表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/95

2章 10話 秘密のお話

 今日はクレアのお店でお菓子作りの見学。

コネコネコネって台の上でクレアがお菓子の生地を練ってるの。

 クレアの隣で生地作りを見ているんだ。

 クレアは魔法使い。

 パンもケーキもクレアの作ったものはとっても美味しいの。

 もっちりのホワホワで。

 しっとりのパリパリで。

 シャキシャキだったりぷにぷにだったり。

 神殿で出されるお菓子も美味しいけれど、クレアのお菓子はもっともっと美味しい。

 だからラーズ様達にもプレゼントしてあげるって事になったんだよ。

 クレアに神殿の人に配るパンを注文したの。

 クレアは特別に自分専用の小さな厨房があるんだって。

 お店の人とは別に作ってるって言ってた。

 だから私はクレアの隣でパンを作っているのを見ていたら 


「リーゼちゃんってファルネ様大好きだよね」

 

 ってパンをこねながら聞かれたんだ。

 ファルネ様と店長のサーニャさんは少し離れたところでお話をしている。

 私はクレアに言われて嬉しくなって微笑んだ。


「うん!とっても好き!!」


 ファルネ様は私を助けてくれて、大事にしてくれるとってもとっても大事な人。

 その言葉にクレアが一瞬顔を赤くして、うーんって考えた後


「もしかして……恋人同士だったりして?」


「コイビト?」


「あ、違ったらごめんね。

 兄妹でもなさそうだし、神官の人が護衛につくのって普通じゃないから。

 恋人同士なのかなぁって」


 クレアが聞くけれどどういう事だろう?

 リーゼは貴族じゃないよ。あ、でも聖女っていうのは内緒ねってファルネ様に言われてる。

 どうしよう。どうしよう。なんて応えよう。


「うーん。大好きだと恋人?

 私ファルネ様大好きだよ!」


「えっと、片方が好きだと恋人じゃないかな?

 告白して両方の想いが通じてないと」


「じゃあ今度ファルネ様にコクハクする!」


 私がニコニコして言えば


「リーゼちゃんのそういう所羨ましいな」


 と、ため息をつかれちゃう。


「どうして?どうして?」


「私も好きな人いるけどそんな事恥ずかしくて聞けないもん」


「そうなの?そうなの?好きなのに?」


「好きだからだよ。ふられちゃったらどうしようと思うもの。

 リーゼちゃんは素直に聞けてすごいと思うよ」


「ふられちゃうって?何?何?」


 私が身を乗り出して聞けばクレアが不思議そうな顔をして


「えーと、自分は好きじゃないって言われて距離を置かれちゃう事?

 場合によってはもう会えなくなることもあるし」


「距離おかれちゃうの!?会えなくなるの!?」


 ヤダ!ヤダ!ヤダ!ファルネ様と毎日一緒じゃないなんてヤダ!

 バイバイって置いていかれたらまた一人になっちゃうよ?


「う、うーん。その人にもよるけれど大体はそうかな?」


 ファルネ様に毎日会えないの!?

 おはようございますってニコニコと頭を撫でてくれなくなっちゃうの?

 「ご飯の時間ですよリーゼ」って呼びにきてくれないの?

 美味しいね、美味しいねって二人でご飯食べられなくなっちゃうの?


 そうしたらご飯は一人で食べるの?

 

 もうジャリジャリでも泥の味でもなくて、ご飯はとっても美味しいけれど。

 でもね。ファルネ様が一緒だからもっともっともっと美味しいの。

 美味しいねっていうと笑ってくれて、ご飯をお口につけちゃうと、口についてますよって拭いてくれるの。


 毎日毎日勉強をおしえてくれて。

 ファルネ様のお膝はリーゼの特等席なんだ。

 お膝に座って、お勉強を教えてもらうの。

 

 聖女の歴史に、カルディアナの歴史。

 国の生い立ちから王様の名前まで。

 私は聖女だから一杯覚えなきゃいけないことがあるけれど。

 ファルネ様と一緒だから覚えられるんだ。


 寝る時もおやすみなさいって言って頭を撫で撫でしてくれる。

 それがなくなっちゃう。


 ヤダヤダヤダ。

 せっかく記憶をなくさなかったのにファルネ様とバイバイなんて絶対ヤダ。


「ヤダ!ヤダ!ファルネ様とずっと一緒がいい!」


「うん。私も。今の関係のままでいたいから好きな人に聞けないんだ」


「わかる!わかる!私もファルネ様に聞くのやめる!」


 私がクレアの手をとってウンウン肯けば


「私がどうかしましたか?」


 と、様子がおかしいと感じたのかファルネ様がこっちにきちゃう。


「違うよ。違うよ。何でもないよ!」

「は、はい。女の子の秘密のお話だよねリーゼちゃん?」

「うん!うん!秘密のお話!秘密のお話!」


 私とクレアの態度にファルネ様とサーニャさんが不思議そうに顔を見合わせる。

 ファルネ様にはコクハクは内緒にしないと!

 




ポイント&ブクマ&誤字脱字報告ありがとうございました!!!感謝です!!

所要で誤字脱字報告等少し確認が遅れますすみませんorz

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

■□■宣伝■□■
★書籍化&漫画化作品★
◆クリックで関連ページへ飛べます◆

表紙絵

表紙絵

表紙絵

表紙絵

表紙絵

表紙絵

表紙絵
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ