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初めてのギルド

 街を少し歩いていると、すぐにギルドを発見できた。

 付近の建物の中では一番巨大な造りで、たくさんの人で賑わっている。

 よく見ると中にいる人たちは皆屈強そうで、戦士というのがぴったりな風貌だった。


「うわぁ・・・怖そうな人がいっぱいいる・・・。」


「何言ってるのさ、男の子ならもう少しビシッとしててよ・・・。」


 ギルドの賑わいにビビっている俺を、イフユは呆れたような目で見てくる。


「逆にイフユは怖くないのか?あんな人たちがいっぱいいるのに。」


「んー・・・私はたまにこの街に買い物とかで来てるし、この光景にも慣れてるかな。それに、ここのギルドからうちの村に仕事で来てくれてる人もいるし。」


「え、仕事って何しにあの村に行くんだ?」


「このギルドは農業とか、建築業とかの手伝いなんかも募集してるから、うちの村でも人手が欲しい時とかによくここに届け出を出してるの。」


 へぇ・・・。こういうギルドってモンスターとかの討伐ばかりってイメージがあったけど、本当にいろんな仕事を依頼してるんだ。なんだか意外な感じだ。


「・・・というか、それも知らないで何しにここに来ようと思ってたの?」


「え?・・・そりゃ、モンスターとか、盗賊から守ってくれとかそういう・・・。」


「私たちみたいなのがそんな仕事採用されるなんて可能性低いよ。せめて防具とかしっかり揃えないとそういうのは受けてもらえないよ?」


 そういうものなのか・・・。

 確かに、こんな弱そうな俺たちよりは、ここにいる人たちみたいな強そうな人にそう言うのは頼みたいよな・・・。


「あれ・・・?そういえば、イフユのそれは防具なのか?」


 よく見るとイフユの格好は、初めて会った時の服装に近かったが、軽そうな布製のシャツの上に硬そうな素材ののような小さな鎧のようなものを着ていた。


「え、私?気づいてなかったの?一応唯一持ってる防具は着てるけど・・・かなり安物だから、今後のことを考えると買い替えたいんだよね・・・。」


 そう考えると俺の格好はあまりにも普段着だった。

 こんな軽い服装で戦場に行くのはさすがに考えたらずか。


「・・・先に装備をそろえようか?一応金はあるんだし・・・。」


「いや、そのお金はなるべく取っておきたいな。もしもの時にお金がなかったら困るし、防具とかは稼いだお金で買いたいかな。」


 提案したもののイフユに却下されてしまった。


「とりあえず入ってみようよ。どんな仕事があるのか見ておいたほうがいいでしょ?」


 そう促されてギルドに入っていく。


「うへー・・・思ったより広いな・・・。」


 入ってみると、外観よりも広い建物の中でたくさんの人が仕事を探しているようだった。

 奥行きの広いギルド内は、左右に受付が並んでおり、その横には紙がいっぱい張られた掲示板がある。


「こっちは非戦闘系のお仕事だって。行ってみようよ。」


 ギルドの構造にあっけに取られていると、イフユに引っ張られて一つの掲示板の前に連れられた。


「おぉ・・・農家に大工に漁師にいろいろあるなぁ・・・。」


「でしょ?なんか私たちでもできること無いかな・・・。」


「あっ、俺一応日曜大工とかやってたし、器用さには自信があるな。」


「日曜大工?何それ?」


「あ、これじゃあ伝わらないのか。趣味でもの作ったりしてたんだよ。だから多少建築とかならできるかなーって。」


 俺は元の世界では人のために生きるをモットーにしてきた。

 そのため、人の役に立てるようなことは積極的にできるようにしていた。

 誰かが物を壊した時はそれを直せるように、親戚の子供のためにおもちゃを作ったり・・・。

 そういうことをしているうちに、手先はかなり器用になったのだ。


「イフユは得意な事とかあるのか?」


「んー・・・私は薬品作ったりとか、そういうのは得意だよ。調合とかだね。」


「それまた特殊なスキルですね・・・。」


 この二つを上手く活かせる仕事はあるか?


「あっ、これとかどうかな?」


 イフユは早々に見つけたようだ。


「工房での手伝いだって!これならコースケもできるんじゃない?」


 なるほど、工房か・・・確かにこれなら俺の器用さが活かされるかも。


「よし、じゃあこれを受けてみよう!」


「うん、じゃあこの紙を受付まで持って行こう!」


 二人でやる気を出して受付に向かう。

 受付のお姉さんに紙を提出すると、申込用紙を渡された。

 氏名や出生地など個人情報を書かなければいけないようだ。


「・・・・・・」


「あれ?どうしたのコースケ。なんで固まってるの?」


 どうしてってそりゃ、個人情報がこの世界ではほとんどないからでしょうが!


「・・・なんて書こう・・・。」


「え、私たちの村を書けばいいじゃん。もう家族みたいなものでしょ?私たち。」


「え?・・・いいのか、そんなお世話になっちゃって・・・。」


「大丈夫、大丈夫、あなたは村の英雄なんだから!」


 はあ。本当に優しい人だ・・・。

 イフユさんの計らいで受付のお姉さんにも話を通して、事情も軽く話して承諾を得た。


「出生地がないというのも珍しい話ではないですからね。その書類で大丈夫ですよ。」


 受付のお姉さんもとても優しく、なんとか仕事の申し込みができた。


「では、この工房はこの街にあるので、そこでこの書類を先方に提出してください。それで仕事が始められるはずです。」


 丁寧に教えていただき、受付のお姉さんには感謝でいっぱいだ。

 

「さ、早く行こ?いっぱい稼いじゃおう!」


 イフユもやる気満々で歩き出す。

 この旅の初めての仕事だ。

 今後に向けても張り切っていこう!

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