第44話「さすがの私でも採点機能は備わってません」
4という数字は、日本だとあまり好まれない傾向にありますよね。理由は言わずもがな、その発音が『死』を連想させるからです。例えばマンションやホテルなどでは○○4号室というのは欠番になっていることが多かったりしますし、駐車場の番号なんかでも4番が飛んでいたりしますね。病院では四階に手術室や集中治療室を配置しないように造られている事が多かったりするようです。
何故こんな話を突然したかといえば、お察しの通り今回が44話だからです。ですのでもう少し4に関する話を続けましょう。
4といえば、小学校時代の南川様の野球チームでの背番号が4だったそうです。背番号4というと、高校野球や小中学生の野球では一般的にセカンド、二塁手のレギュラーの選手に与えられる背番号ですね。不動のベンチウォーマーがなんでレギュラーの背番号貰ってるんだ、と思いましたか? ええ、私もです。なので既に回答も貰っています。どうやら当時の南川様は、バッティングこそいまいちでしたが、守備はチームで一番くらいの実力だったようです。肩はそれほど強くないものの、打球への反応速度や捕球は小学生離れしていたようで、それもあって南川様は本当にセカンドのレギュラーだったそうです。しかし、チームの方針が打撃重視でした。守備は天才的ですが打撃に難があった南川様よりも、他の選手とポジションが被っているが打力のある選手がセカンドとして試合に出してもらえるわけです。結果南川様はチーム一の守備力を持つセカンドのレギュラーにも関わらずベンチウォーマーだったということらしいです。試合に出してもらえないレギュラーって、矛盾が激しいですが。でもまあ、小学生時代とはいえ現在プロ野球として活躍する選手たちよりも守備が上手かったというのは十分衝撃的な話でしたね。
余談ですが、実は四十四という名前の元プロ野球選手がいるそうですよ。
では、スタート。
本日の四曲目を私が歌い終え、五曲目は南川様の番です。
「じゃあそろそろ、さっき聴いてた曲を歌おうかな」
『お。南川様が遂に最近の曲を歌うのですね』
「そんな言い方されるほど珍しいかな!?」
『珍しいですね』
これまで既に南川様とは6回ほどカラオケに来ていますが、南川様がここ五年以内に発表された楽曲を歌っていた記憶はほとんどありません。あっても片手で数えられるほどでしょう。そのくらい珍しいことです。
「断言されるほどか……まあ、自覚がないわけではないけど」
でもまあ、別に悪いことではないですけどね。自分の好きな曲を好きに歌うのがカラオケですし。
そう言っている間に曲の前奏が流れ始めます。この曲は最近発売された、南川様がよく遊んでいる『テイルズオブフラペチーノ』の主題歌ですね。前奏に合わせてモニターに流れているのも最近よく目にするゲームのオープニングムービーです。ゲーム内ではまだ見ることのできていない飛空挺で雲の上を駆けるシーンから始まり、分厚い雲を突き抜けて海や大陸が画面に広がり、映像が再び飛空挺を捉えるとそこには飛空挺の上に立つフラペチーノを始めとする主人公たち六人の姿、そしてタイトル。最近の作品なので映像が恐ろしく綺麗ですね。
「♪〜」
タイトルがさーっと消えていくと、Aメロの歌い出しです。元々は女性の歌手が歌っている曲なので、先程の男性曲よりは歌いやすいようですね。ですがあれですね、この曲を聴いて映像も見ていると帰ってゲームの続きがしたくなってきますね。オープニングムービーには映っていてもゲーム内ではまだ辿り着けていないシーンがいくつもあるので気になってしまいます。
「♪覚えていて あなたが一番大切にしてる想いを」
サビに入ると、映像は各キャラが格好良く戦闘をするシーンになります。巨大な魔物相手に剣を振るうフラペチーノ、それを弓で援護するカプチーノ、その背後で魔法を詠唱するモカと、各キャラの特徴もしっかりわかるようになっています。
「♪忘れないで あなたが一番叶えたい願いの在処を」
南川様もその映像にテンションが上がっているのか、普段以上に感情のこもった歌声を響かせます。カラオケで歌うのは初めてのはずですが、これは点数も期待できるかもしれませんね。
「♪僕らは進む この旅が果てなく続いてようと Ah その未来を信じて」
……Whoaは上手く発音できないのに、Ahは綺麗に発音できるんですね。南川様の基準がよくわかりません。
そんな感じで南川様は最後までしっかりと歌い切りました。オープニングムービーには無い二番やラスサビの映像がネタバレになってしまうのではないかと少し危惧していましたが、さすがアニムス、その辺もきちんと配慮されているようです。軽く調べたところ、ゲームの発売から日が経たないうちはネタバレ要素はなしで映像を作成して、しばらく経つと本編の核心的な要素も含んだ映像に切り替えるらしいです。仕事が天才的ですね。
そして注目の点数は94.517点です。歌っている人も多く全国順位は248位ですが、充分高得点です。
「めっちゃ高得点だ! 確かに歌いやすかったしな〜」
『英語も少なかったですしね』
「やっぱりそれ影響してるの!?」
『さあ?』
採点に関して詳しいわけではありませんからね、私は。さすがの私でも採点機能は備わってません。




