第三十二話『偽宝箱は二度見する』
おそくなりました。
今度からはこまめにいきますよ。文字数は少なくなります。
上蓋を持ち上げた時、キイキイと蝶番から擦れる音が聞こえる。
最初に転生して以来、聞いたことの無い音だった。
その音に懐かしい気持ちと、ちょっとやるせない気持ちが混ざった。
俺が思うに、いま俺を構成する『箱』は今まで比べ物に成らない程スペックに差があるんじゃないのか?
しかし、あのまま呪われた状態で、何も出来ない唯のがらくたに成り下がるなら、逆転ホームランを目指そうとするのが俺だ。
(とりあえず、ストーカーボコす、そしてあわよくば、道中で魔導書を回収する......あ!!)
これからの決意を固めようとしたとき、あることに気づいた。
(魔導書の解析とかどうなってんの!?まさか呪われてんのか!バグか!?)
糞迷惑メールが送られてきて、色々なことがあり、そこまで気が回らなかったが、結構大事なことを忘れるなんて......
そもそも、なぜ、魔導書を解析したいのかは、この世界の魔法の仕組みを知るためだ。
どのコードがどうなるなど分かれば、俺のスキルによって新たな魔法も産み出せる......はずだ。
しかし、魔導書、いいや魔法のコードは曲者で普通に手に入らないし、魔法を取り込んでも体の中で固定も出来ない。唯の魔力に霧散するだけだ。
故に、異世界で魔法をバンバン使うためには、魔法の概念が書かれた魔導書や古文書が必要なのだ。
いままでは、武具や防具で、一応俺的には魔法に分類されるコードも見つかってはいるんだけど、なぜか、それ以上先に進めないんだ。
コード自体がロックされている気がしてならない。
俺が【トライ&エラー】【検証】スキルで見つけることができたのは、ゲームで言うところの『付与魔法』だろう。
確かに武器に付与する関係上、コードが剣の方にあっても不思議ではないが......
しかし、それ以上の魔法、簡単にいうなら、【ファイヤーボール】とか、見習い騎士でも使えそうな魔法のコードすらないんだ。
だからこそ、コード獲得のため、【サポート・アシスタント】の助言の元、魔導書を解析してたんだけど.....解析中アイコンはどこだああああああああああああああ。
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なかった。
ていうかアイテムの中に解析していたものすらなかった。
あと、どうでも良いけど、あのときのアイテム一個もないし、変わりに、衣服と食料とどこぞの魔物の部位とかたくさんあったわ。
いまの俺って......いや、まて結論を出す前に、あれだよ?外観はどうなってるか確認しよう。
俺が自分の外観を確認するには、視界の端にあるカードを示したアイコンを選択する。
窓が視界に映り、そこに写される3Dの俺。
そこには、ランドセルの半分くらいの大きさの『宝箱』がある。
全体像からラインが引かれ、スケールも出てるんで間違いはない。
俺はほっとした。
気を取り直し、周りを見る。
やはり夜だ。
しかし、音が聞こえないな。
聞こえたのは、自分から発した音くらいだ。
て、いうか外の世界は転生して初めてだ。
空からは何かがふわふわ降っていてたが、暗いためよくわからん。
視線をしたにさげて、見ると......
「あは♪みちゃったぁ」
という声が聞こえ俺はぞくりとした。