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電子少女でも恋がしたい  作者: 古河 聖
2030年6月22日(土)
53/318

第53話「悪徳商法とかに引っ掛かりそうです」

 さて、先日はクリスマスでしたが、皆さんはいかがお過ごしでしたか。ご家族と一緒にゆっくり過ごしたのでしょうか。あるいはこんなご時世ですから普段と変わらず一人で過ごした方も多いのではないでしょうか。それとも『性夜』のもじりに相応しく恋人とイチャイチャして過ごしやがったのでしょうか。……最後だけあたりが強い? そりゃあそうでしょう。クリスマスとは元々はイエス・キリストの誕生を祝うキリスト教の宗教行事であり、世界では自宅で家族と過ごすのが一般的とされている日です。恋人とイチャつく日と化しているのは日本くらいなものですよ。家族と過ごす日がどうして家族をこさえる日になってしまったのでしょう。だから日本人の誕生月は9月周辺が最も多いんですよ。もちろんそれを望んでいるのであれば何も問題はないのですが、聖なる夜に浮かれて考えなしにイチャつき『できてしまった』パターンも少なくはないでしょう。そういうのは本当に誰のためにもなりません。

 他にも、クリスマスには恋人がいることが正義であり、恋人がいない人がまるで負け組のように扱われる風潮が存在しているのも良くないですよね。この風潮のせいで、クリスマスに恋人がいないのは嫌だと考える人たちが駆け込みで恋人を作るわけです。こういう連中はクリスマスだけ人目に付くところで散々イチャついて周囲を不快にした挙句、クリスマスの数日後にはあっさりと破局していたりするわけですよ。要はクリスマスは恋人とイチャついてリア充している感を得たいだけということです。果たしてそんな恋愛をする意味あるんでしょうかね。AIの私にはいまいち理解できません。

 ちなみに、クリスマス・イヴというのは24日全体を指すのではなく、24日の日没から25日に変わるまでの約6、7時間を本来は指すそうですよ。

 では、スタート。



 カラオケ端末からログアウトし、元あった場所に戻した南川様は、鞄を肩に提げて105号室を出ます。カウンターまでやって来ると、そこでは同じ時間まで歌っていたのであろう3組ほどのグループが会計を待っていました。朝の時点ではほとんど人はいませんでしたが、やはり休日ですので午後からやってきた利用客はそれなりにいたのでしょう。店員が二人係で捌いているのでそれほど待つことはなく、南川様の番がやってきました。

「……あ。朝のユリの人っすね」

「そういうあなたは、朝の店員さんですね」

高原(たかはら)でいいっすよ?」

「あ、あはは……」

 相変わらず距離感のおかしい店員ですね、高原とやらは。南川様も思わず苦笑いですよ。最近のJKはみんなそうなんですかね。

「ええと、高原さんは随分シフト長いんですね」

「そうなんすよー。平日は学校で長時間は入れないんで、休日に長く働くしかないんすけど、10時間勤務は普通にしんどいっすよねー。あ、ルーム料金とハンバーグ定食でお会計1350円っす」

 10時間勤務となると、労働基準法の法定労働時間を超過していますね。まあ、その分割増賃金が支払われるので、学生的にはおいしいのかもしれませんが。

「10時間は確かに長いですね……。あ、カードでお願いします」

「ほんとそれっすよ。長時間頑張ってるあーしをもっとねぎらってください。あ、カードどうもっす。レシート要るっすか?」

 会計中に器用に会話しますね、この人たち。というかやっぱこの店員おかしいですね。初対面でこんなにぐいぐい話しかけてくるカラオケ店員なんていないですよ。やっぱり研修中なんじゃないんですか、この人。研修バッジ付け忘れている系の新人なんじゃないですか。そうでない場合、採用されているのが不思議なくらい常識が著しく欠如したもっとやべえ奴ですよ。

「ええと、無理だけはしないようにしてくださいね。無理して働くのは身体にも心にもよくないので。あ、レシートは一応ください」

 そんな人物に対して優しい言葉をかけるとか、どこまでいい人なんですか南川様は。それが美点ではありますが、私はやはり心配になりますよ。悪徳商法とかに引っ掛かりそうです。

「…………。まさか、本当にねぎらいの言葉をいただけるとは思わなかったっす。優しいんすね、ミナカワさんは。あ、これ、レシートのお返しっす」

 高原の方も南川様の返しが意外だったのか、若干戸惑いが見えますね。ということは、本気の発言ではではなかったということでしょうか。だとすると、やはりバッジ付け忘れ新人説が濃厚かもですね。恐らくここが初バイトなのではないかと。

「そんなことはないですよ。あ、ありがとうございます」

「ご利用ありがとうございましたー。いつでもお待ちしてるっす」

 レシートを受け取ると、南川様はカラオケ店を後にします。自転車の鍵を解錠しながら、話題にするのはやはり先程の店員の話です。

「高原さん、だっけ。やっぱり新人っぽいね」

『そうですね。客前に出す前にもっと教育した方がいいと思いますけど』

「そうかなー? 一人くらいああいう店員がいても面白いんじゃないかと僕は思うけど」

『あの接客態度で不快にならない客は少数派だと思いますよ。……って、もうあの店員の話はいいでしょう。辺りも既に暗いですし、早く家に帰りますよ』

「いやいや、今からホラーゲーム買いに行くって言ったでしょ」

 ちっ。どさくさで無かったことにしようとしたのですが、誤魔化されてくれなかったようです。

次回、第54話は、本作の1周年に合わせて1月4日(月)に投稿します。

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