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白雪姫と七人の小人

 学校に提出した課題です。白雪姫と小人の話。


 耳のいい五番目が、不意に顔を上げる。

「白雪姫が来るよ」

 他の小人たちはみな「やれやれ」という顔をして、それからちょっと笑った。

 確かに数分後、白雪姫は来た。おてんばな足音を響かせて、ドアをノックする。そういう時にドアを開けてやるのは、一番の役目だ。

「やあ、久しぶりだね白雪姫」

「会いたかったわ」

 白雪姫が勢いよく一番に抱きつき、他の小人たちが羨ましそうに一番を見る。一番はといえば、特に動揺する素振りもなく笑顔で白雪姫を遠ざけた。

「こらこら、君にはもう素敵な夫がいるのだから、はしたないことは控えなさい」

「一番って、お義母様のようなことを言うのね」

 ああしなさい、こうしなさい。私って彼女の娘じゃないのよ。

 そうふくれ面で言う白雪姫に、二番目の小人がお茶を出しながら言った。

「それだけ気にかけてもらえりゃ嬉しいことじゃねぇか。文句言うなよ小娘」

「あら、本当に二番って私に失礼ね」

「どこが失礼だってんだよ。本当の事じゃねぇか」

「私、小娘じゃないわ。もう結婚もしている立派なレディなんだから」

「立派なレディはそんな風に大股広げて座らねぇよ」

 白雪姫は顔を赤くし、慌てて座り直した。二番はそれを見て肩をすくめる。

「どうせ王子様と喧嘩でもしたんでしょ」

 そう苦い顔で言ったのは、三番目の小人だ。

「どうせってなんですの。そうだけど」

 へえ、と三番はうなづく。自分の予想が当たっていたことにのみ満足している様子で、白雪姫はひどく腹が立った。

「興味はないのね」

「別にないね」

「じゃあ聞かなくていいじゃないの!」

 そう顔を真っ赤にしながら白雪姫は怒鳴る。初めて会った時から、彼女は三番目の小人と相性が合わなかった。

 まだ何か言ってきそうな三番をにらみつけていると、四番目の小人が膝に乗ってくる。白雪姫は驚いて四番の肩を揺らすが、四番はうつむいたまま動かなかった。ただ一言だけ、「会いたかった」と小さな声で言う。たちまちに白雪姫は嬉しくなって、もっと聞こうと四番を強く揺らした。しかしもうすでに反応を示さない。

「あらやだ寝てるわ」

 健康的な寝息を立てる四番を、五番目の小人が引きはがしにかかった。

「あんまり白雪ちゃんにベタベタすんなよ!」

 しかし四番はまるで動く気配がない。五番は「もうっ、もう!」と泣きそうになりながら四番を叩いた。それを二番が「いい加減にしろよ」といさめる。

「だってオレも白雪ちゃんとベタベタしたい」

 呆れたような二番の顔を見て、五番はしょげ返った。

「バカでごめんね。だけどオレ、白雪ちゃんのこと好きだから」

 ありがとう、と白雪姫は微笑む。純粋に、嬉しかったから。五番は耳を赤くして奥に引っ込んでしまった。入れ違いに六番目の小人が目をこすりながら白雪姫の前に立つ。よく見れば、六番は両眼から涙をこぼしていた。

「あら、あなたはまた泣いているのね。今日はどうしたっていうの?」

「さみしかったんです、あなたに会えなくて」

 ぐす、と六番は鼻をすする。持っていたハンカチで涙を拭いてやりながら、白雪姫は目を細めた。嬉しいような切ないような、不思議な気持ちになる。

 不意に、部屋の片隅にうずくまっている小人が気にかかった。白雪姫は「七番」と呼びかける。七番は一瞬だけ白雪姫を見て、また陰気にぶつぶつ言いながらうつむいてしまった。

「どうせ白雪も、ぼくのことなんかどうでもいいんだ」

「あら、決めつけるのはよくないわ。白雪って人はあなたのことが気になって仕方ないかもしれないわよ」

「だって城に戻っちゃうだろ」

 白雪姫は思わず口を閉ざす。だからってあなたがどうでもいいわけじゃないわ、と言えるほど、白雪姫は大人ではなかったのだ。その代わり、「城に戻らなくていいかも」と白雪姫は言った。六番や七番が目を輝かせる。三番まで機嫌がよくなったようだった。

「まあお前がそう言うなら、もう一度くらい受け入れてやるってのも考えてやらなくもねぇぜ」

 白雪姫には一体何を言っているのかさっぱりわからなかったが、とりあえずそれから恐る恐る三番を見ると、やっぱり興味のなさそうな顔をしていた。

「好きにすれば?」

「あなたは本当に、私に興味がないのね」

「そう見えるかい? そうでもないんだけどねぇ」

「え?」

「好きにしなよ」

 頬杖をついたまんま、三番はそう言う。少しだけ、笑っているようにも見えた。

 最後に全員が、一番のことを見る。一番は上品な仕草で紅茶を飲んでいた。視線を感じたのか、一番がティーカップを置いて口を開く。

「君が毒リンゴを食べてしまった時、君の目を覚ましたのは誰だったか、忘れたわけじゃないよね」

 白雪姫はドキッとする。一番は笑顔のままだ。

「俺たちが散々心配しても注意をしても、君を守りきれなかった。君を守れるのは、君の王子様だけだよ」

 思わず白雪姫はうつむく。耳の痛い話であった。

「もう少しだけ、頑張っておいで」

 いつもそうやって、と白雪姫は少し涙目になる。いつも一番だけは、白雪姫がここに留まることを許さない。

 トントン、と扉を叩く音がした。

「ほら、迎えに来たようだよ。君だけの王子様が」

 白雪姫は立ち上がる。王子に文句を言う気はなくなっていた。素直に扉を開ける。

 また遊びにおいで、と最後に一番は目を伏せながら言った。白雪姫はうなづいて、小人の家を出る。王子に「ごめんなさい」と震える声で謝った。

 小人の家では、誰もが一番を不満そうに見ていた。一番はため息をついて、ちょっと笑う。

「お前たちは、彼女にここにいてほしかったのだろうね」

 それから一番は静かに紅茶を飲んだ。説明も言い訳も一切しない。ただ、他の小人たちも責めたりはしなかった。

 俺も彼女にここにいてほしかったよ、と心の中でつぶやいた一番は、誰にも知られず苦笑した。

 全員タイプ(真顔)

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