2章 45話 最終話
グールの事件から何日かすぎて、まだ神殿はバタバタしているけれど、ファルネ様が私の側にずっといてくれるようになった。
シリルとリベルも森に帰って少しずつ元の生活に戻りつつある。
クレアはあれから神殿で神官の修行をする事になったんだって。
禁呪に関する調査があるから、しばらくは会えないってラーズ様が言っていた。
いつか--またお話することができるかな。それとも嫌われちゃったからもう仲良くなるのは無理なのかな。
私がそんなことを考えながらご飯を食べていたら、ファルネ様がナイフとフォークを置いて「何かお願い事はありますか?」って聞いてきたの。
私が思わず「お願い?」って聞き返せば、
「はい。リーゼは頑張りましたからね。ご褒美があるそうですよ」
と、ファルネ様が笑ってくれた。
「頑張った?頑張った?」
「はい。カルディアナが無事だったのも。
私が助かったのも全部リーゼのおかげですよ」
言って頭を撫でてもらえて。私はとっても幸せな気分になれる。
褒められるのは嬉しい。
「なんでもいいの?なんでもいいの?」
「はい。私にできる事ならですが」
「あのね、あのね。
私もダンス習いたい!」
「……ダンスですか。
ああ、豊穣祭の舞踏会ですね」
「うん!うん!
あのね。ダンスを見てて思い出したの。
私もね、昔うーーーーんと小さいころ。
パパとママと豊穣祭の舞踏会を見たの!
その時ね、パパが言ってたんだ。
5歳になったらみんなで踊ろうって!!
パパとママはその前に死んじゃって、踊れなかったの。
だからお墓の前で見せてあげるんだ。
ソニアも踊り踊れますよってパパに報告するの」
私が言えばファルネ様が一瞬口ごもる、けれどすぐにいつもの笑顔になってほほ笑んでくれる。
「ええ、踊りましょう。
お菓子も用意して」
言って私の手を握ってダンスのポーズみたいにしてくれる。
えへへなんだかお姫様みたい。
「うんうん!今度はリベルもシリルも参加できるといいな」
「はい。身内だけでやりますから。大丈夫ですよ」
「本当!?本当!?リベルが喜ぶからお菓子をいっぱい用意しようね!シリルも実は甘いの好きなんだよ」
「それは初耳です」
「秘密だよ?秘密だよ?夜中こっそりお菓子食べてるの見ちゃったの」
と、私がしーっとすれば、ファルネ様も笑ってしーってしてくれる。
それが嬉しくて私はファルネ様に飛びついた。
楽しみだな。楽しみだな。
私もダンスを習うの。
この前の広場にいた人達みたいに踊るんだよ。
一緒に踊るのはもちろんファルネ様で。
私はこの前みたいに絵本の中のお姫様みたいなかわいい恰好をするの。
ファルネ様は王子様みたいにかっこいいお洋服で。
嬉しいな。嬉しいな。うれしいな。
前にお墓詣りしたときは、ファルネ様と二人だったけど、今度はみんなを紹介しなきゃ。
シリルとリベルはお友達。
ラーズ様は大神官様!
カイルさんは神官さん!
ファルネ様は………あれ?
「どうかしましたか?」
「ファルネ様!ファルネ様!」
「はい?なんですか?」
「リーゼとファルネ様はなんていうの?」
「はい?」
「シリルとリベルとダイやレムやコロンたちはお友達なの。
でもファルネ様はお友達じゃない。
大好きな大好きな大好きな人なの。
シリル達も好きだけれど、何か違うの。
パパとママとも違う大好き!!!!」
私が言えばファルネ様が顔を赤くする。
「ファルネ様?」
私が顔をのぞき込めばファルネ様が顔を抑えて
「あ、いえ、その……なんと言えばいいか。
リーゼには本当に敵いません……」
言って耳たぶまで真っ赤にしてうずくまる。
「どうしたの?どうしたの?ファルネ様??
具合悪い???」
「いえ、大丈夫です。
ですがその、少しだけ落ち着く時間をください」
言って顔を抑えたまま、私の頭を撫で撫でしてくれる。
それが嬉しくて、私はファルネ様に抱き着くの。
楽しみだな。楽しみだな。
待っててね。パパ。ママ。
5歳の時は踊れなかったけれど。
今度お友達とファルネ様を連れて一緒に踊るんだ。
パパとママにダンスを見せてあげるんだ。
楽しみだな。楽しみだな。
待っててねパパとママ。
もうすぐ会いにいくからね!
どうかこの幸せがずっとずっと続きますように。
~第二部 終わり~
★★完結しました★★
第二章完結です!ありがとうございました!
読んでくださった方&誤字脱字報告&ポイント&ブクマ本当にありがとうございました!!
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買って下さった方は本当に本当にありがとうございました!!多謝!!











