第二の人生の選択
急に意識がはっきりとする。
なんだ?ここどこだ?全体的に白くて、屋内なのか外なのかもよくわからない場所だ。
ていうか、俺何してたんだっけ?昼休みに息抜きしてて、公園に行って、子供がいて・・・。
そこではっとした。そうだ、俺車に轢かれたんだ。その後どうなったんだっけ?
・・・思い出せない。というか、記憶が存在してないんじゃないか。
つまり、あそこで俺の意識はなくなったんだ。
じゃあここはどこだ?病院とは思えない。というか、こんな空間地球上にあるか?
ここまで考えると何となく察してしまう。
ははーん、ここはあれか、死後の世界ってやつなのか。なんか白いし、若干ふわふわしてるし、居心地良いし、もしかして天国!?
いや、落ち着け、というか落ち着き過ぎじゃないか?なんでこんなに理路整然ともの考えれてるんだ?死んだら思考力こんな高いままなのか?
一旦考えをストップしてぼーっとする。
・・・ってこんなことしてる場合か?なんでこんな場所に一人でいるんだ、誰かいないのか?
とりあえず、何か忘れてることはないか思い返す。
まず個人情報。名前は谷内耕助、22歳、会社員。住所も電話番号もしっかり覚えている。
・・・死ぬってこんななのか?なんか普通過ぎて拍子抜けした。もっと霊体になってたり、記憶全部なくしてたり、そういうのだと思ってたけど・・・めっちゃ普通じゃん!!
そうやって悩んだり、考察したり、たまに発狂したりしているうちに、ふとどこからか視線を感じた。
パッと後ろを振り返ると、誰かがいた。
「・・・あれ、ようやく気付いていただけましたか。遅かったですね。」
全体的に白い服装に、すらっとし佇まい。顔や髪形は中性的、というか性というものを超越している、という印象すら持つ人物。一言で表すなら・・・厳か。
「何者ですか、あなたは。」
そう聞くと、その人物はフフッと笑いながらこちらを見つめ直し、
「私ですか。・・・そうですね、形容しがたいですけど・・・」
うーんとその人物は悩むと、あっ、という顔をして、
「そうですね、私はあなたたちの世界における、神という存在に近しいでしょう。」
そう言い微笑んでいる。
「・・・神だと?」
「はい。もっとも、あなたの世界の宗教でのどの神とも違いますけどね。」
そう言ってくすくすと笑っている。
「・・・あなたが神だっていうなら、俺なんかに何の用ですか。」
そう聞くと、忘れていた、みたいな顔をして、こちらによって来る。
「あなたは今の状況について聞きたいことは山ほどあるでしょう?」
静かにうなずく。
「では今から私の方から説明させていただこうかと思います。・・・まず、率直に言いますと、あなたは元の世界で死にました。もうわかっているかもしれませんが。」
その通り、その結論にはたどり着いた。そこからが分からないのだ。
「そして、この場所の説明です。ここはいわば生と死の狭間の世界。これからどうするのかを決定する場所です。」
・・・なるほど。ここはさしずめ某少年向け戦闘漫画の閻魔大王様がいた部屋ってわけか。
「そして、死んだ者は2つに分けられるんです。・・・あなたの世界では天国と地獄という概念がありますよね?」
「え・・・ああ、そうですね。」
「あれは誰が言い出したのかわかりませんが、割と的を射ている考えでして、悪人と善人に分けるんですよ。で、悪人は地獄なんてないので、そこで人生終了ー!です。逆に善人は選択肢があります。・・・あ、ちなみに言っておくと、あなたは善人扱いですよ。安心してください。」
そう言って神様?は微笑む。さらっとそんなこと言われて、滅茶苦茶ビビったわ・・・!
「善人には、悪人のように人生を終了するか、あなたの世界で言う天国のようなところで余生を楽しむか、です。どちらを選ぶも自由ですよ?」
・・・そんなこといきなり言われたって、どうすればいいかなんて・・・。
「あ、もう一つありました。これは善人で、かつ現世に強い未練があって、まだ活動を続けられる体、年齢であること。この人たちに限り、転生を認めています。」
「・・・転生?え、あの異世界に行くやつとかですか?」
「おっ分かってますねー。その転生です。体は基本同じままで適当な世界に放り込まれるんです。・・・君には死ぬ直前に強い未練を感じた。違うかな?」
未練・・・おそらく、俺の『人の役に立ちたかった』という思いだろう。
確かにその思いは強い。俺はこんな人生で終わりたくない。・・・じゃあその転生とやらは受けるべきなのではないか・・・?
「さあ、どうする谷内君。すぐ消えるも、天国に行くも、転生してセカンドライフを楽しむも、君の選択次第ですよ!」
そんなこと言われたら、決めるしかないだろう!
「俺は、・・・『転生』を希望します。」
一大決心してそう告げる。
神様は満足顔で頷いている。
「君ならそう言うと思ったよ。じゃあセカンドライフ、楽しんでいこっか!」
そう言うと、足元が光に包まれ始める。
「ちょちょちょ!待って待って!世界の説明とかないの!?」
「んー・・・別にないですかね。魔法が存在している君で言うところのファンタジー世界ですね。」
そう言うとまた転生の準備を始められる。
「待って!まだいろいろと心配な・・・」
「ああ、安心して、世界に馴染めない部分はサポートでなんとかしてますから。」
準備を進めながら、神様はそう言う。
「具体的に言えば言語ですね。違う言葉のはずだけど、君はその言葉を理解できるようになってます。後は、食事もその世界の料理を違和感なく食べることができますよ。じゃあ行ってらっしゃーい!」
いよいよ転生が始まるというところまで来た。・・・さっきから俺の扱い軽くなってきてないか?
「あっ、言い忘れてた!」
「え、今ですか!?もう転生が・・・」
「その世界には魔物だったりがいて、戦闘は必須です。だからあなたには剣を授けます。」
「あ、ありがとうございます・・・」
「あと、それだけでは足りないでしょう。特殊ステータスを授けます。これはあなたの感情を基にして・・・」
ここで完全に転生の準備ができてしまった。
「あ、じゃあ転生頑張ってください。さよならー!」
「え?さっきの続きはどうなる・・・」
「自分で考えてください!ではー・・・」
そうして光に包まれながら異世界へと転生することになった。




