表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
電子少女でも恋がしたい  作者: 古河 聖
2030年6月22日(土)
37/318

第37話「私の思考ルーチン解析されちゃってるのでしょうか」

 9月になりましたね。9月というと暦の上では秋ということになるわけですが、近年は秋と呼ぶにはいささか厳しい気温を保っていることがあまりに多いですね。残暑とかいうレベルではありません。かつては9月や10月に運動会を行う小中学校が多かったというデータがありますが、ここ数年ではそんな学校は存在しませんね。万が一開催しようものなら生徒たちがばったばったと倒れていきますよ。

 現在は5、6月に行う学校がほとんどです。9月10月に比べればまだ暑さはましな方ですからね。ですがこの時期は時期で別の問題を抱えていて、新しい学年になってからの期間がかなり短いため、クラス内、チーム内での団結がうまくいかない場合も多いようです。例えば、新しい学年になる前から仲の良い人たち同士は強く団結できているものの、当然そこにうまく馴染めない人もいて、それがクラスに不和を生み、孤立の原因になってしまうかもしれません。もちろん悪いことばかりではなく、運動会というイベントがあることによってクラスの結束がより強くなり、短時間で仲良くなる場合だってあります。ここは今でも論争が繰り広げられている部分ですね。メリットもデメリットも等しく存在するため、一概に良いとも悪いとも言えないのです。

 私個人的には、暑さも和らぎ、かつ寒くもなりすぎず、今まで通例だった時期とそう変わらない11月とかにやればそんなに揉めないで済むと思うんですけどね。大人たちは5月が良い悪いの議論しかしないので困りものです。子供たちにとって4〜6月は新しい環境での関係形成に大事な時期なのですから、そんな水掛け論よりもデメリットへの対策とかを議論した方が建設的だと思うんですけどね。

 では、スタート。



 午前9時半。朝食と着替えを済ませた南川様は、ろくに中身の入っていない軽い鞄を右肩に提げ、家を出ます。スマホ(わたし)さえいれば手ぶらでもいいんじゃないかと私は思っているのですが「手ぶらでお店とか行くの、なんか恥ずかしくない?」という意味不明な理論によりスカスカの鞄を持っていきます。

 マンションの1階まで降りると、駐輪場から自転車を引っ張ってきて漕ぎ出します。田舎故に徒歩圏内にカラオケ店などありませんので、自転車で向かうかたちになります。20分ほどの道のりですが、まあ電動自転車なので大した疲れはしないでしょう。最近の自転車はほとんど電動アシスト付きですからね。

 普段よく出掛ける駅の方角とは反対方向へ自転車を走らせながら、右耳では本日歌う曲の予習をしています。両耳にイヤホンをして自転車を漕ぐのは条例違反になってしまいますからね。

『珍しく最近の曲ですね。歌うのですか?』

「うん。ちょっとラスサビ前が危ういから聞いておこうと思って」

『ああ、なるほど』

 いわゆるCメロと呼ばれる部分ですね。確かに曲調が大きく変わったりする曲も多いですから、不安になるのもわかります。私はいつでも確認できるので別にそんなことにはなりませんが。

「ユリはなに歌うか決まってるの?」

『そうですね……せっかくですので、バンドレ収録曲縛りでもしてみようかと』

「あ、それは面白いかも! ……って一瞬思ったけど、全部で872曲もあるじゃん。全然縛りってほどじゃないじゃん」

『……本当ですね』

 リリースから13年も経っているとさすがに収録曲数が異常ですね。フリータイムの10時間をフルに使っても6分の1といったところでしょうか。縛りでもなんでもありませんね。

「あ、じゃあ、バンドレでカバーしてる2020年よりも前の曲縛りとかは?」

『なるほど。確かにそれだと程よい縛りになるかもしれません』

 ざっと計算してみましたが……200曲近くありますね。もちろんその全てを歌えるわけではないでしょうから、ちょうどいい感じかもしれません。

『せっかくですので、どっちが先にレパートリーが切れるか勝負してみますか?』

「お、言ったね? 僕に10年代の曲で勝負を挑んだことを後悔させてあげるよ」

『それはこちらの台詞です』

 南川様のよく聴く曲など熟知していますので、先に歌ってレパートリーを減らしてあげましょう。レパートリーの多さなら私に分があるはずですからね。

「……あ。でもそうなると、今せっかく予習してるこの曲は歌えなくなるのか」

『条件的にはそうなりますね。ですがまあ、勝負を始める前に普通に歌えばいいのではないですか?』

「それもそうだね。じゃあ、最初の1時間くらいは自由に歌って、その後勝負開始にしようか」

『了解です』

 では、その勝負前の1時間の間に南川様のレパートリーを削ってしまいましょう。私にはどうしても歌いたい曲があるわけではないですし。

「あ、でも、その1時間の間にバンドレ収録曲歌って僕のレパートリー減らそうとするのはなしだよ?」

『ももももちろんわかっていますよ?』

 どうしてばれてしまったのでしょう。南川様にはAI心が読めてしまうのでしょうか。私の思考ルーチン解析されちゃってるのでしょうか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ