第3話 幽霊、のちお節介
あまり進展しませんが、少しづつ話を進めていきます。
斎藤のリハビリは主に手足を固まらない様にほぐしたり、家族の介護量が増えない様に立ったり座ったりを繰り返すリハビリだ。特に最近斎藤の体は可動域が低下しているため、自宅に帰ってから介助量の増加を心配しての方針でだ。
認知症によっては自分からは何もせず寝たきりになってしまう。また高齢者の介護はお金の都合や世間体を気にしたりして認知症の子供が世話をする。そのため年齢も60〜70代の人が多い。俗に言う老老介護というやつだ。その結果、体調不良を招いたり介護疲れに陥って自由な時間がなくなってしまう。
最悪の場合、介護から解放されるために親を殺す事すといったニュースもままある。
そうならないために、斎藤の身体能力で出来ることを伸ばし家族の介護量を減らすリハビリを行なっている。
「斎藤さん、あの子が邪魔してご飯たべれないの?」先ほどの話が気になり優は斎藤に話しかけた。
「せや、いつもや。小さいくせに邪魔するんや。寝る時も周り走るしな。」
斎藤の家族は孫でも40代だ。それに就寝時間には面会はお断りしている。
しかし、いつも無口な斎藤がこれほど話をするのは珍しい。
もしかして子供の幽霊か?と想像し、あとで舞に子供の幽霊が出ることはあるのか確かめてみようかと考えた。
病棟に上がると舞が笑顔で手を振りながらこちらに駆け寄って来る。
その愛くるしさに優はドキッとした。
「斎藤さん、リハビリお疲れ様!体重測らせて下さいね!じゃぁ、ここからは私が斎藤さんを押していきますね。」
とさらっと言われ、ちょっとでも期待した自分が恥ずかしいなと優は乾いた笑いで返事をした。
期待した事がばれない様に優は話題を考え先ほど気になったことを舞に聞いた。
「あ、舞さん、ここ最近で子供の幽霊とか出ましたか?」
キョトンとした顔で優を見て数秒……舞の顔から血の気が引いていく。
「え、あ、え?子供の幽霊……で……出るんですか?き、今日夜勤なのに!」
と怯えながら優の襟首を掴みブンブンと揺さぶってくる。
襟首を閉められ揺さぶられ意識が遠のきそうになるのを感じながら優はなんとか声を出す
「病院だから幽霊とか出るのかなって思って!……酸素…舞さん、息できない……」
その声量の低さと物理的に顔の血が引いていく優を見て
「ご、ごめんなさい!わたし、幽霊とかほんとダメで……」
シュンと落ち込みながら舞は誤った。
そんな舞の姿も可愛いなと思いながら優は
「ごめん、僕も言葉が足らりなかった。
斎藤さんが子供に食事を邪魔されたり夜に周りを走られて困ってるっていうから、もしかして子供の幽霊かなって思っただけだから。」
それを聞いて舞が
「ほら、やっぱり出るんじゃないですかー!」
と涙目になっている。
「いや、いるかどうかもわかんないし。」
と弁明してみる。
「じゃぁ、おじさん先生が夜に確認したらいいんじゃない?」
といつからいたのか横から割って入って来た。
「それ、ナイスアイディアだよ、真希ちゃん!」
舞はパンと手を叩き笑顔で斎藤さんに良かったですねーと話しかけている。
困惑する優に真希は小声で車椅子から体を前のめりにし
「おねいちゃんと一緒に入れる時間が増えてよかったね」と囁いた。
優は耳まで真っ赤になり、気を使ってくれた10歳の女の子に引きつった笑いを見せリハビリ行かないととそそくさとその場を去った。
真希のお母さん空気とかしてますが、ちゃんとその場にはいます。……空気ですが……
そのうち働いてもらいます…
次回は幽霊をお祓いするのか、優は呪われるのか!はたまた?!
26日0時更新予定!乞うご期待!!
……されたらいいな……笑