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迷宮深部の偽宝箱《トレジャー・ミミック》  作者: 流水一
第二章『迷宮の挑戦者達』
13/75

第十三話=level:92

評価・感想・ご意見・指摘・ありがとうございます。こんなに沢山の人に見られるなんて恥ずかしいじゃないか!あと、どうやら私の【言語】スキルの熟練度が低いせいで読みづらいと思いますが、でも、まだEXPが低いだけだから、その内きっと。(震え声)

「え?どうって......すごく、変ね」


そう言うのは俺の周りを一周じっくりと見て回ったダルフだ。

創作モノでよくある、ちょっとアレな言葉が俺の頭に浮かんできたが、まぁそれは言わないか.....

でもなぜだろうか!?今の言葉を当て嵌めると、言われた方は死ねると思う。

実際、そういう情事の中で自信満々に聞いといて、よく観察されたうえ、今の発言をされたら俺なら死ぬね!!

来世でも引っ張るかもしれん。


「ドラゴンなんて、私の迷宮に居ないから余計変よ?」


マジで!?なんで居ないんだよ!!

俺が知ってる冒険ゲームでは迷宮のボスはドラゴンだったぞ!

激強の!!ただ、そのドラゴン以降はドラゴンより強いレベル帯なのに、感覚的にはこのゲームで一番のボスは?と聞かれたとき序盤のドラゴンと言えてしまえる所が謎なゲームだったが......

つまり、あれだ、ドラゴンから手に入る剣はつおい。

ってことだ!

手に入るものにワクワクするような外観。

そのイメージで着せ替えたのに、ドラゴン居ないのかよ!!


「それに、そんなにデカイ頭蓋だと、古龍系統じゃなきゃ居ないわね......」


俺の目の前に立ち、考える素振りを見せるダルフ。

古龍?あれか?飛び道具を打ち返してくる連中か?

いやいや、それはゲームの話か.....


ダルフは両手の人差し指と親指でフレームを作ってこちらを覗き込んでいたが、何かに気づいたようにハッとした顔をしていた。


「って、そうじゃないわ!私の話を聞いてよ!」


暗鬱とした表情になり始めるダルフを見て俺は思う。

......まじで?

また、上司の糞長い話に付き合わされるの?


俺は上蓋をあげて『反対運動mark2』を掲げようとするが.......

ちょっ、そこに腰掛けられると蓋開かないんですけど!?


ダルフは、俺のおニューのボディに腰を下ろしていた。

今の俺の形状は『ドラゴンがくわえている宝箱』としか言いようがない。

大きなドラゴンの頭が、ガッチリと俺、つまり宝箱と組合わさっている。

今までは、どこにでもあるシャープなアーチを作るカマボコ型の上蓋だったが、今度は開こうとすると牙が鋭いドラゴンの上顎が上がり、見た目口を開けたドラゴンのようになっている筈だ。

当然下にもドラゴンの下顎があるから、もし開けて俺を覗き込むとドラゴンに半分喰われた感じに移るだろう。これにも当然仕掛けを施しておいた。

でも今はーーー。


「でね、迷宮へ来る人が増えるってことはさ.....私の力の源である『知名度』が上昇していることでしょ?それは分かるんだけど、折角増えた力をね、なんで迷宮管理に使わなければいけないのよ!そもそも、私ってここのトップでしょ?ということは仕事なんかあれよ?部下に任せていれば良いのに、なんで私が自ら迷宮の宝箱の詰め替えなんてやんなきゃなんないわけ?可笑しいと思うでしょ?『そうは言っても、最初にやりたいと言ったのはダルフ様ですよ?』って言うわけよ!そうだけどね?そうなんだけど!でもさ、そんな3000年も前の事持ち出さなくても良いでしょ?私だって言い返したわ!それなのにあの幹部連中はーーーーーーー」


あ、始まったわ.....俺寝ててもバレないんじゃないかな.....

でも、機嫌をさらに損ねると大変だしな。

前世で父さんが言っていたけど、会社で社長の機嫌を損ねると辞めさせられるらしい。

つまり.....これ以上損ねられて、俺のせいじゃないのに、俺にとばっちりが来ることは避けなければ!!

「でも、俺今、返事も何も出来ないマジで箱そのものなんですけど.....」

とりあえずそこ退いて貰えません?相づちも出来ねーよ!!

俺の上蓋に腰掛けて雄弁に語る上司にそのような念を送る。


俺に腰掛ける上司。

つまり臀部が乗ってるわけだが......

どこら辺?と言われたらそうだな、ドラゴンの目の間くらい?

おれ自身の大きさをちょっと小型化したからサイズは40×60cmでt=50cmって所だ。

作ったドラゴンヘッドに飲み込まれるくらいだからな。

しかし、残念なことに、臀部の感覚なんて俺は感じられなかったよ!くそ!なんで俺の触覚器官が舌しかないんだ!

こんな所で手がない弊害があるとは抜かったぜ....

いつかは触りたかった、胸の感触とか、太股のむにむにとか、手がないから感じられないじゃないか!

と、いうことはだよ?俺に出来ることって....


「これじゃ、ペロペロしかできないじゃねーか!!」


ペロリストになるしかないのか.....


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。


「だいたい、アンタの仕事と私の仕事じゃ魔力消費私のが多いんだし、少しくらい休んだって良いでしょうが!そもそも、あいつらの階層までまだ冒険者来ないんだから、少しは私を手伝いなさいよ。でね、そういうと決まって言うわけ『荷が、重すぎますよ!ダルフ様ぁ。』って、何言ってんだか、ちょっと混雑している迷宮層に行って、バレないように十数名刈ってくるだけで良いのよ?簡単じゃない!離れた所から『呪術符・黒雷』を打ち込めばイチコロでしょうにーーーーー」


あれ、俺もバカなこと考えて時間が過ぎるのを待ったけど、時間経ってなかった?

おかしいな.....もう4時間は話してるんだけど.....気のせいかな?


いまだに俺を椅子扱いしている上司のダルフは愚痴を吐きまくっていた。

尽きないのか?いい加減にしてほしい。

そして何よりも恐ろしいのがーーー。

「こんだけ話して繰り返し同じ話をしないことが凄いな」


繰り返し同じ話をされると聞く気も無くなってくるが、それがないのが唯一の救いかもしれない。

それに、

「こんだけ不満を溜め込むなんて、上司.....大変なんだな.....」

同情を禁じ得ないな。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。

あれから、1時間経った頃段々と落ち着きを取り戻し、纏っていた暗鬱とした圧力が消えていく。

とりあえず、要約すると、


知名度が上がったことで深層域を除いた階層での利用者が増加した。

一番酷いのが中層域でボス部屋の前で順番待ちをしていたりする。

並び列は3時間とか.....○Qじゃないか!!

そして、一番の問題が昔から請け負っている仕事である迷宮各地に点在している宝箱の詰め替えだ。

全階層を『一人』でやっているらしい。

今までは問題が無かったが、最近の増加傾向で仕事が減らなくて、イヤ気がさして、空のまま数個各階層の設置ポイントに送っていたら、幹部全員に呼び出しを喰らったとか。

その幹部会にて、当たり障りの無いように『ネチネチ』と言われ、切れて飛び出てきたらしい。

幹部は全部で5人いて、その内の.....話的に女の人だと思うが、彼女に言われたのがデカイ様だ。

それにしても、上司なに偽造してんの?って問い詰めたいが......よくよく考えたらここって迷宮じゃん、上司間違ってないわ。なんで全部に入れなくちゃなんないんだ?開けた時、空でも文句はない筈だ。だって、俺ら慈善活動じゃないからな。

程ほどの餌でいいと思う。

一人から聞いた意見を鵜呑みにしたくないが......幹部大丈夫なのか?


「まったく.....ふう」


ダルフは満足したのかやっと俺から退いてくれた。


「無理矢理聞かせちゃったけどごめんね。アンタといると話しやすいのよ」


「おい、どういう事だ、詳しく教えて貰おう」

それはあれか?俺が口を挟めないからか?喋りきれるからか!?


しかし、俺の声が届くのは【ブラック・パラディン】の黒木さんのみ。

故に聞こえていない。


苦笑いのダルフにはもう暗い雰囲気を感じなかった。

俺も部下として話を聞くだけだが、力になられたのなら良かったよ。


突然機械音が鳴った。

初期設定のガラゲーのメール着信音みたいな音だな。


ピピッ!ーーー


音源はどうやら、ダルフのようだ、目線を空間に走らせる。


「あら、ついに二層のボス部屋まで来たのね....黒木さん」


「!?」


なんだと、それは本当か!

どこにいるか知りたかったんだ......て、2層?


【もう、何日も経つが.....2層?】


俺が掲げたプラカードを読んだダルフは何故か遠くを見つめる。


「もう、純粋にこの子には頑張って欲しい.....」


「は?どうしたんだ?」

あんだけ絶対に服着せてやるって意気込んでいたのに.....


【なにかあったのか?】

「いえ、大したことはないわ......ただ」

【ただ?】

「ここまで来るのにもう6回やり直していると言えば分かる?」


......うそ、だろ。

だって、そいつ進化した【ブラック・パラディン】だぞ?

俺が渡した剣持ちだぞ?


一体なにがあったのか、詳しく聞きたい。


「あ、もう、ボス戦するみたいね」


そういって俺の上にまた座り、空間に迷宮主しか持っていない独立監視映像が展開される。

俺の上に座った上司に何か言うのを諦め、映像に視線を向ける。


そこに映ったのは、第2層の階層主と対峙する3人組のメンバー。

一人は顔で分かる.....黒木聖だ。

ちゃんと服を着ている.....でもなんでボロボロなんだ?

そして、メンバーにいるのは.....


「子供?」


「あ、また助けられてるわねあの子」


そういうダルフは一体誰の事を言っているのだろうか.....

まぁ、とりあえずは様子を見るか。

勝ち気な少年とオドオドした少年にダンジョンモンスターである黒木聖を加えたデコボコメンバーに対するは身体が薄れている骸骨剣士。


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