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電子少女でも恋がしたい  作者: 古河 聖
2030年6月22日(土)
51/318

第51話「え? ……あ」

 『エリア51』という言葉を皆さんはご存知でしょうか。これはアメリカ・ネバダ州に存在するアメリカ軍基地の一地区を指す言葉なのですが、聞いたことがあるという方は恐らくテレビのミステリー番組等で耳にしたのではないでしょうか。あるいは野球好きであればかの有名な元メジャーリーガー・イチロー選手に関する記事などで目にしているかもしれませんが、その元になっているのはこのアメリカ軍基地の一地区を指す言葉なのです。

 では何故この『エリア51』がミステリー番組などで取り上げられるかというと、その地区では『墜落したUFOが運び込まれている』『宇宙人と共同で研究を行なっている』といった風説、噂が色濃く存在するからです。実際その噂を題材にした映画や小説なども数多く制作されていますし、基地周辺では頻繁に未確認飛行物体が目撃されているそうです。まあ、これらの噂は基地の元職員によってしっかり否定されているので、かつてほどミステリー番組で特集されることは少なくなっていますが、それでも軍事基地なので機密事項は多く、完全に噂が消えることは恐らくないでしょう。

 ちなみに私の立場としては、宇宙人は存在すると思いますよ。いわゆる『存在しないことの証明』が出来ませんからね。広大過ぎる宇宙というフィールドに対して、私達人類の観測範囲は余りに矮小に過ぎます。一つ隣の星を調べるのがやっとという現状ですから、私達が辿り着くことさえ出来ない数多の星々の中に地球外生命体が存在したとしても何ら不思議はないでしょう。あくまで私の意見ですけどね。

 なお、イチロー選手とエリア51の関係については、彼の守るライトに打球が飛ぶと、通常であればヒットになるような良い当たりがその卓越した守備力によりアウトになる、というような普通では考えられない不思議なことが起きるので、彼の背番号51と掛けて『エリア51』と称えたわけですね。観ている人々に不思議と思わせる程の高い守備力、半端ないですね。

 では、スタート。



 昼食終了から約4時間、水面下でお互いにじわじわと削り合ってきた結果、対決は既に佳境を迎えています。南川様は私が歌っている間の時間をフルに使って必死に収録曲を思い出し、私は私で既に99点越えが確実な曲は出し切ってしまっているので少しでも確率の高い曲を集中して歌い続けている状態です。どちらがいつミスをしてもおかしくないような状態ですね。

「この曲はさすがに入ってたと思うんだよなぁ」

 不安そうに呟きながら選んだ南川様の39曲目。有名音楽グループ、EIGOISTの代表曲とも言える有名な1曲ですね。

「♪この歌が聴こえてる 命ある全ての者よ 真実は貴方の胸の中にある」

 この曲はバンドレでもカバーされているのでセーフです。意外と粘りますね。私がじわじわと南川様のレパートリーを削っているのでもうだいぶ苦しいはずなのですが。案外記憶力がいいんですね。

 ……と、感心している場合ではありませんね。私も高確率で99点以上を出せる曲を吟味しなければいけません。次に確率が高そうなのは……このあたりでしょうか。

『♪たとえ世界欺く答えだとしても「信じて」差し出す掌』

 確率が高いとはいえ確実ではないので、1音1音丁寧に出力していきます。南川様も好きな曲なので普段なら何かしら反応があるのですが、やたらと静かなので間奏中にちらりと南川様の様子をうかがってみます。そちらの方の音を集中して拾ってみると、相当な小声で端末とにらめっこをしながら次の曲を考えていました。

「EIGOISTの曲ってもう1曲入ってたよなー……なんだっけアレ……素直に怪物のやつでいいんだっけ? 別の曲だっけ? 思い出せない……」

 どうやらかなり追い込まれているようですね。怪物のやつというのは恐らくあの曲のことだと思いますが、それであればカバーされているのでセーフです。別のやつの場合は漏れなくアウトですね。これは、私の勝利も見えて来ましたかね。

 私が無事に99.427点を取り、続けて南川様の40曲目。

「♪黒い鉄格子の中で私は生まれて来たんだ 悪意の代償を願え のぞむがままにお前に」

 先程呟いていたようにEIGOISTの中から、自分の朧げな記憶を信じて怪物のやつをチョイスしたようです。今回はどうにかセーフでしたが、それほど遠くないうちにやらかしてくれそうですね。

 続いて私の40曲目。ここは苦しそうにしている南川様に追い討ちをかけにいきましょうか。

『♪こんなレプリカはいらない ホンモノと呼べるモノだけで良い』

 南川様の好きな作品の、アニメ第2期のオープニングですね。お気に入りの曲なのに忘れているようだったので、先回りで歌ってしまいました。

「あああこの曲があったか〜! すっかり忘れてた〜!」

 案の定間奏中にはそんな叫びが漏れていました。私の歌の邪魔をしないようきちんと間奏まで待つあたり良い子ですよね。

「……あれ。でもこの曲が入ってるってことは、1期のオープニングも入ってるんじゃ……?」

 おっと。もう一つのトラップにも引っかかってくれましたか。2期のオープニングがカバーされてるなら、と思いがちですが、実はカバーされているのは2期のオープニングだけなので、その選曲はアウトなのですよ。ふふふ、やらかしましたね南川様。私の勝ちです。

「ちょっ、ユリ! 2番始まってるよ!」

『え? ……あ』

 無情に流れ続ける2番の伴奏とともに、バンドレ縛り対決の勝敗は決したのでした。

 

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