1章 11話 旅立ち
「用意はできましたか?リーゼ」
そう言ってファルネ様が私を持ち上げてくれた。
私はこくこく頷くの。
あれから、いっぱい旅に出る練習をして私たちは旅に出る事になったんだよ。
ファルネ様と一緒の場所に行けるなんてとっても嬉しい。
旅は怖いけれど。ファルネ様と一緒ならきっと平気。
長旅になるから、お外に出る練習も一杯したの。
外に出るから髪も可愛い栗毛に染めてもらった。私を捨てた人達に見つからないように変装なんだって。可愛い帽子も買ってもらった。
馬車に酔わないように毎日ちょっとずつ馬車に乗ってファルネ様とお出かけも一杯したからもう平気。
長い旅になるってファルネ様は言っていたけれどずっと馬車でファルネ様と一緒だと思うと嬉しい。
暇にならないようにと可愛いお人形も一緒に買ってくれた。
聖樹の種を入れた状態の鉢も一緒に馬車に乗せている。
わたしの聖樹の種も馬車の中でお祈りしてたら芽吹くかな?
私がじーっと植木鉢を見ていれば
「用意はできましたか?旦那?」
話しかけられた。おヒゲの冒険者さん。名前はラムデムさん。
他にもリッケさんゼーンさん女性のペーネさんもいる。
私達の護衛をしてくれる冒険者さんなんだって。
神殿から推薦されたから信用出来る人たちだってファルネ様が言っていたからきっと平気。
この人たちは私に暴力を振るったりしないはず。
だってファルネ様が信用できるって言ってたもん。
ファルネ様が護衛の冒険者さんたちに挨拶したあと、私と一緒に馬車にちょこんと乗り込んだ。
私の場所だけお布団があって私はそこで横になる。
「辛かったらすぐ言ってくださいね?回復魔法をかけますから」
言って頭を撫でてくれるのが嬉しくて私はにっこり笑う。
最近ずーっとファルネ様と一緒だから引越しは嬉しい。
前みたいにお仕事に行かないし。
また引越し先についたらお仕事にいっちゃうのかな。
ずっとずっと一緒に旅ができたらいいのに。
■□■
旅は楽しかった。
昼間はずーっと馬車の中で寝たままファルネ様に本を読んでもらって。
ご飯は護衛の人たちと一緒に食事をした。
護衛の人は荒野での案内をお願いしているみたい。
4日荒野を馬車で通過して、やっとたどりついた別の町で私たちは宿をとった。
いまはその食堂でご飯を食べている。
「そこで俺が剣でまっぷたつにしてモンスターを倒したんだ。
生きかえるとまずいからな。
身体を刻んでやった」
ヒゲのお顔のリッケさんが言えば
「何もこんな可愛いお嬢ちゃんの前で血なまぐさい話をすることないじゃない」
と、女の冒険者さんペーネさんがリッケさんを叩く。
「まったくだ」
と、水を飲みながらラムデムさん。
「所で旦那。
次の都市への移動は、お嬢様の体調も考えて途中でエルディアの森で休憩をいれたいのですが」
「エルディアの森?聖なる狼が住むといわれる聖樹の森ですか?」
「ええ、あそこは聖なる狼が管理している場所で街はありませんから、無視していくのが本来のルートなんですけどね。
そこを無視してしまうと、荒野で野宿が8日も続くんですよ。
お嬢さんの体力を考えると一度どこかでちゃんと休憩をとったほうがいい。
少し遠回りになりますがエルディアの森の入口にある神殿で休ませてもらおうかと。
一般人はダメですがファルネ様がいますからできますかね?」
「ああ、そうですね。神殿の使命で行動中ですから大丈夫です。手形はあります。
わかりました、そうしましょう」
言ってファルネ様が微笑んだ。
エルディアの森かぁどんな所だろう。
楽しみだな。
ご飯をスプーンで食べつつ、私は足をパタパタさせるのだった。