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 賊団を倒しに行く。俺はそう決めた。

 こんな小さな村から略奪を繰り返すなんて俺は許せない。


「倒すって・・・相手がどれだけ大きい組織か分かってるの!?」


 イフユさんは止める。常識的に考えればそういうのが普通だろう。


「・・・俺は一度死んでいます。でも転生してこの世界に来た。・・・何でここに来たのか、考えてたんです。そして、自分の中で結論付けました。」


「結論・・・?」


 イフユさんは心配そうにこちらを見ている。


「はい。・・・俺は誰かの役に立ちたい、そう思って生きてきました。でも叶わなかった。この転生は、それをやり直すチャンスだと思ったんです。」


 遠い空を見つめながら続ける。


「この村で、イフユさんにも村長さんにもお世話になりました。今だって、村の人たちは俺を受け入れてくれている。そんな人たちのために俺は戦いたい。」


 そう言っても、イフユさんはまだ心配そうな表情で訴えかける。


「でも、君はろくな戦闘技術なんて持ってなかったじゃない!それなのに賊団に歯向かうなんて、無謀すぎるよ!」


「さっきも言いましたけど、俺には不思議な力があるみたいなんです。今日の戦闘でそれを悟りましたけど、俺は誰かを守りたいと思うと強くなれるんだと思います。俺はこの村を、イフユさんたちを救いたい。だから俺は強くなれます。これからも強くなっていきます。だから安心してください。」


「そうは言っても・・・。」


 イフユさんは困惑しつつも何かを深く考え込み、やがて口を開いた。


「わかった、私もついていくよ。」


「・・・は?」


 何を言ってるんだこの人は?もしかして今までの話聞いてなかったのか?全く別なことと勘違いしてるのか?


「・・・イフユさん、何か勘違いしてるみたいですからもう一度言いますよ。俺は賊団を倒しに行くんです。」


「それは分かってるよー。だから、私もついていくってば。」


「???」


 なんでそうなるの?ほんとに分かってるのか?


「危険なんでしょう?なんでわざわざイフユさんも行くんですか?」


「危険だから、君一人行かせるわけにはいかないよ。君はこの世界のこと何もわからないんでしょ?じゃあ私もついて行って教えてあげるよ。」


「いやいや・・・俺はあなたたちを守りたいって言ってるんですよ!それじゃあ本末転倒じゃないですか!俺一人で行きます!」


「それはだめ!一人じゃ心配だもん、私も行くよ!」


 そんな言い争いをずっと続けて、どれくらい時間が経っただろうか。

 お互い喋り過ぎて疲れ切っていた。


「はぁ・・・どうして一緒に来るんですか?」


「うん・・・一緒に行くよ。」


 ・・・この人は全く折れる気がないようだ。ならば仕方ない。


「・・・わかりました。じゃあ、一緒に賊団を倒しましょう!」


 そう言うと、イフユさんはパッと表情を輝かせた。


「うん!これからよろしくね!」


 星が輝く夜の空の下、二人で決意を結んだ。




 翌日、村の人たちにこの村を二人で出ることを伝える。


「結局イフユはここを出るのか・・・。わしは寂しいぞ・・・。」


 特に村長はイフユがここを出ることをとても悲しがっていた。

 後から聞いた話だと、イフユは幼い頃に両親を亡くしており、村長が親代わりとなって育てていたらしい。それは寂しいだろうな・・・。


「まあ、村長のことは放っておいていいさ。それより、村の守りは俺たちに任せていいからな。」


 前の戦いで最前線で戦っていた、村の屈強な大人たちは笑顔で見送ってくれた。


「この前の君の強さなら、きっと賊だってぶっ潰せるさ!頑張ってくれよ!あと、イフユも頼んだぞ!」


「はい、任せてください!必ずや平和なニュースを持ってきて見せますよ!」


 イフユの方は村の女性たちと別れの挨拶をしている。

 皆涙を流しながら別れを惜しんでいる。


「おい、若いの。」


 突然声をかけられる。

 振り向くと、村長が何かをもってこちらに来る。


「おぬしは何も持っていないんじゃろう?そんなんでは都で生きていけないぞ。少ないが、持っていけ。」


 そう言って、小さな袋のようなものを渡してくる。

 中はキラキラ光る、硬貨のようなものが入っていた。


「これって・・・お金ですか!?ありがとうございます!」


 この世界にもお金という概念があったことに驚きつつ、村長にひたすら感謝した。


 そして、村の人々に見送られながら、二人で都の方に旅立った。

 もう村が見えないくらいのところまで来た。


「出ちゃったなぁ村。初めてだよ旅なんて。」


 イフユさんはぽつりとこぼす。


「安心してください。俺がイフユさんのこと守りますよ!」


 この人にはたくさんの優しさを貰った。

 そのお返しに、俺はこの人を守るんだ。どんな敵からも。


「そうだね・・・期待してるよ!」


 フフッと笑いながらイフユさんは言った。


「あ、あとさ、その敬語とか、さん付けとかやめてよ。堅苦しいのはあんまり好きじゃないんだ。イフユでいいからさ。私年下だし。」


 そう言われると少し困る。最近は女性を呼び捨てで呼ぶことなんて中々無かった。


「そ、そうか?じゃあ・・・イフユ、頑張ろうな!」


「うん、頑張ろうねコースケ!」


「おい、俺の方が年上なのになんで呼び捨てなんだよ。」


「いいじゃん、見た目はほとんど変わらないんだしさ。」


 そんな緊張感のない話をしながら旅は始まった。

 俺にとってはすべてが初体験かもしれない。

 それでも頑張るんだ、優しくしてくれたみんなのため、イフユのために・・・。

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