第7話 結果 のち退院
さて、幽霊騒動編的なものの締めの話です。
優くんと舞ちゃんに進展はあるのか、無いのか。
あの後、高橋は家族とレビー小体型認知症についての説明や今後の治療について話をし、薬の処方と介護保険の使い方の見直しをすることとなった。
優はレビー小体型認知症に対する接し方や介護の仕方について家族と話をする事となり相談室が開くのを待っていた。
「おじさん先生、こんにちわ。あの後、看護師さんとうまく行ったの?」
ニヤニヤしながら車椅子の少女 真希は優に話しかけた。
母親は申し訳なさそうに頭を下げ、
「ごめんなさいね、先生。真希もあまり先生をからかわないの。」
と真希の頭を優しく撫でた。
「ほんとこの子は私が見てないとダメな子で。
目を話すとすぐ怪我をするし心配で目を離せません。」
優しげな目で娘を見ながら言う母親を見て優は優しいけど過保護すぎないか?と思っていた。
「そうだね、真希にはお母さんがいないと。
車椅子押してくれる人がいないと真希はずっとベッドの上だよ!」
と笑顔で母親に返す。
「真希ちゃん、車椅子操作出来るのに…」
優はため息を吐きながら言った。
「車椅子こぐのしんどいんだよ?足だけじゃなくて腕も壊れちゃうよ」
と笑いながら真希は優に答えた。
そんなやりとりをしていると、舞がこちらに向かってきた。
「真希ちゃん、レントゲンの時間だって。行こっか?」
と言うと
「いえ、お忙しいでしょうし、私が連れて行きます。看護師さんは他の仕事をして下さい。」
真希の母親は舞に言うが、
「毎日して貰ってばかりで申し訳ないですよ。
たまには私が行きますから、お母さんも少し休まれた方がいいですよ。」
と笑顔で言う舞に真希の母親は
「いえ、娘が心配ですし、これ以上はご迷惑をおかけできません。疲れていないどころか最近は家にいる時より元気なんですよ」
そうですかと舞もそれ以上は勧めなかった。
「じゃぁね、おじさん先生!看護師のお姉ちゃん!」手をブンブン振り、母親は申し訳なさそうに会釈してレントゲン室へと向かって行った。
「優しいし、頑張り屋さんだよね、真希ちゃんのお母さん」
と舞は二人を見ながら呟いた。優もそうだねと頷いた。
「それより、この間はありがとうね。幽霊じゃなくてよかったよ。頼りになる同期が居て私は幸せ者だよ」とからからと笑う横顔を見て優はなんとも可愛らしく見えた。
きっとこの笑顔を見せられたらどんな頼み事でも受けてしまいそうだと自分の意志の弱さに呆れしまう。
「お礼に今度ご飯でも奢るね!」
と言いながら走り去っていく舞に優はデートの誘いか?と胸が高鳴りデートプラン等妄想してしまう。
が、すぐに現実に戻ることとなる。
「相談室空きましたので優先生入って下さい。
斎藤さんのご家族の方もすぐ来られるので」
とベテラン看護師がニヤニヤしながら伝えてきた。
あ、なんだか変な噂を広められそうだと優は不安になったが、噂が広がったかどうかは優と舞は今後も知ることはない。
斎藤家族とは一時間ほど面談となった。
レビー小体型認知症に対する理解も良く、協力的であった。
優は斎藤家で介護による家族崩壊はないかなと安心する事が出来た。
それから一週間ほどしてから優は斎藤さんをリハビリに迎えにいくと
「ありがとな、追い払ってくれたんやな」 と笑顔の斎藤さんがいた。
優は「どういたしまして。斎藤さん、今日は天気がいいから外に出て見ましょうか?」
といつものやりとりがなされるのであった。
それから更に一週間後、斎藤さんは症状も安定したこともあり無事に自宅退院となった。
幽霊騒動は自分自身がそうならないようにっていうのと、こうなりたい、こんな職場ならいいなと言う思いもこもって
次回からはまた、別のお話です。
真希ちゃんとお母さんの話にするか、他の話にするか。
読んでくださった皆様、是非ご意見、ご感想頂ければ幸いです。
ではでは