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雨 のち 虹  作者: 華岡 玄白
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第6話 幽霊 のち解決

山根の話を聞いて優はドクターとどんな話をするのでしょうか。

レビー小体型認知症なのか、それ以外なのか。

それから一時間弱してから優は斎藤の担当ドクターである高原の元にいた。

「斎藤さんの件で相談事ってなんだい?

確か、入院したのは脱水症だったかな?

経過は良好のはずだけど…まぁ、食事が取れてないから栄養面には問題があるね。

でも、これくらいなら入院中はリカバリー食でも対応出来るね」

と斎藤は電子カルテを見ている。

「はい、脱水症の経過は問題ないと思います。

問題は認知症の進行具合だと考えています。」

それを聞き高原は不思議な顔をしている。

「カルテには認知症状の進行が見られるとは書かれているが、それは入院しているからじゃないかい?

それともアルツハイマー型認知症が進行したとでも?そのような症状は見受けられないけど。

脳萎縮も見受けられないし……」

「レビー小体型認知症です。そう考えたのはリハビリ中の可動域練習です」

高原は納得したように

「パーキンソニズムだね?」

と優に笑いかけて言った。

「はい。それだけなら言い切れませんが、斎藤さんは幻視を見ています。」

「子供が見えるってやつかい?」

高原も電子カルテを見ているのだから当然知っている情報だった。

「アルツハイマー型認知症の進行で時間軸に統一性が無くなっているものだと考えていたが、優くんの話で合点がいったよ。すぐにSPECT検査をしてみよう。おーい、誰かいるー?」

高原はナースステーションの看護師にSPECT検査の準備をするように手配した。


本来、入院患者であろうと検査科に予約を取らないとそんな直ぐにはできないのだが、たまたま時間に空きがあることやこの高原というドクターは珍しいくらい病院内での人気が高い事もありSPECT検査が行われる事になった。

「優くん、SPECT検査自体は40分程度だけど注射を打ってから少し時間がかかるし検査結果はまた明日って事でいいかな?申し訳ないんだけど、僕はこの後学会に参加しなくちゃいけなくてね。」

と頭を軽く下げて謝る高原に優は

「僕は構いませんよ。でもできれば家族さんに早く伝えてあげたい気持ちもあるので明日の朝にまたお時間もらえますか?」

「そうしてもらえると助かるよ」

と謙虚な高原を見て優はドクターにしては謙虚だな、だから院内でも好かれてるんだなと感心しつつ自分の態度を見直しておこうと心に誓った。


翌朝、高原の元に向かう優は途中で舞とばったり出くわした。

心なしか元気が無い舞に昨日の件を伝えると舞も一緒に立ち会う事になった。

「さて、優くん、舞ちゃん結果報告だよ。心の準備はできたかな?」

元気のない舞を気遣い笑顔で優しく高原は言った。

「「はい、お願いします」」

二人は真剣に答えた。

「じゃぁ、結論から言うね。優くんの言うとおりレビー小体型認知症でまず間違いないだろうね。」

「え?でも脳萎縮はなかったんですよね?」

舞は違う病名を言われると思っていたらしく、不思議がっている。

「優くん、舞ちゃんにSPECT検査の話しなかったの?」

「朝に伝えましたよ?」

高原、優、舞のそれぞれの頭の上には?マークが立っている。

「あ、舞ちゃんはSPECT検査知らないのか。ごめんごめん。」

と高原も優もは舞がSPECT検査を知っているものだと決めつけていた。

舞はSPECT検査で何かわかるんだろうと言う程度しか考えてなかった。

舞は知らなかった事に顔を赤くした。

「SPECT検査って言うのはドパミン神経を調べるものなんだ。

レビー小体型認知症の患者さんってのは厄介で脳萎縮が無いのにドパミン神経が減っている事がたまにあるんだよ。

だから優くんの仮定は間違ってなかったんだ」

ほーっと舞が優を見て感心していると

「だから、優くんにはこれから家族さんに今後の付き合い方とか指導してもらわないといけない。

でもまずは舞ちゃんにはご家族さんに連絡してもらう必要があるね」

舞はわかりましたと斎藤さんのご家族へ連絡しに行った。

「いやぁ、優くんお手柄だったね。」

と優の方を叩く。

「いえ、お手柄とかないですよ。

斎藤さんの命を救ったわけでもないし、

治したわけでもないんですから。」

と照れ隠しに優がいうと

「何行ってるんだい?

病気を治すのは医者の仕事だろ?

その医者が気づかなかったんだからお手柄だよ。

それに……」

高原は優に笑いかけ

「斎藤さんとそのご家族の負担を減らしたのはまぎれもなく君なんだ。

これからもその気持ちを忘れないでいてよ。」

忘れるって何をだろうと疑問に思ったが、優ははいと一言返事をした。

理学療法士って仕事をしてると一年目は新人研修や日々の仕事に追われ、2年目に余裕はできるけど手技はまだまだ。三年目で変に自信がついて偉そうになる人って多くいると思うんですよね。患者さんや看護師さんから先生、先生って言われて余計に天狗になったり。

今回は自分がそうならないようにって想いも込めて書いて見ました。

次回は幽霊騒動終了後のお話です

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