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迷宮深部の偽宝箱《トレジャー・ミミック》  作者: 流水一
第三章『迷宮への招待状』
26/75

第二十四話=level:147

大変お待たせしました。

不定期になりますが頑張っていきます。

暇があれば、暇潰しにでもどうぞ。

感想、評価ありがとうございます。

さて、俺の目の前には5人のちょっと怪しい女冒険者達。

そのうちのリーダーぽい人物が全身を隠していたフードを外したことで、俺はある確信を得た 宝物庫の淡い光に映し出され、キラキラ輝く白銀の髪。

周りが薄暗いことから闇夜を照らす月のような銀光を振り撒いていると錯覚させる さらには、褐色の肌に整った顔立ちも髪の輝きに見合うほど美人だ

身長は低くもなく、高すぎもしないくらいで対して気にならないが、彼女が掛けているローブの一部が他の4人に比べて大きく膨らんでいる


「つまり、これが...... お手本、ダークエルフ!!」


そう、そうだよ!これがダークエルフだよね?うんうん、俺のファンタジー世界は今始まったのかもしれないわ.... 最近訪れる冒険者はむさいおっさんとか、がちむちのまっするーとかが多かったけど、パーティーに一人はオアシスが欲しいと思うのは俺だけか?

確かに、美人さん達や美少女ちゃん達はダンジョンなんて辛気くさいところに潜るくらいなら、社交界でデビューしてキャーキャーやっていた方が、玉の輿とか狙えて有意義かもしれないが、そこは、ダンジョンに夢見ようよ!迷宮に だって出会いがあるかもしれないじゃないか!


はっ、そうだ、今度上司のダルフに迷宮に出会いの場を作って貰おうか?


そう考える俺だが一瞬で考え直す いやいや、待てよ.....それして成功した場合、迷宮がデートスポットになって、そんで俺の宝物庫で......


『大丈夫だよ、誰もここにはいないから....』

『 うん....優しくしてね』

『 ああ、任せて....イヤァァホォオオオオオ!』


......的な?そんなことが起こるんじゃね?

ダメだ、ダメダメ


おっと、バカなことを考えていたら、周りを警戒しつつ俺の方にダークエルフ達が迫ってきた 彼女達は全員が同じ服装をしていて誰が誰だか判断する材料が、身長と行動しかないぞ?

顔を見せているのはリーダーぽい美人の人だけだし、

このリーダーって、メンバーの中で一番の巨乳じゃないかと思う。 ダルフとここ一年くらい会ってないけど、それに近いサイズの持ち主だと思える。


そんな彼女はまた同じことを言ってきた。


「レファンシア様に用があるんだ、要件は本人にしか言えないが、取り次いでほしい」


俺が鎮座する6角型台座の丁度外側で、凛とした佇まいのリーダーのダークエルフは言っていた。

それに対する俺の返答は..... 当然『NO』だ。

そもそも、俺のことをなんだと思っているんだ?ミミックと感づいた訳はなんだ?

てか、気づいているのか?本当に?

これでも、ここ5年の間に気づかれたのは一回もないほど優秀な俺だぞ? あっ、つい最近同郷のやつに気づかれていたか.....しかし、それだけだ!


だから、気づいているのか......かまを掛けているのか....


悩んでも仕方がないか、しかし、声を出すとエルフやドワーフと同じく精霊との親和性がありそうなダークエルフの連中に勘づかれる恐れがある。ここは無言でやり過ごすしかない。

一応、俺の発動スキルに【居留守】【自宅警備EX】を付けておく。

もしものためだ。


しばらくこの俺を、遠くから触れずに観察していたがバレなかったようだ...


「えっと......あのですね?」

「......」

「 聞いていますよね?そうですよね?」

「......」

「......」


そんなやり取りを数分したあと、がっくりと肩を落とす美人がいた。

落ち込むリーダーに笑いながら肩を叩いていくメンバー達。


「いやいや、突然何してるのかと思いましたけど.....ププ」

「笑ったらダメですよ!何かを感じたんですよね!?」

「ついに......そこまで来たの?」

「あはっはっははっ、お腹痛いです!テロ?これテロですか!?」


顔を真っ赤にして両手でそれを隠し、恥ずかしそうに床に倒れている彼女にこれでもかと言いまくっていった。


「 貴女たち.....覚えてなさいよ」


怨めしそうに言う彼女の呟きは色々なモノが籠っていそうだった....


―――――――――――――――――


リーダーぽい人のテンションの建て直しに、数十分時間が経過したあと、彼女達は部屋を物色するのかと思ったがそれはしなかった。

大理石の綺麗な台座に鎮座する俺の周りをぐるっと取り囲むダークエルフ一同。

近くでみるとかなりの美人であるリーダーぽい人と、そうは言ってもあまり容姿に大差がない綺麗どころの仲間達。


なんていう美人・美少女集団だろうか!そこに美幼女が加われば、まさしく三幻神の輝きなのに!!


「アルトネ.....もう笑いは取らないっ、ん、です、か?」


俺の丁度真後ろにいるダークエルフ。銀髪をショートへアーにしている中学生くらいの少女が喋りだした瞬間口許を押さえていた、震えているようだが......


「 エルモア、覚えてないさいよ!!」

「 いやいや、アルトネそれ負け台詞じゃない.....下っぱ臭がしそうよ?」

「 イディエルにエルモア!失礼ですよ!!」


ほう、俺の正面に立つ、巨乳のリーダーぽい人はアルトネというのか.....アルトネは口に手を当てて震えているエルモアに涙目で指を突き付けていた。

そんなやり取りをやれやれという態度をするダークエルフ....綺麗な銀髪が手入れされてないのか、ボサボサ状態の....イディエル?と、このメンバーの中で、一番身長が低く一生懸命さを人一倍放出してそうな子が、アルトネの隣から『 め!』という擬音が聞こえてきそうなポーズを取った。


「ウシュナル.....貴女だけが私の味方です」

「アルトねー様....」

「今回の迷宮探索で出たドロップの振り分けに、色をつけてあげましょう」

「そんな....いいんでしょうか?」

「いいのよ!リーダーは私だから!」


アルトネは、庇ってくれたウシュナルを後ろから抱きしめていた。

そして、肩から延ばされた手を辿々しく掴むウシュナル。

なんとなくほほえましい光景だが、俺は見てしまった.....死のノートを持つ男のように口を歪めて確信に満ちるその表情をしているウシュナルを.....

俺が見たってことは当然アルトネ以外の連中も見ているわけで......俺は、うっわぁぁぁって思ったけどパーティーメンバーはどう思っているのか気になり視線をぐるっと見回した。


エルモアは頭に青筋を浮かべているようだが、口出しはしていない....きっと今自分がウシュナルのことを言っても、信じてもらえる可能性が低いと計算したんだろうか?故に口許をピクピクさせているだけに留めているようだった。

イディエルは、あくびを噛み殺して腕を組んでいるだけだ。我関せず的なやつか?

すると、眠そうにしていたイディエルに動きがあった。 なにに反応したのか殺気が膨れ上がる。


「まったく、動くなよ?」


イディエルはゆったりとした服の袖口から、キラリと黒く光る鋭利なモノを取りだし、後方へと投げつけていた。


「ちょっ、まだ取ってないから!?」


悲鳴のあと電気が弾けたような乾いた音が聞こえ、その後、カランカランという金属の音も聞こえてきた。

こっちからじゃ、イディエルの後ろ姿しか見ることしか出来ず、何がここったのかさっぱりだが、イディエルが、俺から離れて行くとき視界が広がった。

この宝物庫の左側の収納棚の前で、こっちに向かって何かを振り切った姿勢をしていた銀髪ロングの少女がいた。同じく整った顔立ちに褐色の肌.....間違いなく同族のダークエルフだろう。

彼女は前髪にメタルレッドのパレットを付け ていた。


へぇ、そういう髪飾りもあるんだな....


「レファンシア様の迷宮内で、勝手に物の物色をしてはダメだ、と言った筈」

「あ、ははは、いやぁなんでしょうね?私の 性( さが)?」


イディエルはその少女に近づいていく。

少女は冷汗をかきつつ、じりじりとイディエルから距離を取ろうとしていた。

イディエルが足に力を込めて走り出した瞬間、少女も床を蹴って走り出していた。


なぜ?

あれか?信仰する精霊だからだろうか?しかし、信仰が切れたから魔精に堕ちたと聞いたんだけど....


「オーウェ!!」

「ですけど!迷宮ですよ?宝物庫に来たらやることたぁ、ひとつですよ!」


踏ん張りが難しい緩衝マットの上を軽やかに駆けるオーウェに、イディエルも追い付けないようだ。

それを見ていた他のメンバーは口々に言う。


「また.....なの?」

「ああ、レファンシア様に何て言ったら.....」

「オーウェ!おねー様達の言うことを聞きなきゃダメでしょ!!」


まぁ、俺的にはオーウェが言ってることがマトモだと思うんだけど....

そう考えるとこいつら、今まで冒険者と違って本当に『用事』があるタイプか?


いままで、『レファンシア出てこい!』とか『取引しましょう、ええ、そうですとも』とか『是非、私も配下に』とか来てたけど、大抵こいつら、上司の討伐目的ばっかりだし。

基本的に上司はそういうの容赦無いから、訪れた奴みんな殺されるんだけど......

そして、なぜか俺が、ダルフの連絡窓口にされてるし

確かに部屋に繋がる扉が俺の真後ろの面にあるけど、あれは一方通行だ 向こう側からしか開けることはできないんだ。

故に形だけの扉さ、今はね。

本当に用事だとしても、俺がミミックとばれる訳には行かないしなぁ.....バレたら、今ですら攻略本のせいで俺の勝率が減ってきているのに、ここにきて挑戦者も減るなんてあったら、俺のコード収入源がブラック・パラディンの聖から渡された物だけになってしまう。


なんというヒモ生活!やだわぁぁぁ


まぁ、連絡だけはダルフにしておかないとな。

ダールエルフあらわる!?的なやつでいいか.....


ダルフに通信を送っておいたので、そのう現れるだろうけど......

それにしても、追われるオーウェや、追いかけるイディエルにしても、身体能力がめちゃめちゃ高いなぁ....



――――――――――――――――――



「ここは迷宮ですよ!!私間違ってませんよ!!」

「そう、ここは『レファンシア様の』ね?」


イディエル一人では捕まえられなく、結局4人がかりのおいかけっこに発展していたが、ついにお縄についてしまったようだ。


「はぁ、はぁ、つかれた」

「無駄なことさせないでくださいよ」


乱れた呼吸を整えるメンバー達に比べ、オーウェは元気そうだった。


それにしても、オーウェが逃げながら長方形の紙、札かなにかだろうけど、それを使って様々な現象を起こしてのが気になるな、初めのイディエルが投げたモノを弾いたのはその紙で結界を張ったからだろうか?

初めて見る現象に興味津々の俺だ、なんとか取り込むことはできないもんかな?


「......しかし、不思議な空間ですね?」


可愛らしい見た目に似合わず、真剣に考え込むのウシュナルは、周りを見回していた。


ほう、もしかして仕掛けに気づいたのか?いやまさかな.....


「だから、アルトネ聞いてくださいよ!」

「いいでしょう、話しなさい」


俺の隣に縄でぐるぐる巻きにされたオーウェが芋虫のように暴れていた。

尋問するアルトネ。


「ここの街に来る際『転移の魔女』に私たちはぼったくられましたよね?」

「いえ?適正価格でしたが?」


「「「え?」」」


平然と答えるアルトネに、あり得ないという顔をする他のメンバー達....

そんな顔をされたアルトネは、少しむっとしていた。


「いいですか?相手は魔女です、それは当然の対価で―――」

「アルトネはいつも誰かにぼられてるから分からないんですよ!!」

「距離を考えて......なんですって?」


ハッっと鼻で笑うオーウェと、手をわなわなと握り絞めるアルトネ。


「ばか、そういうことを!?禁句だぞ」

「バカ.....なの?そうなの?」

「触れてはいけない暗黒面よね、それ」


アルトネに頭を思いっきり叩かれ悶えつつ、なぜかみんなに説教をされるオーウェを不憫そうに眺めていたが、しばらくすると階層接続の空間振動が起こった。


なんだやっと来たのか?ダルフこいつらなんとかしてくれよ.....


そんな思いのもと【サポート・アシスタント】の声を聞く


ー階層の接続を確認ー

ー迷宮幹部『泉の妖精』の申請を確認ー

ー認証しましたー

ー188層『魔力の泉』に接続されましたー


ごごご―――という振動に、俺から飛び下がり、おのおの臨戦体勢をとるダークエルフ達。


「ちょっと、私の縄!!」


隣で暴れるオーウェ。

おい、縄ほどいてやれよ....

俺の『正面の扉』が、ぎぎぎ――という音を立てた。

ダルフのお出ましか?会うのは1年振りだが.....

というか幹部の場所になぜいるんだ?

そうして扉が開けられ、逆光の中現れる輪郭は......


「えっと、始めまして?」


ダルフではなかった。


逆光が収まり、現れたのは、闇の色の髪に赤と青のオッドアイの人物だった。


だれよ?この方.....


「うふふうふふ....」


うつむき怪しく笑っていた。

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