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電子少女でも恋がしたい  作者: 古河 聖
2030年6月29日(土)
202/310

第202話「やらかしましたね」

 皆さんはこんな疑問を抱いた事はないでしょうか。何故、アパートやマンションの二階以上の部屋を『201号室』や『302号室』のように三桁の数字で表すのか、と。あまりにもそれが当たり前過ぎて特に気になったことはなかった、という方も多そうですが、私は気になります。

 例えばそれが結構大きめのマンションで、同じ階に十以上の部屋があるのであれば、三桁表記にする理由もわかります。最大で『二階の十三番目の部屋』だという事まで示さないといけない場合なら、下二桁を各階の部屋の識別に使って『213号室』と三桁の数字で表すのが最適解と言えるでしょう。ですが、一階層当たり四部屋くらいしかないアパートでも、部屋番号が『202号室』や『304号室』のように振られているケースが結構あるじゃないですか。不思議に思いませんか? 最大で『二階の四番目の部屋』だということが示せれば良いのなら、別に『204号室』ではなく『24号室』としても良いではありませんか。なんでわざわざ三桁にするですか。ワイジャパニーズピーポーです。

 という話を以前南川様にもしたことがあります。何故なら南川様の住むこのマンションが一階層につき八部屋なのに『805号室』とか表記するからです。なんでやねんと聞いた時の南川様の回答が『あんま気にした事なかったけど、住所書く時番地とかと紛らわしくなるからじゃない?』というものでした。思わず目から鮪が落ちましたね。確かに住所って、マンション名まで丁寧に書く場合ならともかく、省略して『1-23-45-805』のように記載するケースも少なくはなくて、この場合部屋番号が二桁表記になると『1-23-45-85』とぱっと見かなり紛らわしい感じになります。これを避けるのに敢えて三桁で書いているというなら普通に納得です。この件に関しては私も調べていないのでそれが本当の理由かどうかは存じませんが、私の中では納得したので事実かどうかはどうでも良いと思っています。誰かを納得させるのに事実かどうかは重要じゃないんですね。

 では、スタート。



 昼食処で注文を終えてラーメンが届くまでの間。話題は連鎖カラオケの感想になり、そこからお姉様への罰ゲームの話に展開しています。

「うーん、ちょうどいい罰ゲームを考えるのって意外と難しいんだよね」

「夕飯抜きとかどうですか?」

「誕生日の主賓にその仕打ちはあんまりじゃないかな妹よ!?」

「冗談です」

「冗談じゃなかったらさすがに激おこぷんぷん丸だよ!」

「……???」

 お姉様が20年近く前に流行していた謎の言葉を使ったせいで、妹様が首を傾げています。まあ、妹様が生まれて間もない頃の言葉なので知らなくて当然です。しかし、それでいうとお姉様も当時小学校低学年くらいのはずなので何故知っているのか疑問ですが。

「じゃあ、シンプルにお昼ご飯奢りとか」

「や、それは別に罰ゲームじゃなくても払うつもりだったけど。カラオケはことくんに払ってもらったし」

「まあ、割り勘にすると面倒だし時間もかかるし、学生や主賓に払わせるのもアレだったからね」

 現金払いが大きく数を減らして電子マネーやクレジットの支払いがメジャーになった昨今、割り勘という支払い方は結構面倒になりましたね。レジ側で等分して一人ずつ支払いという対応の店が多いですが、この場合どうしても会計に時間が掛かります。バスの時間が迫っていたカラオケ店では南川様が代表して会計を一括払いしていました。

「じゃあ、お昼は普通に美音ねえの奢りで、なにか別の罰ゲームを考えるか」

「……しまった! お昼奢りでオッケーしておけば実質罰ゲーム回避だった!」

 やらかしましたね。

「では、今夜の誕生日会の際に一句詠んでもらうのはいかがでしょう」

「なんでそんなエグい罰ゲームばっかり思いつくのなみちゃん!?」

 ある程度知識や素養、心得のある人ならいざ知らず、その辺りに明るくない素人が急に一句詠むのはなかなかハードルが高いですね。たとえ家族にしか聞かれないとしても結構恥ずかしいでしょう。

「一首でもいいですよ?」

「なんで難易度を上げるの!?」

「あはは……そういうのも面白そうだけど、もうちょっとライトな罰ゲームでいいんじゃないかな。元は僕が勝手に作って遊んでただけのルールもフワッとしてる遊びでの罰ゲームなわけだからさ。それであんまりしんどい罰ゲームをしてもらうのは、なんか申し訳ないよ」

 あら優しい。ですがもし仮に私が負けていたらそれと同じ主張をして罰ゲームの軽減を要求していたと思われるので、その南川様の提案は大いに良いと思います。

「もちろんわかっていますよ、お兄様。これも冗談です」

「冗談は一回で十分だよなみちゃん……」

「午後の予定はまだ決まっていませんが、帰り際くらいにどこかで夕食の買い出しをする予定です。その際の荷物持ちをしてください、というのはどうでしょうか」

「うん、そのくらいでいいんじゃないかな」

「おっけー任された! なんでも運んじゃうよ!」

「あ、ほんと? じゃあついでで米十キロとか買っていい?」

「鬼畜! ことくんの鬼畜!」

「冗談だよ」

「お前ら兄妹揃って誕生日の姉をからかって楽しいか!?」

 相変わらずの仲ですねぇ。

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