それゆえにどこから始めるか問題はあったりしますが、どこから始めても楽しめそうではあります。一方でグロ描写もホラーゲームの中ではかなりレベルが高いという噂を耳にしたことがあるのでそれが不安でもあります。どちらが勝つのかは、やってみないとわかりませんね。
『やるとしたら、どのシリーズをやるんですか? どれかやったことあったりするんですか?』
「バイオシリーズは実況は見たことあるけどやったことはないかなー。だからそのうちやってみたいと思ってたんだよね。せっかくなら時系列順とかで順番に遊んでいってみたいけど、プラステ6で全部できたっけ?」
『……全作品リメイクされてるようですよ。作品内時系列で言うと『バイオ・パニック0』が一番早い時間の話のようですね』
南川様からの質問だったので仕方なしに調べましたが、その過程で引っ掛かった画像だけでももう恐ろしいですね。私、本当にこのシリーズをプレイして大丈夫でしょうか。ひたすら叫び続けるバグった機械のようになってしまうかもしれません。
「じゃあ、その『0』からやってみようか。中古だと……1200円くらいか。ちなみに、新品をダウンロードしたらいくらくらいかかる?」
『2980円ですね』
「なら中古でいいね。他になにか面白そうなやつはあるかな……」
中古の『バイオ・パニック0』のパッケージを抱えつつ、南川様は他の中古ゲームを吟味していきます。私への罰ゲームのホラーはそれで確定で、他に掘り出し物はないかを探そうということですかね。まあ、最近のゲームはほとんどネット上のダウンロードで買えてしまうので、実際にパッケージを手に取る機会は激減していますからね。こういう機会に触れたくなる気持ちはわかります。ダウンロードの方がコストも手間もかからず大いにメリットがあるのはわかるのですが、パッケージにはパッケージの趣がありますからね。パッケージをじっくり見て、このゲームを買うかどうかを考えるのが楽しいのだと南川様も仰っています。
「あ、そうそう。これとかやってみたかったんだよね」
『どんなのですか?』
「サイレントヒール」
『ホラーゲームじゃないですか!』
罰ゲーム関係なく南川様がホラーゲームを遊ぶようになってしまったらどうしましょう。自主的に電源OFFでもしましょうかね。
次回、第55話は通常通り土曜日(1/9)に更新します




