2章 14話 言っちゃ駄目
「ラーズ様。告白しちゃいけないの。ファルネ様に告白するとバイバイされちゃう!」
オヤツを食べる中庭のテーブルで、ラーズ様に私が言えば、ラーズ様は物凄く困った顔をした。
最近はファルネ様も自分のお仕事があるので、週に一回オヤツはラーズ様と一緒に食べるんだ。
前にシリルが、あれは、お前の近況を聞くための儀式だろって言っていた。
ファルネ様以外ともしゃべれるようにラーズ様達が気をつかってくれて、たまに話す相手を変えるってシリルが言ってたから、そうなのかもしれない。
ラーズ様は飲みかけてたティーカップを置いて
「……はい?」
と、私に聞くの。
「あのね。クレアが言ってたの。
恋人になるには告白しなきゃいけないって。
でも告白したら振られちゃって距離を置かれて会えなくなっちゃう。
だから大好きっていったらダメ」
私の言葉にラーズ様が一瞬うーんと考える顔をしてから
「……そうですね。告白はもう少し大きくなってからするものです。
まだ早いかもしれません」
「うんうん。だからファルネ様に大好きって言わないよ。
言ったらバイバイされちゃうかもしれないから」
「ですが、リーゼ様。
告白にはタイミングもあります」
「タイミング?」
「大人になり、互いに婚約の契りを結び神殿の前で愛を告げ合う。
これが神殿の正式な告白です。
普段のリーゼ様が使われる「大好き」は告白にあたりません」
「そうなの?そうなの?
私はまだ子供だから大丈夫?
じゃあファルネ様に大好きって言ってもいいの?」
「はい。大丈夫ですよ。
普段言っていたものを言わないのではかえって相手を不安にさせてしまいますよ」
言われて、私は考えた。
本当だ。本当だ。
私もファルネ様に大好きって言ってもらえなかったらヤダ。
「どうしよう。どうしよう、ファルネ様怒ってるかな?」
「あれは大丈夫ですよ。怒ってはいないでしょう。
ただ不安に感じているのも事実ですから。
きちんと気持ちは伝えたほうがよろしいかと」
「うん!そうするそうする!ありがとうラーズ様!」
やっぱりラーズ様は大人だから凄い。
すぐ解決策を言ってくれるんだ。
大好きって言っていいんだ!よかったよかった!
すぐお口から大好きっていいそうになって、我慢するのが大変だったの。
これからは一杯言っても大丈夫なんだって。嬉しいな。
「ありがとう!ラーズ様」って私が微笑めばラーズ様も微笑んでくれるの。
私は嬉しくてうんうん頷いた。
はやくファルネ様お仕事終わらないかな。
お仕事終わったらいっぱい言うんだ。
大好き、大好きファルネ様って。
早くファルネ様が戻ってきますように。
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