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迷宮深部の偽宝箱《トレジャー・ミミック》  作者: 流水一
第二章『迷宮の挑戦者達』
6/75

第六話=level:60

部屋の中には呻くような声。しかし、意識はないのだろう。


「う、ん.....」


少し離れた所に倒れ伏す最後の生き残りである三層の階層主(になる予定だった)【ダーク・ナイト】。

騎士甲冑はボロボロで凹みがある。とか、そんなレベルの損害ではなく、原型を留めていない。

俺が思うに、最後に灼熱系をぶっぱなしたヤツの固有魔法【コロナ】によって溶けているのだろう。

無惨な姿だった。

しかし、あれをくらって生きていることも奇跡じゃないのか.....

言っちゃ悪いが、千度を越える高熱と密室。

この二つだけで、『ただの』三層ボスが生き残れる筈があるわけがない。

アラームトラップとして機能するために、確かに同じくらいのレベルをしている連中を集めたが、流石に成長環境によって基本スペックに違いが出たようだ。

ふむ、迷宮区の低層に住まう連中が、中層や上層、その上にある深層域で普段の生活をしているモンスターと基本スペックが違うことは当然のことなのだろう。

そんな沢山集めた中で生き残ったのが、低層も低層、初心者冒険者の最初の壁と言われる【ダーク・ナイト】......


「マジで、何が起きた?」


気になって、視界の端に映っているアシストログを初めからスクロールしていく。


ー19層ディメトリー・チェインが8層コッコローチ・パラディンを先制狙撃ー

ー8層コッコローチ・パラディンが、死に際に固有スキル【お土産】で88層・86層・111層・1層・50層の階層主(名称略)を撃破ー


うん、始めに動いたのはこいつらだったのか、さて、目的のダーク・ナイトさんはいずこに?

......お、あったあった。

大体2分くらい進んだとき、ログを見つけた。

時間的に、初めの狙撃から5秒くらいの時間のログだった。

そりゃぁそうか、満員状態のこの宝物庫のすべての状況ログを確認するんだからな。

まだ、全体の1%にも満たないって....果てしねぇよ。


ー3層ダーク・ナイトが放置されていた宝剣【リベレインⅠ】で33層ワーム・イグニスを両断ー


おお、なんだスゲーぞこいつ11倍階層が上のお相手を一撃かよ。

部屋の狭さか?相手がでかかったからか?

いや、俺の宝剣のお陰かも?そうかな?

あれって技術向上スキルとかついてないぞ、切れ味も冒険者のロングソード(初心者装備)くらいだぞ。

俺はダーク・ナイトのログを見つけるべく探し始めるが.......


「だあああああ、くそ見付かんねーよ!?」


当然すぐには見つからず、探すのに疲れてきた。


「もう、数がスゲー多いし、【サポート・アシスタント】でキーワード検索出来ねーかな」


そうすれば対象の行動だけが表示されるのに.....


ー対象『ダーク・ナイト』でログ検索しますー


「出来るんだ!?」


そして出てきたログを読んでくと、どうやらこのダーク・ナイトさん一言で言えばビギナーズ・ラックだったぽい。

最初の33層の虫型モンスターを倒した後は、何々に吹き飛ばされたとか、何々にかじられたとか、何々に丸飲みにされたとか、そんなんばかりだった。

で、なんで生きているかというと、一つは序盤で手にした俺作の宝剣のお陰である。

ああ、宝剣と言っても【リベレインⅠ】じゃない、その剣は49層のソードダンサー・シユウに破壊された。まぁ、当然だろう。

そして再び拾ったのは宝剣【ネビリス・聖】と言う漆黒で両刃の片手直剣だ。

この性能は確かに良いが、俺的には処分した(散らばした)『がらくた』である。

武器や防具の名称は制作者が自分でつけれるが、1000を越してくるとネーミングも底を尽きると言うものだろう。番号を振ったり、漢字を一字当てたりしていた。

漢字や英数字なんてこの世界にはないだろうし、適当につけても問題ないだろう。

まさか他にも俺と似た世界からの転生者がいる訳じゃ有るまいし。

例えば、水色の鞘に拵えは藍色で刀身は仄かに青白く発光している『だけ』の刀を【霞一文・雨】と付けても、漢字が読めない世界じゃどう認知されるのやら.....一応鑑定すれば詠むことは出来るらしいが.....銘の意味とか、見た目の色だけで付けました。とか気づく奴はいないだろ。


で、性能はこうだ、


銘:ネビリス・聖

付与スキル:【不壊】【闇属性強化(低)】


と為っている、お分かりだろうか?

聖ってなんぞや?

確かに俺の中に完全品があるが、


銘:ネビリス・聖

付与スキル:【不壊】【浄化】【光属性威力強化(大)】【対魔獣】【対魔物(闇系統)】【オーバー・ドライブ】

因みに刀身の色はキラキラエフェクト付きの白です。


となっている。

これは良いんだよ、深層域の130層越えてないとご褒美設定しないから。

な?分かるか?

ダーク・ナイトさんが持ったのを『ガラクタ』と言うわけを。

それに......ついてるの【闇属性強化】だぜ?


じゃあ、どうして作ったのかって?

俺が作ったんじゃなく、検証系スキルで出てきた組み合わせのダブりだよ。

まさかコード変えても、同じ効果になるのが出てくるとは、驚きだろ?

基本的に被らないんだけど、こういうの結構出てくるんだよ。

スキルの表示順番が逆とか、な。

でも、こういうのは、俺の中に入れっぱなしでも意味がない。

大体、欲しいときには魔素を消費すればコードでの精製が可能だから、無駄にフレームを使う必要も無し。

同じ名称のモノを纏めて1フレームに99個(高品質・高スキル)順にいれたら、次に余った数千の同名作品を体内炉に溶かしてインゴットにして置く。そして、ダブった作品を転ばしておくのさ。

これの繰り返しを暇があれば永遠にしているから金銀財宝で溢れ返るのだろう。


俺は視線をログから離し、倒れている唯一の生き残りであるダーク・ナイトに向ける。


「まぁ、それでも、その効果の恩恵を受けて生き残ったということか....」


どうやら【ネビリス・聖】のスキルに意外に助けられていたらしい。

【闇属性強化(低)】が同じく闇属性の騎士甲冑を強化し、自身も闇属性だから基礎能力も向上。

さらに、【不壊】という絶対に傷付かず壊れない特性も、ダーク・ナイトが持つ固有の能力【剣身一体】というもので不壊とまでにはいかないが果てしなく防御面が上昇したということだろう。

これにより、力及ばず殺される。という実力差から、力及ばずボコされる。というモノに代わったというくらいか。

もし、この剣を拾えてなければ、ソードダンサーの袈裟斬りで鎧もろとも真っ二つだったろう。

まさに運が良いな。

そして、ボコボコにされつつも生き残った、と....


「生き残ったことで充満している高密度の魔素をGETしたダーク・ナイトさんは種族的に進化するのか?」


ー種の進化はいまだに解明されていませんが、身の丈を余るこの魔素を取り込むことで何が起こるかは不明ですー

ー気になるのでしたら、体内に取り込んでのコード分析、及び、時間加速をお勧めしますー


「なるほど、起きそうもないしな」


それで良いか、と結論した俺は死屍累々で不浄と化した俺の宝物庫に転ばるダーク・ナイトを『ペロリんちょ』した。

アイテム欄に爛々とnewの文字が7つのフレームに表示されている。


【ダーク・ナイト(F)】【破損した鎧】【破損した首飾り】【破損した護符】【破損した騎士剣】【ネビリス・聖】【インナー(F)】


「ん?」


あれ、ダーク・ナイトさんまさか女の人だったの?


「いま、起こった有りのままのことを言うぜ、どうやら俺の中でダーク・ナイト女史はマッパらしい!!くっそ!なんで見れないんだ!?詳細表示くらいできてもいいだろ!?」


俺は自身に理不尽にキレていると脳内に声とログに文字が紡がれた。


ー???の宝物庫が迷宮主の部屋に繋がりましたー

ー『魔精ダルフ・レファンシア』の部屋から???の宝物庫の権限が一部停止されましたー

ー強制侵入されますー


「え、マジで!?」


え、迷宮主って俺の上司じゃね?

出迎えるのか!茶菓子はあったか?

ドキドキだ、お扉が開く様だぞ。

ワクワクドキドキの俺はすっかり自分の部屋の惨状を忘れていた。

宝物庫のドアが開かれ、逆光により姿が見えないが、シルエット的には女性だろう。

出るとこ出てたし、ぼいんぼいんだった。


『お前が、最近の騒動のげ.......オエェエエエエエ』


可愛らしい声で俺に向かって指をむける魔精の上司。

しかし、俺の部屋の惨状で......


あ!やっべぇ、上司吐いちゃったよ!!


そしてパタンとドアが閉められてしまった。


「あ、あれですよ?アポと、とらないからだよ」

そう震え声で呟くしかなかった。



名前:水無月

level:60

コア:10600★←成長限界

MP:8000★

STR(力強さ):20★(20)★

VIT(頑丈さ):1113(30)★

INT(頭の良さ・魔法適正):100★(300)

WIL(魔法・異常状態の抵抗):1032(7)★

DEX(器用さ):30★(443)

()の中は箱を抜いた自身の能力値

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