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雨 のち 虹  作者: 華岡 玄白
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第4話 日常 のち幽霊

やっと幽霊の正体が判明するか!?

優は舞の不安を取り除くことが出来るのか?

今日の予定のリハビリをこなし優はパソコンの前でカルテ入力の最中だ。

最近の病院は電子化が進み昔のように手書きをする必要がなくなり昔のように誤字脱字の度に赤線を引き訂正印を押す必要も無くなり簡単になっている。

カルテもパソコンでドクターの診察内容や看護師日誌も直ぐにみる事ができる。


優はカルテ記載を終え斎藤の明日の予定を見ながら明日は午後からMRIを撮るからリハビリは午前中だなと考えていた。

ピーピーピーとリハビリ室の院内電話が鳴り響き電話を向くと片付けをしていた新人が電話に出た。

電話に出た職員は優に向かって、

「優さん、看護師さんから電話です」

と受話器を優に渡した。

「お電話変わりました、忠野で…」

と名乗り終える前に電話口から慌ただしく舞が

「優さん、早く来てください!みんな帰っちゃうじゃないですか!」

優は舞からの電話の内容が理解できず帰るからなんなんだろうと考えていた。

「もしかして、朝の事忘れたんですか!ひどいです!!あんな事しておいて!」

大きな声であんな事して!と言われ優の頭の上には?と周りに聞こえていないかキョロキョロした。

誰も近くにいなかったため勘違いはされずに済みそうだ。

「幽霊ですよ!ゆ・う・れ・い!今晩私夜勤だから優さんが幽霊を退治してくれるって話ししたじゃないですか!」

優は午前中の話を思い出し、斎藤さんの件だと理解した。

しかし、優は真希ちゃんの思いつきで出た話でそこまでする気はなかった。

逃げるようにその場を去った優としては、幽霊退治まで話が進んでいる事に驚きと過度の期待を裏切ってしまう事に幻滅されないか心配する気持ちもあった。

しかし、舞が困っている以上少しでも良いところを見せようと

「今しがたカルテが終わったから19時くらいにそっちに向かう事になるけどいい?」

と舞に伝えた。

「じゃぁ、待ってますけど、できるだけ早く来てくださいね。……その……怖いので……」

電話越しでも舞が涙目になっているのが想像できる。

「怖いから早くお願いします!」と言うと電話は切れた。

仕方ない、何か腹に入れておきたかったが舞が恐怖で仕事が手につかなくなる恐れもあった為、おやつをポケットにしまいすぐにナースステーションへと向かった。


「待ってましたよ、優さん!来てくれなかったら末代まで祟るところでしたからね!!」

と頬を膨らませた舞が出迎えてくれた。

「ごめんごめん」と周りをキョロキョロ見渡した。

「先輩たちはもう帰りましたよ。あとは看護助手さんたちがご飯の配膳に行ってます。優さんは今から私と斎藤さんの食事介助に行きますよ」

少し震えながら舞が優に伝えた。

「え?僕も?」

「当たり前じゃないですか!優さん何しに来たんですか?」

食事介助ではないと口に出そうになったが、なんとか飲み込み斎藤の部屋に向かった。

いつもは斎藤の家族が食事介助をしているらしいが、今日は家族は来ないため、舞が食事介助を行うらしい。

「斎藤さん、ご飯ですよ。口開けてね」

とスプーンに少量の粥飯をすくいあーんと言いながら斎藤の口に粥飯を入れる。

優は慣れたものだなと感心しながら自分にもしてもらえたらなぁと邪な妄想をしていると

斎藤が急に

「また来たんか!邪魔するな、帰れ!」

と怒り出した。

斎藤の視線は優も舞の方も見ていない。

勿論、斎藤が向いている方向には誰もいない。

誰の目からも舞の顔から血の気が引いていく。

優も本当に幽霊がいるのか?と寒気を覚えながら

「斎藤さん、子供さんには出て行ってもらったから大丈夫ですよ」

となだめようとしが、

「嘘つくな!子供はまだおるやろ!あんたらも邪魔する気か!帰れ!」

と余計に怒らせてしまった。

舞は斎藤にしか見えない子供への恐怖と斎藤の起こり方に挙動不審になっている。

その後斎藤はご飯も食べず、子供がいると言う方向をずっと睨んでいた。


舞を落ち着かせる必要もあったため、一度ナースステーションへと優は舞を連れて行った。

「やっぱり、子供の幽霊はいるんですね」

と震えながら舞は言った。

幽霊なんていない!と舞を励ましたかった優だが、もしかしたらと考えてしまう。

「ほら、斎藤さんは認知症だからなにかと勘違いしてるんだよ」

と舞の肩を叩きながら言うと

「斎藤さんの認知症は初期の段階だし、前頭葉症状が少しあるくらいで……何より薬でちゃんと抑えられているんですよ?」

それなのに…と頭を下げ元気が無くなっていく。

「入院して認知症状が進行したからじゃない?

今までと違う生活環境が原因で認知症が悪化する事もあるし。明日ドクターに相談してみよう?」

舞は幽霊がいると言われるより可能性はあるし、何より幽霊だったら怖いため、一応納得した。

優に今日は帰らないでねと確認してからではあるが。

次回は優の考えの答え合わせです。

果たして結果は以下に!

次回27日 19時更新です。

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