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2章 44話 謝罪(クレア視点)

 カルディアナは、混乱に満ちていた。

 突如街中にグールが現れ、そしてそのグール達を聖女の木々が一瞬で喰らいつくしてしまったのである。

 聖女の力によって、誰一人グールの被害が出る事はなかったが、それでも、突然のグールの登場に街は慌てふためいている。

 それでも、

「今、邪悪な邪教徒は打ち払われた!!カルディアナを救いし、聖女様に祈りを!!!カルディアナのご加護に感謝を!!!」

 聖女がグールを倒し終わると、まるでそれを待ち構えていたかのように、神官達が聖女を称えながら住民達を避難させはじめる。その声につられて呆然としていた人たちも、神官達の聖女を称賛する言葉に誘導され聖女を称賛し、祈りを捧げはじめた。

 大量に街に沸いたグールの血しぶきに触れぬようにと、神官達が慌ただしく住民に指示し、住民たちも、それに従い、みな聖樹の方に祈りを捧げ感謝を述べる。

 

 慌ただしく神官達や国の兵士たちが行きかう中、クレアはただ茫然と立ち尽くしていれば神官達に「ご同行願います」とクレアは、話しかけられた。


 大神官ラーズはきっとクレアのせいでこのような事態になったのを見通しているのだろう。

 大勢の神官に囲まれ、逃げる事は許さないと無言の圧力を加えられクレアは頷いた。


 もとよりーークレアに逃げる気などない。

 自分でもこのような事件を起こしてしまった自分自身が怖いのだから。


 クレアが神官に連れていかれようとしたその時。


「クレア待ってくれ!!」


 呼び止めたのはアルベルトの兄のゲオだった。


「ゲオ様……」


 彼は息を切らせながら、クレアに近づいた。

 ゲオも複数の神官に監視されているのか、逃がさぬようにと複数人に囲まれている。


「すまなかった。君を守れなかったのは私のせいだ」


 息を切らせながら謝るアルベルトの兄にクレアは、微笑んだ。


「ゲオ様は関係ありません。私は……」


「いや、俺のせいだ!

 アルベルトに頼まれていたんだ。クレアを守ってほしいと頼まれていた」


「え……」


 ゲオの言葉にクレアは言葉を止めた。


「どういう意味でしょうか?」


「あいつは言ってたんだ。『自分がおかしい。誰かに操られてる気がするだからクレアから引き離してくれ』と、舞踏会の前の日の夜に。でも、俺は、酒に酔っているだけだと相手にもしなかった」


 そう言ってゲオはぐっとこぶしを握る。


「あの時俺が信じて、神殿にアルベルトを引き渡していれば、こんな事にならなかった。

 本当にすまない!!!!」


 ゲオが頭を下げれば、ゲオの後ろに控えていた神官達が


「ゲオ様。気がすみましたか。これ以上は」


 と、制止した。アルベルトの兄であるゲオもまた神官の調査対象なため身柄が拘束される。


「待ってくれ!!アルベルトがクレアに書いた手紙が!!」


 ゲオが何か手紙のようなものをクレアに渡そうとするが、神官たちは首を振り


「ラーズ様の許可なしにはお見せできません。ご自分の立場をわきまえていただきたい」


 と、没収されていく。


 それでも――。

 もしゲオの言葉を信じるならば、今までの事は全部夢・幻ではなく本当のアルベルトは自分を愛してくれていた。


 その希望が持てただけでもクレアには十分だった。


「ありがとうございます。ゲオ様」


 そう言ってクレアは微笑んだ。

 これから自分は神殿でどのように扱われるのか、未来はわからない。

 騒ぎが収まったという事は--アルベルトも無事ではないのだろう。

 あの禁呪が発動してしまったのも、アルベルトがあんな事になったのも恐らくクレアのせいでーー自分の存在がいかに危ないものなのか自分自身がよくわかっている。


 もしかしたらーー危険な存在として命を絶たれてしまうかもしれない。

 死ぬのが怖くないかといわれれば嘘になる。

 だけど、アルベルトが操られグールを復活させてしまったのが自分のせいなのだとしたら――生きていくのはもっとつらい。だから恐怖はあるが後悔はない。

 死ねばアルベルトの元に行けるのだから。


 けれど、未練があるとすれば、自分はリーゼに酷い事をしてしまった。

 グールと頭ではわかっていたのに、目の前で何のためらいもなく血しぶきをあげながら人間をミンチにしていくリーゼに恐怖を感じてしまったのだ。


 リーゼからしてみれば、禁呪を復活させてしまったクレアの方がよほど化け物だったのに。

 

 もし願いが叶うならーーリーゼに一言謝りたい。

 神殿に連れていかれるなら、リーゼに謝る機会くらいは貰えるだろうか?


 クレアは手をひかれ神官達に馬車に案内される中。



 わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!



 歓声があがった。

 上を見上げれば、空を飛び走る、銀色の狼と、茶色の熊。

 銀の聖女シリルと、ファラリナの聖女リベル。

 そしてその上には真っ白なローブを身にまとった、聖女と真っ黒なローブの神官が乗っていた。


 リーゼっ!!!


 クレアは慌てて身をのりだす。

 言いたい事はいっぱいある。伝えなきゃいけない事も。謝らなきゃいけない事も。

 それでも


「聖女様!!!ありがとうっ!!!!!!楽しかったです!!!」


 大観衆の中を通り過ぎる聖女達にクレアが言えた言葉がそれだった。




誤字脱字報告&ポイント&ブクマ本当にありがとうございました!!

書籍の方も本当にありがとうございます!!!


全44話と言いましたが、現在40話のダルシャ教徒の話を入れ忘れていたので全45話でしたすみませんorz次でラストになります。

あと後から書き直したところと、最初の方に矛盾があった場合後でこっそり修正するかもしれませんorz完結してしばらくしたら話の順番を変えたりしますorz

残り一話となりましたお付き合い本当にありがとうございました!!!

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