2章 25話 楽しいひととき
聖樹の前の大きな広場。
そこにはいっぱいの人がいた。
大きな広場に食事がずらりと並んで、綺麗なドレスやスーツを着た人がいっぱいいるの。
テーブルには食べきれないくらい食事がずらっと並んでて。
リベルが見たら喜びそう。リベルはファルネ様のローブの中に隠れてるんだ。
シリルも小さくなって私のスカートの中に隠れてる。
私はラーズ様が手続きしてくれて会場に入れたけどクレアは手続きでちょっと遅れてるの。
私はファルネ様とラーズ様とでクレアがくるのを待っている。
オーケストラの人たちが軽快な音楽を流して、広場ではピエロみたいな格好をした人達が来た人に飲み物を配ってた。
ここだけがお祭りのパレードみたい。
「すごい!ファルネ様凄いよ!!」
私がファルネ様の手をとってぎゅっとして言えばファルネ様が微笑んでくれて「そうですね」と笑ってくれる。
ここにいる人たちが全員ダンスするってどんな光景なんだろう。
私はそれだけでも嬉しくなってはやくダンスの時間が来ないかなとあたりを見回す。
「リーゼ、離れるんじゃないぞ」
ウロチョロしそうな私をラーズ様が引き寄せた。
そうだ、私はラーズ様の姪なんだ。
だからラーズ様から離れちゃいけない。
急すぎて身分証を用意できなかったから、ラーズ様とずっと一緒にいないといけないって言ってた。
クレアはちゃんと手続きをしてから会場に入るらしくって、まだ入口で手続きしてる。
はやく舞踏会始まらないかなぁ。
ファルネ様がふらふらと食事の方に向かってるのはきっとマントの中のリベルが引っ張ってるからだね。
急に動きがとまって、ファルネ様がうつむいてる。リベルがまだダメだよって注意されてるのかも。
リベルの様子を見て『なにやってるんだいっ!』って私のスカートに隠れてるシリルが怒ってた。
「ラーズ様」
私がラーズ様とお手手を繋いではじまるのを待っていれば、警備の人の格好をしたイヴァンさんが寄ってきた。
どうしたんだろう?
ごにょごにょと耳もとでラーズ様に何か言っている。
聞き取れるんだけど何を言っているのかわからない。
高位の神官だけの言葉なんだって。
私ももう少ししたら習う予定なの。
難しい言葉だから今おしゃべりしている言葉を全部読み書きできるようになってからなんだって。
「リーゼ。何があっても私から離れないように」
そう言うラーズ様の目が真剣で。私はコクコク頷いた。
何か大変な事があったのかな?
■□■
お祭りは楽しかった。
最初にね、国王様が挨拶して、王族の女の人があいさつしたの。オーケストラの人達が綺麗な曲を演奏してくれて。
国王様が帰ると今度はピエロさんたちがショーをみせてくれるんだ。
隣で見てるファルネ様とクレアとラーズ様に凄いね、凄いねっていうと皆頷いてくれて、ファルネ様のローブからひょっこりお顔をだしたリベルも楽しそうに見てた。
私たちの席は神官の人専用席らしくってとっても見晴らしのいい場所にあるの。
でも天幕?が張ってあってお外からは見えないんだって。
今は広場でピエロさんたちが玉乗りを見せてくれてる。
これが終わったら、ダンスがあってみんなが踊った後、好きな人がいる人は告白するんだって。男の人はダンスを誘って女の子は好きな人にお菓子を渡すの。
みんなこの日はお菓子をドレスに隠すんだ。私もフローラさんにドレスに隠してもらったんだ。ファルネ様へのお菓子。
私もみんながお菓子を渡し始めたらファルネ様に渡すんだ!喜んでくれるかな?
ファルネ様を見上げれば、にっこり微笑み返してくれて、嬉しくなってぎゅっと手をつなぐ。
ずっとお外の世界は怖いところと思っていたけれど。
お外の世界は怖いばかりじゃないんだよ。
私の知らない楽しい事がたくさんあって。
いろいろな行事があって。
知らない人たちがいろいろな生活を送ってて。
怖い人もいっぱいいるけど。
優しい人もいっぱいいて。
私はきっと幸せなんだ。
お外の世界を知ることができて。
みんなと遊べる。
ファルネ様はリーゼの大事な天使様。
リーゼに幸せを全部運んできてくれたの。
今私があるのはファルネ様がいるからなんだ。
大好き。大好き。大好き。
どうかクッキー喜んでもらえますように。











