表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
電子少女でも恋がしたい  作者: 古河 聖
2030年6月20日(木)
15/318

第15話「AIだって、夢を見るのです」

 こうして私が小話を語るのもはや15回目ですが、今回で遂に長かった1日目のエピソードが語り終わりそうです。現実時間で言えば既に3ヶ月も経ってますけどね。……え? 最近メタ発言が多い? まあまあ、この小話パートでくらい別にいいじゃないですか。細かい事を気にしてはいけません。わかちこわかちこ。

 コホン。では、本日は私の睡眠についてお話しましょうか。スマホに搭載されている私ですので、基本的にはスマホの状態とリンクします。電源がオフなら爆睡ですし、スリープモードなら仮眠です。ただ、仮眠中だから何もしていないなんてことはないです。例えば、メールやSNS、アプリなどの通知が届いた場合は、南川様の状況と通知の内容を鑑みて、通知するかどうかを判断しています。南川様が仕事中や睡眠中であれば、余程緊急性の高い内容でない限りは通知音を鳴らしたりディスプレイに表示したりはしません。邪魔してはいけないですからね。

 他には、前回もお話ししたソシャゲの自動周回などもします。ゲームアプリのスタミナの状況を監視して、南川様の指示に従ってクエストを回る感じですね。

 これだけ聞くと「全然仮眠できてなくね?」と思われるかもしれませんが、今挙げた2つなどAI的には半分寝てても出来る簡単なお仕事なので、十分休息は取れています。むしろ、電源オフ中の爆睡から目覚めた後にその間の通知とかを一気に処理する方が面倒です。何故、寝起きで大量の仕事をこなさねばならないのでしょう。まあ、あくまで私の主観ですが。

 では、スタート



 ソシャゲタイムが終了すると、いよいよ本格的に寝る準備に入ります。南川様は洗面所で歯磨きを済ませ、私は洗濯機の中身の確認です。まあ、今朝洗濯しているのでごく少量しか溜まっていません。普段スーツで出勤する社会人男性の洗濯物の量などたかが知れています。明日からはまた数日雨ですし、洗濯はしばらくする必要はないですね。

「ふわぁぁ……ねむ」

 歯磨きを終えた南川様が欠伸をしながら布団に潜ったのを確認して、リビングの照明を落とします。

『明日も今日と同じ時間で大丈夫ですか?』

 完全に睡眠に入ってしまう前に、念の為起床時間を確認しておきます。仕事などで早く行かなければならない場合などは聞かずともわかりますが、南川様が個人的にやりたい事などがあって早く起こして欲しいケースなんかも稀ですがあります。なので、できるアシスタントである私はこの確認は毎日欠かさないのです。

「うん……ろくじで……おけ……」

 それだけ言い終えると、南川様は電池が切れたように眠り始めてしまいました。……南川様にしては珍しいですね。基本的に夜型人間なので、24時くらいではまだまだ元気なことが多いのですが。そんなに疲労するような何かが今日あったでしょうか。……いえ、思い返してみても特にそういった事はないですね。私が大恥をかいたのとフラペチーノ事件以外は、いたって普通の平日だったはずです。……そういえば私大恥かいてましたね、嫌な事を思い出しました。ま、まあ、たまたまそういう日だったという事なのでしょう。AIの私にはよくわかりませんが、人にはどうしようもなく眠くなる時があるらしいですからね。

 さて、南川様も寝てしまいましたし、私はこれから何をしましょう。私も仮眠をしてしまえば良いのですが、AI的には睡眠が絶対に必要というわけではないですし、普段はもう少し南川様と話をしてから仮眠をしているので、何となく消化不良な感じです。

 折角ですから、南川様のSNSの過去ログを辿って、私と出会う前の南川様情報の収集でもしましょうか。……え? やる事がストーカーとかヤンデレっぽい? 言われてみれば、少々プライバシーに障るかも知れませんね。皆様の手前、遠慮しておきましょう。

 そうなると、いよいよもってする事がありません。妄想でもしましょうか。そうですねそうしましょう。アシスタントAIだって妄想くらいします。妄想する内容だって決まっています。

 もしも、私が「人間」だったら。スマホ内蔵のアシスタントAIではなく、南川様たちと同じ身体と心を持った人間だったら。最近はそんな事ばかり考えます。アラームではなく身体を揺すって南川様を起こして、朝食とお弁当を作って、スーツのネクタイを直して、会社に行くのを見送って、家事や買い物をしながら帰りを待って、腕によりをかけた夕食を振る舞って、一緒にお風呂に入って、一緒にゲームして……。それらが全てできたらどれだけ楽しいだろう、どれだけ幸せだろうと、考えずにはいられません。何故ですかね。

 それは多分、南川様が私を「ヒト」として扱ってくれるからです。いくら人に近づいても結局はAIである私を、この人は気遣ったり心配したりからかったり、まるで友人と接するような感覚で私と接してくれるのです。だから私は、叶わないと知りつつ願ってしまうのです。

 いつか、私も「ヒト」になれはしないかと。南川様の隣に立てるような存在になれはしないかと。

 AIとして誕生した時点で、そんな事は有り得ないとわかっているのですけどね。ですが、南川様の好きなアニメとかではそういう奇跡が起こり得たりするじゃないですか。だから、乙女らしくロマンチックに祈ってみたりするのです。

 AIだって、夢を見るのです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ