ねむり姫
学校に提出した課題です。ねむり姫の話。
ねむり姫は何百年も眠っていました。運命の王子様を待ちわびながら。そしてたくさんの人が、姫の目覚める日を待ち望んでいました。
その中でも、彼女の王子様にはなれなかった、可哀想な男の子の話を少しだけしましょう。少年は、まだ眠りにつく前の姫に恋をしていました。
茨の生える、高い塔のてっぺん。少年はたくさんの食料を持って眠る姫を見守ります。
「あなたはぼくのことを弟のようにしか見ていなかったでしょうけど、ぼくはあなたが眠っている間に、あなたにつり合ういい男になります。だからゆっくり眠っていてくださいね」
鳥が迷って入り込まないよう、姫の元まで茨が伸びてこないよう、見張りをするのが少年の仕事でした。
そうして何年か経ち、少年は姫の寝顔にまた声をかけます。
「ぼくはあなたの歳に追いつきました。背はとっくにぼくの方が大きいんですよ。だからもう、起きてきてもいいのに」
確かに少年は、もう立派な青年になっていました。毎日毎日、姫の寝顔を見ながら味のしないパンを食べます。
それからまた数年後、青年は姫のベッドの横にひざまずいて、姫の手を握っていました。
「本当に……本当に、あなたが好きだったんです。ぼくはあなたにつり合ういい男になったでしょうか。どうかその目を開けて、ぼくのことをよく見てはくれませんか」
青年のこの願いが、叶うことはありません。姫が目覚めるのはそれから数百年後。この青年が死んだずっと後のことなのです。
そして、数十年後。彼は痛む腰をおさえて、高い塔のてっぺんまで来ていました。
「姫、今日も目を覚まさないのですね。私はもうこんなおじいさんになってしまいました。この塔に登れるのも、これで最後でしょう」
姫の瞳が開けられることはありません。その寝顔をじっと見て、彼はひと粒の涙を落とします。
「あなたはあの日からずっと、美しいままだ」
そう言って彼は姫のとなりに白い薔薇の花を生け、塔を下りました。
驚いたことにその白い薔薇は、姫が王子に口付けをされて目覚めるまで、生き生きと咲き続けたということです。
あら、綺麗な薔薇ね。あなたが持ってきてくれたの? 違う? そう……。




