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迷宮深部の偽宝箱《トレジャー・ミミック》  作者: 流水一
第四章『迷宮への道のり』
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第三十四話『偽宝箱は唖然とする』

「え~、御姉様ベルにも貸してくださいよぉ」

「断る、これは私専用だ」

「そう言わずに、どうせコメットさんにやってもらうんでしょう?」

「ふっ、自分でやるに決まってるじゃないか」

「.....そんなことしら雨降りますよ」

「ベルベットなぜ真顔で言うのか教えてもらおうか!」



俺が先程作り出した【黒い櫛】の取り合いをしている姉妹みたいな聖とベルベット。

取り合いをしている【櫛】は、この身体になってから初めて作成したモノだ。

どういう物かというと.....


【黒い櫛】......艶があるピアノブラックのくし。

効果:癖毛(ー4)浄化(+3)

付与スキル:【魅了(低)】


こうなった。

今回は解析出来ないため、自分で何が付くのか分からかったけど、マトモの物が出来てホッとしている。寝起きの癖っ毛が激しい聖には丁度良いだろう。

これで、コメットにも迷惑が掛からないと思う。

とりあえず聖にも言っておこう。


『聖、これからは自分で出来るだろ?』

「ああ、もちろんだ、任せろ」

「任せろって、いつもやってれば良いのにぃ.....そもそも、跳ねないように寝れば良いと、ベルは思うんですけど」

「ふっ、それが出来たら苦労しない」


「朝が弱いからなぁ、はっはっはっ」と嬉しそうにしている聖と、若干飽きれ気味のベルベット。


さて、ダルフが目の前の泉に消えてからもう1時間だ。

今現在俺たちは、【水錬の雪原】の≪ミュゼリュール湖≫に来ている。

湖の大きさは直径20mくらいの小さなモノだ。

俺の感覚では池なんだが、ダルフが正式名称と言うんだから湖に分類されるんだろう。

そのダルフは、『ちょっと待ってて』といった後、この湖に片手を付き何かを呟いた。

すると、ちゃぷん――という音と一緒に湖に消えていった。

湖の波紋は一回しか起きなかったし、水面の揺れも大きくない。

人が落ちたときに起きる規模では無かった。

魔法的な何かだろうか?

さすが異世界だと言っておくか。

とりあえず、いまだに来ないダルフを待つわけだが、さすがに長くないか?

はしゃいでいる銀髪の二人は気にしていないようだが、宝箱である俺を抱えているコメットはそわそわしていて落ち着きがない。

やはり心配なんだろう。


手で抱えられ重量もそこそこの俺だ、運んで貰っている手前何かコメットにしてあげたい。

せめて持ち運び出来るように、俺にベルトをつけ、リュックみたく背負うことが出来ると良いかもしれない。そうすれば、俺もコメットの背中から真後ろの警戒も出来る。


さっそく、それらしいのを作ってみよう。

効果?そんなん軽くて頑丈ならいいだろ。

てことで、ちゃっちゃと作ってみた。

作成に15分経ったが、ダルフは戻らない。


銀髪の見た目姉妹を呼び、コメットとの間を取り持ってもらって、ようやく渡した。


【サポーター(仮)】......荷物を背負うもの。

効果:重量軽減(+12)振動軽減(+2)

付与スキル:【属性耐性】


これもおかしなところはない。

コメットは微妙そうな顔をしていた。

まぁ、荷物持ちではないと言いたいのだろうけど、しかし、他にも使えることを説いたことで受け取ってくれた。

ただ、これを渡したときに、聖とベルベットが食いついてきたのは言うまでもない。


そんなこんながあってダルフが湖の中から戻ってきた。

戻ってきたダルフは服も身体にも水滴一つ無い。


「許可が下りたわよ、まったく久々で喋っちゃったわ」


スッキリした笑顔を見せるダルフ。

そうか、俺にはげっそりした水の精霊様が幻視できるよ。


「じゃあ、行くわよ」

「ダルフどこに行くって?」

「そうですよマスター」

「こっちよ」


ダルフが歩き出したのは湖の方だ。

自らが出てきた方へ手招いている。

コメットが疑問もなくスイスイ付いていくのに対して、顔を見合わせる聖とベルベット。

コメットに運ばれる俺は、早速背負われ後ろの景色のみが視界に入った。


「いや、え?水の中なのか?」

「え~、ベルもヤなんですけど.....」


愚痴る二人をダルフがぽいぽいっと湖に投げ込んでいく。


「平気だからね、ちょっと酔うだけよ」


ばしゃん――。


音と共に水の中に落ちていく二人。


「じゃあ、私たちも行くわよ」

「......(コクコク)」


それに続く俺たち。

コメットが水に入っていく時、俺は箱の中に水が入らないように蓋を閉めて視界を閉ざした。

身体に掛かる圧迫感、水圧だろう。


そうして1分くらい経った頃。

飛沫が上がる音。

揺れる身体。


水の中から出たのか?


安全を確認した後、蓋を開けて視界を確保するとそこは.....

先程とは違う風景が広がっていた。

雪など降ってなく、足元も白くない。

カラフルな草木が映えていた。

出てきた湖も、まったく違っている。


ダルフが周りを見てホッとしている


「着いたようね、南大陸サーセルブ」


なん、だと?











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