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迷宮深部の偽宝箱《トレジャー・ミミック》  作者: 流水一
第五章『迷宮の日常と冒険者の苦難』
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第四十六話ー偽装宝箱ー『この一年の合間に②』

【造形師】......生産系高位スキル。モノに命を吹き込むかのごとく、形を作り込むスキル。どんな素材も好きにかたちを整えることができる。『注意!!』スキル獲得工程に異常があるため、劣化している。

同系譜のスキルに統合可能。

劣化=造形適用素材制限あり。


【擬態】.......一度、解析または明確にイメージしたものに変化するスキル。魔力適性、身体性能をそのままトレース可能。ーーーーが種族としてのーキルをー技神が強化しーーーである。ーーーー専用スーーだったもの。『注意!!』スキル獲得工程に異常があるため、劣化している。

劣化=実体化不可。ホログラム投影のレベルでの擬態のみ。本体を別生物に変化させることは出来ない。


【遊王】......決闘を正式に挑むことで、すべてのステータスが1.25倍になる強化スキル。挑まれたら1.5倍。『注意!!』スキル獲得工程に異常があるため、使用不可。


【複製】......自身の分身から、埃一粒まで完全にコピーする事が可能。生き物もコピーできるが、その場合、魂までは解析していないと異常が発生する。『注意』スキル獲得工程に異常があるため、劣化している。同系譜のスキルに統合可能。

劣化=コピーしたものに何かしらの欠陥が起きる。


【捕食】......体内に取り込む大きさの制限解放。物理存在なら届く範囲で捕食できる。取り込むことで、魔素を蓄える。



これが南大陸から戻ってきた俺が獲得していたスキルだ。

俺が獲得したってよりは、どっちかというと、分離させた【サポート・アシスタント】さんがなにかしてくれたようだな。

だいたい、俺が戻ってくるまでに何があったと言うんだろうか。

一年前、南大陸で擬態影人は消滅間際に『いまからお前の体乗っ取ってやるぜ』みたいなこと言ってたけど、北大陸に約一年かけて戻ってきたら、そいつの存在の欠片すらなかったから拍子抜けだったんだ。

俺の体の呪いは解呪されていて嬉しい反面、何があったか分からない不気味さがあるな。

あと、うん、何となくだけど、【サポート・アシスタント】が何かしたことは漠然と理解できる。


戻ってくるまでの一年間の俺の体の行動を見てみたい気がするが、俺と統合した際に、


ー記憶メモリーの整理をしますか?ー


って聞かれ、整理させているがどうやら量が膨大なようで、整理完了まで結構かかりそうだ。


ー現在45.3%ー


てなってるし、時おり、進まなかったりする。これはあれか、動きが重いPCなのか?

それとも、防犯カメラ並みにずーとRECになっていたとか?

もしそうなら、俺が居ない一年の総集編とかできてそうだな。


とりあえず、何があったかは整理待ちってことだな。

しかし、今の俺ってどうなってんだろう?

プロフィール画面を呼び出してみる。


水無月

【魔】

MP: 850,013 / 851,000

種族: 偽装宝箱(トレジャー・ミミック(上位))

タイプ:物質系

魔法:【 内包世界( ルー・ルーム)】......莫大な量のアイテムボックス。アイコン毎に区切られている。ひとつの(フレーム)には99個まで。内部において、調合、合成、焼成が出来る。自由度のは高く、枠の統合、表計算も可能。神【セーファ・セキュリア】の恩恵を受けている為、略奪系スキルにより盗まれることは無い。

保有スキル:【サポート・アシスタント(AA)】【捕食】【エニート(複合スキル)】【時間は有限にして無限】【総合生産(複合)】【C言語 D言語】【解読】【多国語(12ヵ国)】【達筆】【転写】【総合芸術(複合)】【電流操作】【家事】【遊王】【捕食】


である。

というか 、種族進化してるし......実感ないなぁ

せめて分かりやすい変化が欲しかった。

ほら、鯉から竜くらいのさ.....まぁ、いっか。

スキルの方だが、いくつか複合されていた。いや、使いやすく纏められたのかな?

これもすべて俺がいない間の時間に【サポート・アシスタント】さんがしてくれたのか.....

今は、【サポート・アシスタントAA(ダブルエー)】さんだな。


【サポート・アシスタント(AA)】......使用頻度の高いと予想されるスキルを吸収統合した【サポート・アシスタント】。バージョンアップしたスキル。単独思考をもち、主の能力不足を補ったり、的確に効率良く行動できるようにサポートするアシストスキル。【文字化】【コード解析】【トライ&エラー】【デバック作業】【検証】【C言語D言語】【解読】【多国語】を統合したことで、スキル展開速度の上昇。


【エニート(複合)】......【自動警備EX】【自宅警備EX】【宗教撃退EX】【押し売り撃退EX】【居留守】等の自宅防衛スキルと、【対恐怖】【対精神圧力(プレッシャー)】【不屈の心】【異常状態無効】等の精神および異常系スキルを複合したスキル。


【総合生産(複合)】......生産系スキルを統合したもの。【宝石精製S】【宝剣作成S】【加工(食)A】【加工(宝)S】【複製】【造形師】【擬態】の複合。


総合芸術(デザイン)】......設計から完成までの工程加工。デザイン加工系スキルの統合。設計図に書き込んだことが、ある程度反映され、性能に補正がかかる。取得したコードを反映させることも可能。既存のアイテムを取り込むことで、容器の加工、ロゴの追加、痛加工もイメージが的確なら10秒もかからない。


と、まぁ、こんな感じに、いつの間にか強化?されてたというわけだ。

複合したことで使い勝手が悪いと思ったが、そうではなかったようだ。

なんたって万能サポーターのアシスタント先生がいるからね。



となれば当然、新スキルって使ってみたくなるのは必然。

それに体(宝箱)の大きさや形も、限度まで変えられるみたいだし。

【サポート・アシスタント】の補助を受けながら、色々やってみたというわけだ。


「しかし、先程の擬態は失敗だな......そうか、宝物庫内で捕まるヤツはいないわな」


さっきの冒険者たちの思いを馳せていた。

【擬態】の見た目は完璧なのに、実体化できないから、影人のように、何かモノにさわるはできないが、俺の身体だけならホログラム状態でもさわれるらしい。

【アシスタント】さんいわく、自分自身だからという当たり前の結果を告げられた。


―――――――――――――――

北大陸まで戻るのに、東大陸を縦断する陸路のため、結構な時間が掛かったが、戻ってこれたことにひと安心だ。

ここ一年俺らがいない間に、色々な噂を聞くが、俺たちは俺たちで、急ぎの旅だったけど、波瀾万丈だった、とだけ言っておこう。

あの迷宮近くにある、干からびていた湖の底の廃墟で、魔皇との邂逅。

火の自然精霊との出会いと戦闘。

南大陸と東大陸を繋ぐクロスポートでは、豪華客船での船旅。

途中で襲い来る海賊。

東大陸では、帝都にて刀鍛冶師と出会い。

陰陽師に攻撃されるダルフとベルベット。

迷宮を訪れてくれたダークエルフ5人組と再会。

道すがらあった迷宮に魔精二人がタイムアタックをかまし、そこの管理者の魔精に怒られたり。

東と北を繋ぐ、凶悪な魔獣がはびこる海底地下トンネルを、1ヶ月で踏破。

北大陸ではレファンシアの迷宮の大暴走の話題と、放浪魔精ー拠点を持たず気ままに殺戮を繰り返す物騒な魔精達の総称ーの出没情報で、どこの街もそればかりだった。

北大陸中央部にある大都市『天体都市ステラリウム』ー小さな町が城壁の中で点々と存在し、夜になるとその明かりから、天体に浮かぶ星に見えるためつけられた都市ーの近くで放浪魔精との戦闘。


そうして一年の波瀾万丈な旅が終わりを迎え迷宮に戻ってきたのはついこないだな訳だ。

とりあえず、冒険者達が攻略階層を伸ばしているのと、迷宮自体の防衛力の低下が目立つなぁ.....


「深層域の冒険者なら俺も本気で、防衛しますかねぇ」


初見殺しに、タイミングを見計らったような罠。

この世界には無い光学兵器による切断装置。

俺の擬態(ホログラム)を囮とした落とし穴.....は失敗したから、宝箱を守る番人のフリでもしてみるかな。

あとはーーーーーー


色々と考えることは多いようだし、一個ずつやっていこうと思う。


俺の目の前の大理石に魔方陣が浮かび上がった。

これは転移の魔方陣。

どうやら聖が帰ってきたらしい。

まぁ、罠は後で考える事にして、聖の話でも聞いておくか。


「【タイニーゴーレム】強敵だったな」


現れた鎧姿の聖。


「おかえり、そうかい....ってもうそこまで行ったのか!?」

「うむ、私はいま絶好調なんだ、身体が軽い!」


元気に剣を振り回す......しかし、


「絶好調のヤツは頭から血をながさねーよ」


ため息混じりに言った。


顔の半分を真っ赤に染める聖、どうやら脳天辺りに一発でかいのが入ったんだろう。

なんかフラフラしてきたぞ。

なぜ平気なんだこいつ。

そもそも、死に戻りならキズはなくなる筈だし......


そのあと、どうしてそうなったか経緯を聞いて、俺の一日が終わりを迎えた。

早めに新しい罠でも考えないとなぁ。

こまったこまった。

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