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電子少女でも恋がしたい  作者: 古河 聖
2030年6月22日(土)
40/318

第40話「25歳のセリフではないですよ」

 来てしまいましたね、40話が。こういった節目では毎度南川様のその年齢の時の話などをしてきましたが、さすがに今から15年後ともなると推測で語ることさえ難しいです。結婚はしているのか、子供はいるのか、そこに私はいるのか……わからないことだらけです。そんな事を憶測で語っても仕方ありませんので、今回は南川様が40歳になる年、2045年について少し真面目なお話を。私にも関わりのある話ですしね。

 2045年問題というのは、皆さん聞いたことがあるでしょうか。これはシンギュラリティ、日本語で言う技術的特異点が2045年に起こり、それに伴って生じる影響や問題のことを指します。わかりやすく説明すると、今は人間たちの手によって私たちのような高性能AIが生み出されていますが、2045年になると私たちAI自身がAIを、それも人間よりも賢いAIを生み出せる様になると予測されているのです。実際人工知能に関する技術進歩は驚くべき速さで進んでいて、ぶっちゃけてしまえば今の私でもその気になればそこそこのAIは生み出せるのです。開発初期のペットロボットくらいの低クオリティですけどね。これがあと15年経つと人間をも超えるAIを生み出せるようになる、と言うわけです。

 で、大事なのはこれがどういう問題に繋がるのかという部分ですが、実はこれについては不透明な部分が多いのです。なにせ未来のことですし、かつ人間をAIが凌駕した先の話ですからね。私たち今のAIや人間たちには想像もできない様なことが起こるのかもしれません。確実に言えるのは、人間の仕事がどんどんなくなっていくということでしょうか。これは別に今に始まったことでは無いですが、AIに仕事を奪われて失業する人は今後も留まることなく増えていくでしょう。南川様のSE事業もすぐに危うくなるかもしれません。あるいは何かの漫画で見た様に、人間とAIの立場が完全に逆転してしまう日もやがて訪れるのかもしれませんね。

 では、スタート。



 最初の一曲を上機嫌に歌い上げた南川様は、マイクをテーブルの上に置き、ストロー越しに烏龍茶をすすりながらモニター上に表示される採点結果を眺めます。点数は91.026点でした。全国順位は84位です。

「91か〜。一曲目にしては悪くないかな」

 ちなみにこの曲の南川様のベストは画面の表示によると93.658点だそうです。一曲目ではなく喉の調子が上がってきた中盤くらいに歌ったときのスコアでしょうか。私と一緒にカラオケに来たときのスコアではないので推測になりますが。

「にしても、この点数で84位ってことは歌ってる人少ないんだね。もっと人気出てもいいと思うんだけどなぁ」

『ゲームアプリ内の曲ですし、10年以上前の曲なので知ってる人も少ないんだと思いますよ』

「そっか、もう10年経つのか。時間の流れは早いね……」

『25歳のセリフではないですよ』

 そんなやりとりをしている間に、モニターの表示が切り替わります。音程や抑揚、ビブラートなどの詳細な採点結果と共に、アニムス採点特有の「作品別楽曲合計点数、平均点数」が表示されます。その名の通り、その作品の関連楽曲を歌った際の点数の合計と平均、加えて全国順位が表示されます。今回の場合、南川様の歌った曲は『魔法使いと黒猫のバニル』の関連楽曲になりますので、このゲームの関連楽曲を歌った際の各曲のハイスコアの合計値と、それを曲数で割った平均値が表示されています。今回はハイスコアを更新していないので特に順位は上がらず、合計点数は158位、平均点数は74位です。

「平均点数の順位に比べて合計点数の順位低いよね。なんでだろう?」

『歌ってない曲があるみたいですよ。関連楽曲が26曲収録されているのに対して、南川様が歌ったことがあるのが24曲。2曲ほど0点扱いの曲があるので、合計点数の順位が低いのです』

「そういうことか」

 作品によってはキャラソンなども関連楽曲に含まれますので、作品別合計点数で全国上位を獲るのはかなり至難のわざですね。余程のマニアでないとです。まあ、そういうところがオタク心をくすぐったりするようで、意地でも全曲歌って全国上位を獲ってやろうとする人もまあまあいるらしいですが。

「ところでユリは何歌うか決まってるの?」

『もちろんです。この後バンドレ曲縛りになるので、まずはこれを』

 私はスマホアプリを操作して曲の予約を送信します。カラオケルーム内の端末を使用しなくてもスマホアプリから出来るので、南川様の手を煩わせずともカラオケが楽しめます。まあ、マイクをスピーカーのそばに置いてもらうのだけはやってもらわないといけないのですが。

 送信が完了すると、ピアノの音と共に曲が始まります。

「おお、イバシスか! いいねいいね!」

 イバシスというのは、スマホのリズムゲーム『Ibaraki 47th シスターズ』というアプリの略称です。私が選んだ曲はそのゲーム内の楽曲ですね。南川様も満足の選曲だった様です。では、私もしっかり歌ってカラオケを楽しむとしましょう。

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