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迷宮深部の偽宝箱《トレジャー・ミミック》  作者: 流水一
第一章『迷宮の復讐劇』
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第一話【偽宝箱】=level:51

はじめまして、またはおひさしぶりです。私自身趣味丸出しの『私による私のためだけの小説』のつもりだったのですが、読んでくださった皆様には訳が分からない展開ばかりだったのかもしれません。

ご意見や感想などでそう言われ、ありがたい限りです。そこで、折角なのでなるべく変えていこうかと、文章力とか色々ありますが、そういうのも含めての現状ですので、楽しみにしてたのに!糞だ!とかの意見でも『このお話に期待してくれてありがとう』と思うほどのポジティブな作者ですので真摯に意見もどうぞ!では、再び第一話!!

宝箱.....それに詰まっているのは希望なのか、それとも絶望なのか。開けるまで判断できないものだ。

金縁に赤い塗装。

綺麗な堀込。

中央の光すら通さない鍵穴。

鍵穴に入る鍵はきっと特注品で、それすらも豪勢に宝石の類いが使われているのだろうと勘潜ってしまう。

台座は大理石のようにツルツルとしており、その上を歩くとコツコツという音が聞こえそうだ。

聖剣が刺さっていても不思議ではない段々になった台座の頂点にその宝箱があった。


部屋の広さは30×30の正方形。

上下左右に魔力結晶石.....魔素を用いて光を発する燭台の仄かな灯りが部屋全体を照らしている。

心もとない光は、しかし、この場を埋め尽くさんばかりに溢れ返る剣や盾、鎧に杖、槍に杯などキラキラと輝きを持った品々を捉え、反射されさらに光を強めている。

光源が少ないこの部屋で持っても、手を翳してしまうほどのキラキラとした光が目を刺してくる。


重厚な扉が重さを感じさせる鈍い音を響かせ両開きに開き始めた。

開いていくドアは内開きで押し込まれるほど、山積みになった剣や宝石が崩れていき、開き掛けたドアの向こう側までコロコロと赤い結晶やら緑色の塊などが転がりでた。


ドアの開ける動きが止まり、両開きのドアから顔を出すのは、金髪碧眼の女性と腕の付け根を押さえる少女、さらにその後に続き、十代後半に見える騎士甲冑の青年。


「.......ぉお!」


彼らの声は感嘆に包まれていたが、まずは仲間を安全なエリアに移さなければならない。

そこで、青年や金髪女性が補助しつつ5名の重傷者をここに招き入れた。

これにより、迷宮の恩恵.....またの名を『魔精のきまぐれ』を受けれるようになった。

恩恵とは、現在の位置、迷宮の階層主を倒した後に限定で行くことができる宝物庫で効果を発揮する死亡者転移蘇生陣である。

この転移陣は常に待機状態で展開されている。

部位欠損したものは意識を失うことで発動し、生命の停止が確認されればそちらも強制的に発動する。

しかし、これで『なかったこと』に出来るのは己の肉体のみだ。

つまり、服、装備、手に入れたものすべてを置き去りに、裸でこの迷宮の入り口に飛ばされてしまうのだ。

これによって、迷宮の宝物庫における冒険者の死亡数は極端に少ない。

少ないが、出ないわけではない。

この恩恵にあやかれるのは、そもそも、階層主を倒して部屋に入ったものだけだ。

階層主に殺られたらり、勝ったが部屋まで行かず力尽きたらそれまでだろう。


今回も冒険者は下手をしたら死んでいたと思われる重傷者がいる。

一番の重傷者は腕を付け根から失った少女だろう。

少女は、腕の付け根から未だに血を流している。

洗い息を吐きつつ、痛みを堪える少女。

5名の呻いているだけで身動きが取れない彼らとは違い、立ったまま何かをぶつぶつと唱えていた。

片手で押さえていた位置から発光する小型な魔方陣が表れ、どういう原理かは分からないが止血しているようだ。血が止まったのかふらつきながらその場に座り込む。


「サレアナ!?これを見てくれ!」


青年の声は、部屋の中に散らばる何かの薬品が入った小瓶に指をさし、遠くで、財宝の山に手を突っ込んで崩しているサレアナと呼ばれた女性に問い掛けた。

サレアナが駆け寄ってくる。


「どうしたの?」

「これは回復薬じゃないのか?」


渡された小瓶を指で挟み透かすが、サレアナは首を横に振るう。


「だめよ、これは分からない.....間違えるわけにも行かないから試せないわ」

「じゃあ、俺を試しに!」


青年はチラチラと5名の重傷者......のそばで腰を下ろしている魔法使いの少女に視線を向けていた。


彼らの状態はどっこいどっこいだ。

段々と衰弱していく彼らが目に浮かぶのだろう。

青年は焦りからかイライラしているようだった。


「落ち着きなさい、大丈夫よ、これだけ財宝があれば......」

「そう、だな!急いで探すぞ!!」


二人は財宝の山を掻き分け、中心に進んだ。


そこには誰がどう見てもひとつの答えしか出せないものがあった。

そう、豪勢な『宝箱』だ。


ごくりと息を飲む二人は、顔を見合わせこの宝箱に最後の希望を託す。

折角、迷宮深層域まで来たのだ、全員でしっかりと帰還したい。

メンバー全員は、階層主の部屋の入り口でそう言った約束をしたのだ。


サレアナは鍵を探しに宝石の山を崩しにかかった。

青年は自らが持っている、【罠外し】スキルを用いて、大きな鍵穴に細い棒を二つ突っ込み、ガチャガチャと弄る。


ーーーガチャッガ!!


「おし!」

青年はなにか手応えを感じたようで、手の動きがゆっくりと、でも、スムーズに開けていく。

直にカチンっという軽快な音が聞こえ、解除されていることを確かめながら、ゆっくりと持ち上げる。

ぎぎぎーーー。

「ん?」

青年は開けたハズだが、蓋を開けたら、今度は一回り小さい箱が出てきた。

鍵穴は同じ大きさだ。

下手に持ち上げると危険だと【直感】スキルが教えてくれた。


今度はどういうタイプなのか見て回ってると、サレアナが近づいてきて青年に声を掛ける。


「私は.....MPはないけど包帯が巻けるからあっちに行くわ」

「ああ、任された」


サレアナは鍵を探すのを諦め、呻き声をあげるメンバーの元に看病にいった。

青年は振り向きもせず真剣に箱と向き合っていた。


「変わったことは、ねぇーな」


そこら辺も青年は確かめた、今度はスキルでの異常を感知しないかと思い、色々とスキルとセットしては発動させていく。

発動スキルはセットしなければ使えず、人種は多くても同時にセットできるのは4つまでだ。


しかし、やはり、なにもないようだ。

青年は慎重に宝箱の中にあるこがらな宝箱に手を入れてた。

すると、血の気の引く感覚に手を引っ込める。

「あ、っぶね」


中の宝箱に触れようとしたとき、キラリと輝く銀線が見えるではないか.....

その糸を辿り、わざとその辺に転がっていた短剣で触れてみると軽快な音と共に小さな箱から飛び出るトゲのようなもの。

黒い液体を滴らせ、じゅぅーーーと溢れ堕ちた場所は毒々しい煙を発生させていた。

そんなトゲには本能的に危機を感じさせる。


どうやら、一回発動させるとそのままな一発限りの罠のようだ。


今度こそ、箱に手をかけて、開いていく。


そこにあったのは......





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