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初めて会った人

 目を覚ます。先程までのやりとりはいやでも覚えている。

 とりあえずあたりを見渡す。ここは森のようだ。

 異世界によく出てくる感じの森っていう感じとしか言いようがなかった。

 俺の服装も見る。

 上は薄い布製のシャツのようなもの。下はジーンズなのかこれは?

 持ち物は特に何も持っていなかった。唯一あるのは背中にある大剣だ。おそらく神様みたいなやつとの最後のやりとりであった剣を授けるってのはこれのことだろう。


 しかし、あのよくわからん神だかなんだか、いきなりこんなところに連れてきやがって・・・。

 右も左もわからないのにどうすりゃいいんだよ!

 そんなことぶつぶつ言っていると、後ろから物音が聞こえる。


「・・・ん?」


 振り返ると、茂みの中から犬のような生物が出てきた。いや、犬というより狼。これが魔物か・・・?

 魔物はこちらを見ると、急に襲ってくる。

 

「うひゃあ!!?」


 情けない声を出しながら手に持っていた剣でその魔物を振り落とす。

 攻撃を防がれた魔物もしつこく攻め立てる。

 それを剣で防ぐ。防戦一方だ。このままだとこいつに殺される。転生して即死亡かよ・・・何のための転生なんだよ・・・。

 少し、あきらめムードになっていた時、魔物がこちらに襲い掛かる瞬間に誰かが遠くで何かを言った。

 すると、その魔物が目の前で吹っ飛ばされた。

 何が起きたんだ?勝手に魔物がやられたぞ。

 すると、先ほど声が聞こえた方向から、誰かが駆け寄ってきた。


「君大丈夫?けがはない?」


 声の方に振り返ると、そこには少女が立っていた。

 銀色の髪、クリっとした大きな瞳、赤みがかった瞳の色、こんな風貌の女の子はなかなかいない。

 彼女を見て俺は再認識した。異世界に来たんだと。


「・・・?大丈夫なの?」


 ハッとすると、彼女はこちらをずっと心配そうに見つめていた。


「え、ああ、大丈夫です。もしかして助けてくださったんですか?」


「ああ、助けたというか、なにか危ない雰囲気だったので、魔物は倒したほうがいいのかなって・・・」


 ちょっと困った顔でそう答える。

 ・・・ということは彼女は命の恩人というわけか。


「・・・ありがとうございました!本当に助かりました!」


「えっ・・・」


 唐突な感謝に彼女も驚いた様子だった。


「自分はいろいろありまして、この世界のことが分かっていなくて、さっきの魔物にも殺されそうになって・・・。あなたは命の恩人です!!」


「え・・・え・・・?」


 彼女もかなり困惑しているようだ。無理もない、こんなこといきなり言われたら誰だって驚く。でも、彼女に伝えたかった。


「・・・この世界のこと分からないってどういうことですか?年も私たち近いくらいなのに・・・。」


「ああ、それには深い訳がありまして・・・。」


 言い淀む。ここまでのことを言ってしまっていいんだろうか。どうやってこの世界に馴染めばいいんだろうか。・・・わからない。

 少し言葉に悩んでいるとき、彼女はいきなり声を上げた。


「・・・あ!血が出てますよ、肘のところに!」


「え・・・あ、ほんとだ。」


 先程の戦闘でどこかにすりむいてしまったんだろう。


「このままじゃいけませんよ!薬つけないと・・・。よろしければ村に来てもらえますか?そこなら治療できます!すぐ近くなので・・・。」


「あ、じゃあお願いします。」


 流れで彼女の村へ行くことになった。


「そういえば、自己紹介がまだでしたね。私、イフユって言います!よろしくお願いします!」


「ああ・・・俺は谷内耕助です。よろしく。」


「コースケさんですか・・・変わった名前ですね。」


 そう言ってイフユさんはフフッと笑った。

 ・・・さっきから思っていたけど、この人・・・可愛い!!

 凄い顔立ち整ってるし、声もめちゃくちゃ綺麗で、笑い方も凄い可愛い。スタイルもいいし、異世界人ってみんなこうなのか?

 

 そう勝手にいろいろ考えていると、森を抜けて、家が並ぶ光景が目の前に出てきた。


「コースケさん、着きましたよ!ここが私の村です!」


 そう言って指さされた村は、現代日本の田舎の風景と大差ない感じだった。

 畑を耕している老人や、古い木造の家。異世界という感じはしなかった。


「お、イフユちゃん、その人は何だね」


 村の老人に声をかけられる。


「ああ、森で会ったんだけど、なんだか困ってるみたいで、けがもしてるから連れてきちゃったの!」


「おお、そうかそうか。おう、そこの若いの、なんか困ったら俺らにも言えよ」


 そう言われ、軽く会釈はする。気のいい人のようだった。


「あ、着いたよ、私の家!ささ、入って入って。」


 そう言われ、家を見ると、これまた古い家だった。暮らしも貧しいんだろうか。

 家の中に入るとイフユさんは治療器具を抱えてこっちこっちと手招きしてくる。


「これがあればなんとかなるよ!」


 出したのは怪しい色をした液体だった。


「え、もしかしてこれ、自作ですか?」


「そうだよ!私実験とか好きで、よく薬とか作ってるんだー。」


 そう言いながらその薬を俺の腕に塗っていく。包帯も巻いてもらった。


「どうかな、薬の効果、出てるかな?」


「ああ、何となく痛みがなくなってきてる気がします。ありがとうございます!」


「えへへー、どういたしまして。」

 

 嬉しそうにイフユさんは笑っている。


「ところでコースケ君、君は家とかどこなの?普段見ない顔だけど。」


 そこを突かれてしまったか・・・。言うべきか?でもこれだけお世話になったんだ。信頼はできる。とりあえず事情を話してみるか。


「・・・イフユさん。」


「ん?なに?」


「驚かないで聞いてくれますか?」


「え?・・・う、うん聞くよ!」


「ありがとうございます。実は俺・・・」


 そうしてこれまでのことをイフユさんに話すことにした。

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