第十五話=コメットの日記
次回は水無月さんのターン。水無月さんVS黒木さんです。
XXX日___
今日から私......コメット・アステリアは、エルフィ様の元を離れエルフィ様が腐れ縁と口に出すダルフ・レファンシア様の元で生活することになりました。
ですが、エルフィ様はなぜ私に行くように言ったのでしょうか。
始めて会うダルフ様はエルフィ様に比べて胸がとても大きい方でした。
(略)
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最近ダルフ様の様子が可笑しいように思えます。
今週は冒険者を殺さなかったのです。
いつもなら週に一人は殺しているのに......何かあるのでしょうか?
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ダルフ様のやる気が今日ついに底を突いてしまったようです。
私が様子を伺っても「つまんない......もう1000年は何も変動ない」と口に出していました。
しかし、私が勤めてからまだ200年くらいしか経っていませんので掛ける言葉が浮かびません。
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無気力なダルフ様でも一応任されていることがあるようで、迷宮内の宝箱にアイテムを詰めていく作業をいつものようにしていました。
今日も宝箱にそこら辺の石ころを詰めようとしたので、私がそれに付与魔法を掛けて価値を上げておきました。
小精霊の集合体である私の魔法の一つ【祝福】を微弱ですが付与しました。
これにより、今日は転ばなかったとか、銅貨を拾ったなど良いことが起こるでしょう。
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ダルフ様は、数年に一度の幹部会の出席に×をつけてしまったので、代わりに私が話を聞きに行くことになりましたが、幹部会では5名の幹部が『出番はまだか?』『もう880年は待たされている』などと言っていました。
しかし、私がダルフ様の部屋で監視画面を見たとき、一番下でも90層程度に数名いるのみで、皆様の所までは当分来ないのでは?と言っておきました。
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ダルフ様に代わりついに私が宝物詰め係に!!ダルフ様の力が段々と弱まってきている気がします。
どうにかしなければ.....
(略)
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迷宮の監視も任されてしまった私はあるものを見つけました。
どうやら、この迷宮に新しい宝物庫が加わるようです。
出てきた宝物庫にはショボい宝箱以外何もありませんでした。
外れのようです。
とりあえず、他と一緒のローテーションに加えておきました。
階層主を倒した後に入れる宝物庫で手に入るのは、基本的に大きな魔石ですがこれは録な魔石もないのでしょうね。
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ショボい宝物庫が生まれて5日立ちました。
どうなったのか確認するためちょっと宝物庫に映像を繋いでみました。
するとそこには、小精霊の進化した身である私を震わせる光景が広がっていました。
繰り返される謎のカラフルな発光。
箱全体が、千変万化して形を保っていない。さらに、空中に浮くのは魔核でしょうか?巨大な十二四面体の結晶ですら展開と再構築を繰り返している異様な光景
。もっと、驚くべき事は、宝物庫として冒険者が入ってきた時、何事もなかったかのように普通の箱に戻る点です。これはダルフ様に報告しなければなりません。
ーーー日___
完全に引きこもっているダルフ様をなんとか引っ張りだし、事を伝えると何百年ぶりの嬉しそうな顔を見ることができました。『ミミック!!』と声をあげていました。
非常事態が切っ掛けですが、私は少し嬉しかったです。
(略)
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あの異様な光景がついに終わりを迎えました。
3年間休むことなく動いていた『アレ』は何の痕跡もなく消え、あるのはピカピカの小さな宝箱でした。
ダルフ様は『進化?』と口にしていましたが、あれはそんなもんじゃないと思います。
(略)
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今日も冒険者が徒党を組んで押し寄せてきました。
はじめは嬉々として宝箱にモノを詰めていたダルフ様ですが、いい加減疲れたのか、イライラしているように見えます。
そういうときは紅茶をいれるとしましょう。
明日こっそり準備しておこうと思います。
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真夜中に聞いたこともない警報が迷宮内に鳴り響きました。
急いでダルフ様を起こしに向かしましたが、最近お疲れのダルフ様に悪い気がして朝まで寝かせておくことにします。
迷宮内のモニターの映像を見ましたが不審な点は見られません。
聞こえているのは私だけだったのかもしれませんから、起こさなくてよかったです。
しばらくして音も聞こえなくなりました。気のせいだったのでしょう。
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ダルフ様が『迷宮の一室から異様な気配がする』と言いあの宝物庫とこの部屋を繋げました。
私も繋がれてから気づきましたが、不快な匂いとおぞましい程の気配を感じました。
『出てきちゃダメよ?』そう言われ自室に待機することにしました。
(略)
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どうやら私にも進化仲間が出来たようです。
今回初対面となりましたが、彼女はダルフ様と似た容姿していました。
たぶん、迷宮の主であるダルフ様に似てしまうのは、ダルフ様が迷宮の創造主.....親のような存在だからかもしれません。
しかし、とても可愛らしい方ですね。性格は別ですが。
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私は彼女を聖ちゃんと呼ぶことにしました。聖ちゃんには私の声が聞こえるらしく、私は舞い上がってしまいました。
ダルフ様に言いつけられて一緒に行動することになった私の役目は、『第一層の階層主の部屋の前まで聖ちゃんを【認識障壁】で隠すこと』でした。
確かに私は、障壁系の魔法は得意ですけど.....なぜ、隠す必要があるのでしょうか?あと、聖ちゃんがインナーの姿のままですけど、ダルフ様の趣味でしょうか?危ない趣味は辞めさせなければなりませんね。今度ダルフ様を怒ることにしましょう。
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階層主の部屋の前には、ダルフ様がいました。二人の話を聞いて私は納得しましたが、ダルフ様、強行策ですか.....私は誰も見られないように沢山の障壁を張り、終わるのを見守りました。
お互いが怪我をしないかハラハラでした。
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なんということでしょうか!ダルフ様は手加減をせずに聖ちゃんを殺したそうです!!ダルフ様は自身の実力を考えてほしいものです。あと、聖ちゃんはもう少し慎みを持った方がいいと思います。
負けた聖ちゃんは、再び転送されましたが、数分で帰って来てしまいました。頭を抱えるダルフ様は、聖ちゃんの監視とサポートのため、私に少しの間一緒に行動することを命じました。
私も持ちうるすべてを使って聖ちゃんを『まとも』な騎士にしてみせます!
(略)
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最悪です!最低のことが起こってしまいました。
私も戦闘は始めてなのでそこら辺は聖ちゃんの方が効率はいいのですが.....まさか、ダルフ様の適当に言った『パーティーで戦うこと』という誓約のために、10歳の子供をメンバーに加えるとは!!
この子は何を考えているのでしょうか.....とりあえず、二人の少年は私が守ることにします。聖ちゃんはボコボコにされて反省すればいいと思います。
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勝ってしまった。聖ちゃんは正面から戦うと中々の強さの様ですが、今回はシシェル君のお陰です。
第一層の階層主は【ゼライム】5体ですので、聖ちゃんとやりあっている4体の『核』を持たない【ゼライム】を無視して、【縮地】という移動系スキルで一瞬で『核』を持つ【ゼライム】を倒してしまいました。10歳なのに上位スキル持ちとはすごいですね。これにより、聖ちゃんと戯れていた【ゼライム】も消えていきました。
聖ちゃんは彼らの声も聞こえていたようで、『アステリアちゃんペロペロしたい、と言ってたがそんな名前の奴なんて私は知らんぞ?』と言っていました。
聖ちゃんよくやりました!!あと、自己紹介したでしょうが!?口を思いっきり引っ張ってやりました。宝物庫には薬草が一束ありました。聖ちゃんは不満そうです。
(略)
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ついに、こんな凸凹パーティーで2層の階層主の部屋まで来ることができました。基本的に第2層は死体系のモンスターばかりですが、ついに聖ちゃんが活躍をしたのです。
聖ちゃんはパラディンというのを理解していたようで私、嬉しいです。聖ちゃんが【ゾンビ・ドック】や【ゾンビ・スネーク】などを相手に、光属性魔法【クロス・レイ】を使ったときは、涙が出るかと思いました。あと、彼らの会話を聖ちゃんが教えてくれるのですが......本当にそう言っているのでしょうか?不思議です。『今日俺、塩味で肉食ったら体が暖まってよ』『寒い日はそれに限るわ』とか言っているらしいのです。解せません。
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2層は、オドオドしているナエト君には、さすがに早すぎるようで、おっかなびっくりに私の服を掴んで離しませんでした。
私も守ることしか出来ませんのでいいのですけど、勝ち気なシシェル君が、肩を並べるように立つ人物に尊敬の眼差しを向けているのですけど、その方がボスなんかより問題があるように感じてしまいます。
階層主の【ゾンビ・ナイト】見た目は骸骨剣士で、戦い始めるとこの部屋に散らばる腐肉を体に纏う戦い方をしますので、先に部屋全体を浄化すれば脅威ではないのですけど....パッパと聖ちゃんに浄化をして貰おうとしましたが、聖ちゃんは【ゾンビ・ナイト】と会話をしていてする気なしです。
『私は【ブラック・パラディン】の黒木聖だ』
『.......』黙っているように見える骸骨剣士。
『ああ、死力を尽くした真剣勝負だ!』
『......』剣を抜き構えを取る骸骨剣士にぞぞぞぞと腐肉がついていきます。
『いざ、参る』対抗するように鞘を投げ捨て、剣を構え向かっていきました。
という会話がありまして、浄化を断念して、聖ちゃんが勝つのを待つことになりました。
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剣技は拮抗しており、お互いが本気でぶつかっているようでした。ただ、剣の性能でどんどんと聖ちゃんが有利になり、勝ちが見えてきたとき、私はつい介入してしまいました。
だって聖ちゃん突然剣を投げ捨て殴り掛かったのですよ!?【ゾンビ・ナイト】も突然のことに唖然としたと思います。私が【ゾンビ・ナイト】の体の集中線辺りに障壁を割り込ませ、【ゾンビ・ナイト】の体を真っ二つに引き裂いたのです。
ナエト君とシシェル君はポカンとしたあと、出てきた宝物庫に嬉しそうに駆けていきましたが、聖ちゃんは、私に詰め寄りグチグチと文句を言ってきました。
『あいつが貴様の力で勝つのではない!その剣の性能のお陰だ!というから私自身の力を証明しようかと』
そうですか、でも、それをした場合、聖ちゃんは負けていたことが分かっていないのでしょうか?取り合えず誤魔化し、宝物庫に向かわせました。そしてその宝物庫は、いま冒険者の中で大人気の宝物庫でした




