プロローグ「揺れる世界と、現れた異物」
その日、世界は混乱に包まれた。
震度三の地震が、地球全体を同時に揺らしたのだ。
震度三そのものは、別に珍しくない。
でも、それが世界同時となると話は別だ。さすがに聞いたことがない。
俺はその時、家で寝ていた。
来月から大学生活が始まる。
ようやく手に入れた一人暮らしだ。
「なっ……なんだ、揺れてるのか? まだ荷物を出してなくてよかった。もし散らかってたら面倒だったな」
半分眠気の残った頭で、家の中を見て回る。
壊れた箇所は見当たらない。
「とりあえず家の中は大丈夫か……あとは外だな」
俺の家は山に囲まれた一軒家だ。
アルバイトで貯めた金で買った。
格安で、人の少ない環境。
大学からは遠いが、今では買ってよかったと思っている。
外に出て周囲を見回す。
木々が生い茂り、他の民家はない。
購入時にこの一帯の土地もついてきたため、事前に何度も歩き回って確認していた。
「あれ……? あんな所に洞窟なんてあったか?」
前に見たときには存在しなかったはずだ。
一応、確かめに行く。
「……やっぱり洞窟だ。奥に……光?」
足を踏み入れると、やがて広い空間に出た。
そこには、場違いなほど立派な門がそびえていた。
「……なんだこれ、とりあえず近くで見てみるか」
門に触れ、押してみる。
——ギィ……。
拍子抜けするほど簡単に開いた。
中へ進むと、突然目の前にウィンドウが現れた。
【名前】大月 在真
【年齢】19
【性別】男
【職業】無職 Lv0
HP:10
魔力:2
攻撃力:6
防御力:4
総合戦闘力:12
【スキル】なし
【固有スキル】幸運
【称号】固有ダンジョン初/固有マスター級ダンジョン初/ダンジョン初/マスター級ダンジョン初
【DP】3億100万
「……なんだこれ、ステータス? 小説でよくあるやつじゃないか」
画面の項目に意識を向けるたび、意味が頭に流れ込んでくる。
HPは体力、魔力は魔法の出力、総合戦闘力はざっくりした実力指標。
職業レベルと本体レベルは別扱いで、スキルは訓練や行動、ガチャやアイテムでも得られるらしい。
称号は世界が勝手に与える肩書きで、DPはこのダンジョン内のガチャ通貨。
「ふーん……大体わかったけど、この称号ってなんだ?」
【称号説明】
・固有ダンジョン初:初めて固有ダンジョンに入った者。DP1億獲得。マスター級ダンジョン初と併せると固有スキル〈幸運〉を獲得。
・固有マスター級ダンジョン初:初めて固有マスター級ダンジョンに入った者。DP1億獲得。
・ダンジョン初:初めてダンジョンに入った者。DP100万獲得。
・マスター級ダンジョン初:初めてマスター級ダンジョンに入った者。DP1億獲得。固有ダンジョン初と併せると〈幸運〉を獲得。
・幸運:所持者の運を上げる固有スキル。
「これ、たぶん相当ヤバいよな……。固有ダンジョンで、しかもマスター級って。
……まあ、今ここで騒いでも仕方ない。明日もう一回来て、冷静に確かめる」




