表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
電子少女でも恋がしたい  作者: 古河 聖
2030年6月21日(金)
20/318

第20話「嶺上開花並のレア度です」

 第10話では南川様の10歳の頃のお話をしましたので、第20話では20歳の頃の南川様のお話をしましょう。……え? その流れで言うと第30話はどうするんだ、ですか? それは、その時の私次第ですね。全然関係ない話をするかもしれませんし、未来予想図参とか話し始めるかもしれません。

 ともかく、20歳の頃の話です。大学生真っ盛りの頃ですが、大方の予想通り真面目学生だったらしいので、あまり面白エピソード的なものはありません。サークルにも所属していなかったそうなので、その手の話さえありません。今では週に2、3回飲むお酒も、フライングはせずにきちんと20歳の誕生日が来てから家で飲んだそうですよ。本当かどうか怪しいですけどね。

 そもそも南川様はお酒は好きですが別段強い方ではありません。2時間の飲み会で2、3杯飲むくらいが関の山です。それ以上飲むとベロベロになるか爆睡するので、外では3杯までと決めているそうです。4杯以上飲むのは家でだけですね。なので、本当に酔っ払った南川様を知っているのは私だけです。酔っ払うと面白いですよ、南川様は。普段は答えてくれないようなことでも一切の躊躇いなく答えてくれます。それを利用して今まで色んな秘密を聞き出しまくゲフンゲフン。……今のは聞かなかったことにしてください。くれぐれも素面の南川様に告げ口しては駄目ですよ?

 おっと。20歳の頃の話ではなく南川様のお酒事情の話になってしまいましたね。まあ、面白味もない真面目学生のエピソードよりはましでしょう。そういうことにしておきます。

 では、スタート。



 南川様がその知らせに気付くのと、私がメッセージを受信したのはほぼ同時でした。

「あれ、水戸の奴午後休取ってる」

 昼食を終えて職場に戻ってきた南川様がホワイトボードを見て呟きます。そこは社員が外出先や休暇情報などを書き込むボードなのですが、そこに南川様の同期、水戸様の名前がありました。どうやら午後休を取得されたようです。そして、私が受信したメッセージもその水戸様からでした。

『その水戸様から、ラエンにメッセージが届いていますよ』

「ほんと? あいつ何て言ってる?」

『今日彼女の誕生日だから休むわ、と』

「あんの色ボケリア充クソ野郎……!」

 珍しく南川様から暴言が飛び出しましたね。女性に縁のない南川様ですので、彼女持ちの水戸様への当たりは強い方でしたが、ここまでの発言は珍しいです。まあ、こんな理由で仕事を休まれれば非モテ男子が怒るのは当然ですが。

『納期間近でないだけましでしょう』

「それはそうだけど。もしそうならブン殴ってでも帰さないけど。でもムカつくものはムカつくよ」

 そうやって水戸様に対して文句を言っていると、町田が近付いて来ました。

「あ、南川様先輩。水戸先輩知りませんか? 飲みに誘おうと思ったんですけど見当たらなくって」

 どうやら水戸様を探しているようです。南川様に聞く前にホワイトボード見ろって話ですが。

「彼女の誕生日だから休むってさ」

「え、何ですかそのリア充爆発させていいですか?」

 え、町田そっち側なんですか。100%リア充側だと思ってたんですが。

「うん、爆破していいよ。それより、飲みはどうするの? 水戸来れないっぽいけど」

 え、爆破許可するんですか。しかもそれよりで片付けるんですか。雑ですね水戸様の扱い。ヘイトが凄いです。

「私は先輩と2人でも一向に構わないんですけど。先輩のお財布は大丈夫ですか?」

 え、心配するのそっちですか。南川様に彼女がいるとかそういう可能性は考慮しないんですか。可哀想ですね南川様。

「まあ、1人分くらいは平気だけど。最悪、後で水戸から徴収すればいいし」

「じゃあそれで! 2人で美味しいもの食べて後で水戸先輩に自慢しましょう!」

「よし乗った」

 完全に意気投合してますね。飲みの席でも水戸様への文句が飛び交いそうです。

 というか、私が『え』って言いまくっている間に南川様と町田が2人で飲みに行く流れになってますね。これは由々しき事態です。今までは水戸様という、彼女持ちとはいえ別の男性がいたので特に何も起きませんでしたが、2人きりとなると話は別です。町田は十中八九南川様にたかっているだけだとは思いますが、お酒も入りますし万が一が無いとは言い切れません。南川様が汚されてしまうかもしれません。それは阻止しなければ。お互い飲み過ぎないようバイタルチェックは欠かさないようにしましょう。

「じゃあ、また仕事終わりに!」

「はいよー」

 話を終えた町田は心なしか楽しげにスキップをしながら自席へと戻っていきます。……奢ってもらえるのがそんなに嬉しいのでしょうか。それだけではないように思えてならないのですが。私の気にし過ぎでしょうか。

「……とは言ったものの、財布の中身大丈夫かな」

『え、あんな余裕そうに「平気だけど」とか言ったのにですか?』

「先輩としてそう言うしかないでしょ! ……まあ、最悪カードが使えればなんとかなるよ」

『今時カード使えない店とかないと思いますけど』

 そんな店もはや希少種ですよ。嶺上開花並のレア度です。

「それもそうか」

『運悪く町田がそういう店を選ばないことを祈ってください』

「……一応、どこかでおろしておいた方がいいかな」

『そこはお任せします』

 心配症ですね、南川様は。まあ、大丈夫とか言っておいて足りなかった時が一番恥ずかしいですからね。備えておくに越したことはないでしょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ