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電子少女でも恋がしたい  作者: 古河 聖
2030年6月22日(土)
47/318

第47話「未来のことは知らない方が楽しいでしょう?」

 先日、巨人の坂本選手が2000本安打を達成されましたね。史上53人目の大変素晴らしい大記録です。いち野球好きとして当時15歳の南川様も大いに喜んだそうです。加えて史上2番目に若い31歳10ヶ月での達成です。右打者に限れば史上最年少。高卒のプロ2年目からレギュラーとして出続けているとはいえ、簡単に達成できるものではありません。

 ところで、野球に詳しくない人からすると、何故わざわざ『右打者』では史上最年少、なんて表現をするのか疑問に思ったりしませんか。『史上最年少』というワードが使いたいから各メディアがそう書いている、とか思ったりしませんか。確かにそういう面がないとは言い切れませんが、『右打者』と『左打者』は区別してしかるべきなのですよ。例えば、打者が球を打った後に最初に向かう一塁は本塁から見て右側にあります。そして一塁に近い右側にあるのは、ややこしいですが左打席です。投手から見て本塁の左側になるので左打席です。要するに、一塁に近い右側に立つ左打者の方が、一塁に対して一、二歩分くらい近いのです。一、二歩というとあまり大差がないように思えますが、コンマ数秒の差でアウトとセーフが変わることもあるプロ野球において一、二歩の差というのはかなり大きいのです。打ち損じ等で打球が内野に転がった際、左打者の方が僅かですが速く一塁に辿り着けるので、その分だけセーフになる確率が高い、安打になる確率が高いわけです。もちろん、打者の足の速さも関わってきますので一概には言えませんが、単純な確率で言えば左打者の方が安打を稼ぎやすいわけですね。

 というわけで、これ以外にも様々な要素はありますが、右打者のと左打者で安打を放つ難易度が少し違うわけですね。ですので、『右打者では史上最年少』というのはそのように紹介されてしかるべき偉大な記録なのです。まだ坂本選手は31歳、今後どれだけの安打を積み重ねていくのか非常に楽しみですね。

 まあ、私たちが生きる時代は2030年なので、彼が今後どれだけの安打を放つのか知っているのですけどね。でも言いません。未来のことは知らない方が楽しいでしょう?

 では、スタート。



 南川様が七曲目を歌い終えてから約25分。私が3曲、南川様が2曲それぞれ歌ったところで、歌い始めから約1時間が経過しました。自由時間が終了して、いよいよ本日のメイン、バンドレカバー曲2020年以前縛りの開催です。

「ルールの確認だけど、2020年までに実装されたカバー曲の縛りじゃなくて、現時点でバンドレでカバーされている曲かつ原曲の発表が2020年までの曲の縛りってことでいいんだよね?」

『ですね。そうでないと流石に9時間はもたないと思います』

 2020年終了時点でのバンドレのカバー曲収録数は145曲。全て歌いきる勢いであれば9時間もたないこともありませんが、南川様も全楽曲を網羅しているわけではないのでおそらくレパートリーがもたなくなるでしょう。私一人であれば別に何の問題もないのですが。

「おっけー。で、レパートリーが切れるか選曲を間違えた方が負け……ってことにしようと思ったんだけど、そのルールだとユリ絶対に負けないよね」

『負けるビジョンが見えませんね』

 だって調べられますからね、私。何なら聴いたことない曲でも普通に歌えますし。負けようがありません。

「だよね……。だから考えたんだけど、僕の負け条件はこのままレパートリー切れか選曲ミスでいいとして、ユリの負け条件は点数か全国順位にしようと思うんだ」

『なるほど……それなら条件次第ではいい勝負になるかもしれませんね』

 何点以下、何位以下を取ったら敗北という形にすれば、確かに私にも負ける可能性が発生します。こういうところはさっと頭が回るのですよね、南川様は。

「でしょ? 問題は条件をどう設定するかなんだけど……ユリって自分のカラオケの平均点数とかすぐに出せる?」

『99.413点ですね』

「返答が音速! でも、さすがの点数だよね……じゃあ、ユリは点数が99点を下回ったら負けってことにしようか」

『平均よりも結構下に設定するのですね』

「だって平均点で設定しちゃったら2分の1くらいの確率でアウトってことでしょ? そんなにすぐに終わったら楽しくないしね」

『ほほう。言ってくれますね』

 余程レパートリーの数に自信があるのでしょうか。確かに2020年以前といえば南川様の大得意な領域ではありますからね。私と出会うずっと前から2020年以前の楽曲ばかり聴いていたことはログを見て知ってはいます。十余年に及ぶ南川様の積み重ねか、私の歌唱力か。これは面白い勝負になってきました。

『ところで、罰ゲームは何か用意しているのですか?』

「あー、罰ゲームかぁ……特に考えてはいなかったけど、せっかくユリと張り合えそうな条件にできたわけだし、何か設定してみるのも面白いかもね。何か案とかあるの?」

『そうですね……ではシンプルに、相手に何か1つお願いできる権利というのはどうですか? もちろん、倫理的にアウトなもの以外は拒否権なしで』

「おお、シンプル。でもいいね。じゃあ僕が勝ったら、一緒にホラーゲームでもやってもらおうかな」

『ひぅ! な、なんと恐ろしい罰ゲームを……!』

 ……あ、いいいいいいいいえ、ホラーが怖いだなんてことは全然ありまままませんよ? だって私、最先端のアシスタントAIですよ? 言ってしまえば科学技術の申し子ですよ? その私が非科学的なものを怖がるだなんてそんなことあるわけが――

「ゾンビ系のやつにしようかな」

『ひぇぇぇ!』

 ごめんなさい嘘つきました駄目なんです科学で説明できないやつは駄目なんですううううぅぅぅ!



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