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迷宮深部の偽宝箱《トレジャー・ミミック》  作者: 流水一
第二章『迷宮の挑戦者達』
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第十九話『その後の少年達』

お久しぶりで!お待たせしました!

読んでくれて有り難う御座います!!

評価・感想ありがとうございしました。


頑張れ、私!年明けは近いぞ!!

現在人気沸騰の中の迷宮『レファンシアの呪海迷宮』から、二人の少年が手に荷物を抱えて現れた。

彼らは、ホクホク顔でお互いに顔を見て笑いあっていた。


「ナエトごめんな、俺の無理に付き合ってもらって」

「い、いいんだよ!シーシェ」


申し訳なさそうにするシシェルと、首をブンブンと振るナエト。


「それに見てよ!」


ナエトは手元にある金色で宝石が散りばめられた短剣を、シシェルに見せた。

それは短剣でありながら、10歳になったばかりの彼らが持つと、短剣ではないように見える。


「でも本来は一層ボスに挑戦するだけだったんだけど.....3日も家を空けたとなれば、父様や母様は物凄い怒ってると思うんだ」

「うぅ.....」


剣を見ても、気持ちが上がらないシシェル。


それはそうだろう、10歳になったばかりの子供が『迷宮に行く』という置き手紙だけ残して3日も帰ってなければ、当然のことだ。

いくら迷宮一階層が子供の遊び間と言われても、世の中には危険なのは迷宮のモンスターだけではないのだ。捕まって奴隷にでもされていたらと考えてしまうし、最悪、王家の血が流れるシシェルと天使の血が流れるナエトを、怪しげな儀式の生け贄にでもされるのかもしれないのだ。

つまり、3日もあければ生存は絶望的であり、そんなところにひょっこりと現れたら少年達が思っているような優しい雷で済むはずもない。


しかし、そんなことよりも、今は純粋にあったことを振り返り思い出を共有していた。


「でも、かっこよかったよね!あの人」

「うん、俺も見習って頑張るんだ!」


ナエトとシシェルが評価する人物は迷宮のモンスターなのだが、彼らはそうと気付くことはなかった。


「シーシェ、そういえば最後に聖おねえさんと何話してたの?」

「え!?」


ナエトの言ったことにシシェルは動揺してしまった。

最後入れ替わるようにして宝物庫に向かう、漆黒の聖騎士を名乗る黒木聖という、自分達より4才くらい歳上の少女にシシェルは話し掛けたのだ。

それを見られていたらしい。


「ねー、なに話したの?」

「う、うるさい!バカ!」


ポカッーーー。


「いたいよ!シーシェ」

「内緒だから聞くなよ!」


顔を赤くしているシシェルとそれを不思議そうに見ているナエト。


そんな話をしていたら、迷宮に隣接するクラレントの城下町を越え、クラレント城にたどり着いた。

二人は息を呑む。


「どうしよう......さっき僕らを見ていた城下町の人、まるで生き返った死人を見ているようだったけど.....」

「ちがうって、あれは俺らが持っているお宝を見ていたんだよ!」


城門に立つ二人の門番が慌てて駆け寄ってくるが、シシェルは自慢げにしていた。

対して、ナエトはシシェルの後ろの怯えるように隠れている。

シシェルは先程自分が不安がっていたのを城下町の人の驚きの視線で気を良くしたらしく覚えていないようだ。


ナエトを見たシシェルは、情けないと思いつつも好きにさせていた。

なぜなら、今、自分達は冒険者が血眼になって探している宝物庫で宝を持って帰れたのだから、ものすごく誉めて貰えるのだろうと思っているからだ。


「シシェル殿!いままでどこに!!」

「死んだかと思いましたぞ!」


ふふん、という感じでご機嫌のシシェル。

後ろのナエトはコレでもかと縮こまっていたが......


「父様.....いや、母様に一番に報告したいことがある」


そう言うシシェルに、門番は返事をして一人城の中に駆けていった。

シシェルはナエトを自分の後ろから引っ張り出した。


「ナエトもセレナ母様に報告に行くといいぞ!」

「え、でも、シシェルを置いて先に行ったら怒られるよ.....」


シシェルとナエトは王の側室の子供だが、その中でもナエトの母セレナは天使族のため、人族主体のこのクラレントでは地位が低いのだ。上から三番目のシシェルの付き人のようなことをしているのも、そのためだったりする。


「ばか!俺が連れ出しただけなんだから、怒られるわけないだろう!」

「そ、そうかな.....じゃあ、行ってみるね?」


やはりまだ子供.....内の事情は詳しくない。

不安そうに別れたナエトを見送り、城門で待つこと数分。

シシェルの元に、息を切らしながら駆けてくる20代半ばの女性が現れた。

女性は透き通るような綺麗な金髪を腰元まで垂らしていた。

肩で息をしながら駆け寄ってきたその女性こそシシェルの母である。

童顔な女性はシシェルそっくりのつり目をしていた。

その目元と口元がピクピクしていたことにシシェルもあれ?と思った。


「母様、おれ!」

「シシェル.....牢屋に入ってなさい」

「え?は....はい」


シシェルはわけが分からなかったが、母から出ている威圧感が迷宮の一層の門番以上だったため大人しく従った。





この後、城下町では城を抜け出して消えていなくなったと思われた少年達の帰還の話と、少年達が迷宮区で『あの部屋』からお宝を持ち帰ったことの話で持ちきりになっていた。


この時より、月日は流れ5年たった頃、

北大陸の北端にあるこの迷宮の知名度は遥か遠くの南大陸まで噂が広がっていた。




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