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迷宮深部の偽宝箱《トレジャー・ミミック》  作者: 流水一
第六章『迷宮最寄りのクラレント』
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第二話―水無月side 1『育成Ⅰ』―

ちょっとした出来事


ダルフの部屋を物色している

ベルベット・アネストは見た。


ベル「はい? なんですぅ?このノート」


ノートをひっくり返したベルベット。


ベル「……『にくらしいくろきひじりのこうどうたいさく』???」


ベルはノートを開き、中をチラッと見たあと、

そっと元の場所に置いた。


ベル「……今日くらいはマスターにお茶を出してあげましょうか……」


少し優しくなれたベルであった。

聖達が街に向かった後、久々の一人になった俺は、魔女リフレクから貰った【モンスター・エッグ】を体内に取り込み、スキルによる検証を開始した。

【サポート・アシスタント(AA)】の声が聞こえ、ログが表示される。


―解析、完了―

―このコードから派生できる種は約310種です―


多いな、そう考えると卵の段階で、コードつまり魂に大差はないのか?


―産み出されるのはモンスター限定ですが、大差はないでしょう―


知能は高い方が良いよね。


―知能の高さは環境に作用されます―

―高い種はありますが、そのどれもが上位種になります―


ふむふむ、なるほど。


その中にドラゴンはいるのだろうか。

気になるところだ。

俺の知ってるドラゴンは基本的に、喋るし、知能も高い、そして何よりカッコいい!

カッコいいんだ!!


俺の熱い思いはどうやら【サポート・アシスタント(AA)】には伝わらなかったようである。


―……………―

―レア度が高い5種を提示しましょう―


普通にスルーをされてしまったが、俺はへこたれないぜ。

くっっっっそっう!


俺を無視して、脳内に画像付きで、どんどんとドラゴンが表示された。


―『至竜(エンシェント)』『属性竜(エレメンタル)』『黒龍(アルター)』『竜王(キング)』『飛竜(ブラス)』―


左から、なんていうか『○○マンシール』の超輝いてるやつから順々に、ランクが落ちているように感じた。

『属性竜』は姿形がちょっと似ているが、それぞれに特徴を持っていた。

『黒龍』は日本の龍にそっくりだ。短い手に、蛇のように長い身体を持っている。

『竜王』は竜族の中の王の血を引く種族で、特に特徴もない。あるとしたら、頭に王冠が乗っているようだ。あとメスの場合は、『クイーン』という。

『飛竜』は、ピンきりだそうで、どこにでもいそうな竜種で、他種族による調教も行われたり、戦争に駆り出されたりするらしい。まぁ、いうならば下位種ということだろうか。

そうして最後は、この『至竜』っていう、『ザ・ドラゴン』て見た目の厳つくも雄々しいヤツが、最高レアらしい。そして、めっちゃ強そう。


いやいや、しかし、この卵の可能性は無限大なのか?

大きさからいっても、リフレクが片手で持てるくらいだったぞ。

そこからドラゴンとか信じられないな。

しかし、事実、【コード化】したために間違いはないのだろう。

世界の理を凌駕している気がする。

ゲームとかで『チートコード』があるけど、今さらだが、実際使うと末恐ろしいな。

…………使いますけど。


さて、何を選ぶかだが――――やはり。


他の選択肢もあるが、ここは、ロマンを求めても良いところのはずだ。

ゲームでいう裏ボスを、俺が産み出しても良いと思うんだ。

だいだい、この迷宮の幹部連中も暇してるくらいに、難易度が高いのだ。

たいして問題ないだろう。

はじめの内は俺の中に隠れて貰えばいいんだし。



俺はそう思い、【サポート・アシスタント(AA)】に『至竜』を注文しようとして、あることに気が付いた。そう、俺が今から産み出そうとしているのは、ドラゴン。

つまり、『竜種』である。

そして、産み出す場所はここ、今いる俺の階層だ。


なぁ、一つ聞くが、『大きさ』ってどのくらい?


―全長が長い『黒龍』は50m。他の個体は、最低20mです―


でかっ!?

待て、待ってくれ!

俺の部屋の大きさが30×30に大きくなっていたとしても、そいつ呼んだら動くとこないじゃんか。


―予想では、身動きしただけで、冒険者を潰すことが可能ですね―


それって、俺もつぶれてるよね?


―強度及び耐震的に問題はありません―

―竜種が10頭乗っても潰れないでしょう―


なんだか俺は、あの物置のお株を奪うくらい凄いらしいな。

どうやら【サポート・アシスタント(AA)】は結構鬼畜なことを考えていたようだ。


―さらにもし倒されても、その場に残る死体でこちらまで来ることはあり得ません―

―竜種の鱗は魔法減衰効果を持っているので、たどり着く前にMPが切れるでしょう―

―結果、最良の選択と言えます―


と、いう【サポート・アシスタント】さん。

すいません、誰も無理ゲーと言われるモノを作る気はないです。

そもそも、自信満々に作って突破されたときに、相手に失笑されるのとか、恥ずかしいよ!!


しかし、そうなると、選べる竜種は辛いな。


ここの広さで、ある程度生活できる奴はさっきの候補にいるの?


―全種可能です―


…………。

そうだな、いや、別に言ってることは間違ってない。

ギュウギュウだと思うけどね。


と言うことで質問を変えた。


自由に行動でき、尚且つ翼を広げたり、飛び回れる奴は?


―『飛竜』が可能です―

―こちらにしますか?―


うん、まぁ、大きなドラゴンはいつか階層の管理を任されたときにでも呼び出そう。

とりあえず、お試しだし、『飛竜』でいいよね。


―では、『飛竜』に【モンスター・エッグ】のコードを書き換えます―

―完了。生まれてくる種の変更に成功しました―

―竜種は、育成に膨大な時間が掛かるため、補助をつけます―

―【時間は有限にして無限】を展開―

―経過時間を1万倍に加速しました―


ログに表示された文を見て、次に、視界に『NEW』と出た新しいアイコンを選ぶ。

アイコンはデフォルメされたドラゴンの絵だった。


小さく展開された画面に、可愛らしいドラゴンがドット絵で表示され、画面の中を動き回っていた。


もう生まれたのかよ!?


しかし、なぜだろう。

この画面とドット絵、さらには左のアイコン。


どう考えても、あっちの世界の、持ち運び出来る小型な育成ゲームに似てるんだけど。

まぁ、育成が楽になったと思えばいいよね!

画面に視線をやると、肉のマークがたくさん出ていた。

俺はこういうゲームやったことあるぞ。

確か食事だろ?

とりあえず根を挙げるまで、食事アイコンを乱打しとけばいいんだろう?

俺の育成方針は間違いないな。


と思い押しまくったら、【サポート・アシスタント(AA)】に、


―何を与えますか?―


と冷静に聞かれた。

なに食べんだろう?

ドラゴンの食いモン、肉?

肉ってなんの肉?


しかし、俺の体内にそんなもんはない、あるのはここの迷宮区の奴らの死骸だけだ。

好きで持っている訳じゃないが、捨てるとこ無いし。

これを与えれて食べてくれたら、確かに俺の中は整理されるだろう。

だが、それはできない。

そんなことして、その食べ物を気に入ってしまったら、ダルフの迷宮を食料にしか見ないドラゴンが出来そうで怖い。

ならばどうする?

ン………いや、まてよ。


ここである可能性が頭をよぎる。


俺が知っている狩猟ゲームでドラゴン達は、石を食べてたりしているヤツがいたな。

なら、もしや俺の『色々スキルが付いた』宝物を食べさせたらどうなるんだろうか?

ためしに与えてみることにした。


食事として与えるために、【サポート・アシスタント(AA)】がインゴットに成形し与えた。

与えたのは、


銘:ラビンス

武器:ハルバード

付与:【剛力】【遠心力UP】【特殊変形・連装銃モード】


をインゴットにして与える。


ドット絵で表示されたドラゴンはそれを――――


食べてた!!


おし!目論みは成功だと言って良い。

これで、与えるものに困ることはない。

沢山作れるからな!!


ん?

なんだいきなり沢山のログが………


―『 』の防御力があがった―

―……攻撃力上がった―

―……体力が上がった―

―……噛みつく力が上がった―

―……【バレット・ブレス】を覚えた―

―……好感度が僅かに上がった―


表示されたログを見た俺は、テンションが上がってきたのは言うまでもない。

色々と試行錯誤をしている内に、一日が終わりを迎えた。

いまだに、宝物庫の権限は復旧しないが、この分だと意外に困らないな。

そう思った。




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