戦闘そして覚醒条件
村を荒らしながら戦う奴らに必死で抵抗する村の男たち。
だが形勢は完全にあちらの良くわからない集団が上だった。
「なんなんですか、あいつらは!」
村長に聞いた。
「あいつらは、最近この辺をよく襲う盗賊じゃ。国の都心あたりに本部がある、割と大きい賊団のようじゃ。」
賊・・・。この村にはびこるなんて・・・。
村の男が戦っている姿を見て、俺も剣を握ってそこに進もうとする。
「待って、コースケ君!君は何か戦えるすきるはあるの!?」
・・・そうだった。俺には剣があってもそれを使いこなす技量がない。
「・・・でも、この状況でただ見ているだけなんて・・・できない!」
そう言って走り出した。
後ろからイフユさんが止める声が聞こえるが、関係ない。俺が戦えば少しは戦力になるだろう!
近くにいた賊に剣を構えて降りかかる。
「おらーーっ!!くたばれ賊軍!!」
そう叫んで斬りかかったが、その剣はあっさり止められ、思い切り吹っ飛ばされた。
「なんだぁガキ?大層な剣持ってるようだが、そんなんじゃ振れもしねえよ!」
見事に吹っ飛ばされた俺を見てハッハッハと大声で笑う。
「でもまあ立派な剣だなぁ、てめぇにゃもったいねえだろ?俺が貰ってやるよ。」
そう言ってこちらに近づく。まずい、この剣は唯一神様から贈られたもの。これを取られるわけにはいかない。」
だが賊はじりじりとこちらに寄ってくる。どうしたものか・・・。
「さあ、その剣よこしな。さもねえとてめえをぶっ飛ば・・・っ!!」
急に賊が吹っ飛んでいった。何かが飛んできたようだが・・・。
飛んできた先を見ると、イフユさんがいた。
「大丈夫、コースケ君!?」
「イフユさんこそこんなところ危ないんじゃ・・・。」
「私は大丈夫、魔法使えるから。ほら君のことも助けたじゃん!」
魔法・・・?この世界には魔法が存在するのか。確かに助けられた時もよくわからないものが飛んできたが・・・。
「それより、みんなを助けてあげなきゃ!コースケ君は無理しないで!ケガだってしてるし剣も使えてないでしょ?」
正論だ。俺にできることはない。でも、俺は人の役に立ちたい。優しくしてくれたこの村の役に立ちたいんだ。
「・・・わかった。サポートに回るよ。何とかそれで頑張る。」
「わかった、じゃあお願いね!」
そう言うと、イフユさんは戦場に走っていって、魔法で敵をなぎ倒していった。
俺はその後、けが人の救助などを主に一応戦場を走っていた。
イフユさんの魔法のおかげもあって、戦況は互角と言ったところだ。
その時、イフユさんが攻撃を受けた。
「キャッ!」
倒れてしまったイフユさんは敵からさらに攻撃を食らいそうになる。
その瞬間、全てがスローモーションになった。
あれだけ優しくされたイフユさんが攻撃を受けている・・・。
その事実に、俺の体は脈打ち、血流が急に速くなる。
剣を握り、大きく一歩踏み出す。その間考えていたのは、イフユさんを守りたい。それだけだ。
一瞬で敵に間合いを詰め、一瞬で斬りつける。相手は前に吹っ飛んでいく。
何が起こったか一瞬分からなかったが、俺はイフユさんを助けられた。
「コースケ君!今のは・・・。」
イフユさんも困惑している。
俺も困惑しているが、一つだけ頭に残る言葉があった。
神様が最後に残した言葉・・・俺の特殊ステータスは感情を基にする。
これだけの情報しかなかったが、今わかった気がする。
さっきの俺にはイフユさんを守ること、助けることしか頭になかった。
それをトリガーとして俺の力を増大させた。そう考えられないか。
今ならできる。村を苦しめる賊を一蹴できる。
俺は走り出した。そして、近くにいた賊をことごとく斬りつけていった。
相手は抵抗する間もなく撃沈していく。
俺がこの村を守っている。役に立っている。この充足感が俺の動力となる。
そして、最後の一人も倒し切った。
勝利だ。
村の人々は俺を救世主と褒め称え、宴を開こうとまで言われた。
断る間もなくその宴に参加させられた。
「今回の賊の襲撃は犠牲者0!ものも盗られていません!被害は0でした!その救世主こそ、このコースケ君です!」
前に出されると、室内では数多くの大人が並んでおり、大きな拍手を送られる。
「今日はこのことを存分に祝いましょう!乾杯!!」
かんぱーいと大人たちは盛り上がっていた。
隙を見て抜け出す。建物の外へ出ると、先客がいた。
「イフユさん、何してるんですか?参加しないんですか。」
「あ、・・・コースケ君。私、ああいうのはあまり好きじゃなくて。お酒も飲めないし。」
「えっ、イフユさんって何歳なんですか?」
「私?17歳だよ。・・・そんなに意外かな?」
思わず聞いてしまったが、思っていたより大分下だった。
「ああ、すいません。同い年くらいかと思ってて・・・。」
「そういえば君は何歳なの?」
イフユさんが聞いてくるが、少し迷った。この世界の俺は、前の世界と同じなのだろうか?
悩んだ挙句、普通に答えることにした。
「・・・22歳です。」
「えっ意外!どう見ても10代後半かと思ってたのに!」
「まあ見た目が変わったかもしれないので、そう見えるかもですねー」
他愛のない会話を二人でする。そこで、俺は気になったことを聞く。
「・・・イフユさん、賊って何なんですか。どこにいるんですか?」
聞かれたイフユさんはちょっと困った顔をした。
「うーん・・・私もあまり知らなくて・・・。都の方に親方がいて、結構大きい組織らしくて、この辺なんかも荒らしていっていることぐらいしか・・・。」
なるほど、この辺をその賊は荒らしているのか。
「それより、君こそ最後のあれは何!?凄い剣さばきだったけど・・・。」
「・・・あれは俺の特殊スキルみたいで、感情が高まると強くなるみたいです、俺は。まあ俺もよくわからないんですけどね・・・。」
「そうなんだぁ・・・。」
イフユさんは腑抜けた声でそう言った。
・・・さっきから思っていたことをこの人に言ってみよう。
「イフユさん、話があるんですけど。」
「ん?なにかな?」
「いや実は俺・・・」
少し息を呑んで続ける。
「・・・あの賊団を倒しに行こうと思うんです。」




