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Blu Azzurro  作者: ヒッキー
1章
9/26

9話目 勝負と魔法と配分変更

 すべての話のサブタイトルを○○と○○と○○に変えました。サブタイトルはこれで固定したいと思います。

 とにかく、状況はやばいけどやるしかない。ということで、かなりぎりぎりの戦いを強いられている。


 どちらか片方を倒せれば楽になるから倒したいのに、この魔獣はやけに硬い。さっきクリーンヒットしてもほとんどはダメージが与えられてるように見えなかったし、一撃必殺はたぶん無理。こうなったら軽い打撃を与えつつ、2匹共の注意を引き続けるしかない。


 ずっとは無理だけど、ソラくんたちが助けに来てくれるまでは持つはず。


「ていっ!」


 とにかく魔獣たちを軽い打撃で牽制していた。機動力ならこちらに分がある。なら、こっちに意識を切らさないようにして、意識を切ったら一気に攻めて無視できないようにする。


 そういえば、ヴィーちゃんって大丈夫なのだろうか? あたしが気を使ってなんとかなるようなパワーの敵をまかせちゃったけど、もしかしてフォローに行ったほうがいい?


「ぐぉあ!!」


 後ろから魔獣の鳴き声が聞こえた。ちらっと見るとヴィーちゃんが魔獣に槍を刺そうとしたみたいだが、槍は魔獣の皮膚に止められていた。そして、魔獣が大きく振りかぶる。


「あぶない!」


「雷装填」


 そう叫んだが、ヴィーちゃんは無表情のままそう呟いた。すると、ヴィーちゃんの持っている槍の先が青白く発行し始めた。


「放て雷撃、槍の型を持って貫く一撃」


「がぁっ!」


 魔獣も警戒してか少し下がった。


「遅い、【サンダースピア】」


 しかし、ヴィーちゃんの槍の先から青白い光が槍の形で発射された。それは下がった魔獣の肩を貫いた。


「えっ、っと!?」


 突っ込んできていた魔獣の攻撃を受け止めて、何とかはじき返した。なんかそれがうまくもう1匹の魔物にもぶつかって、2匹そろって転がっていった。


 あたしは少し下がる。


「あれって、魔法?」


 後ろを振りかえらずヴィーちゃんに聞いてみる。


「……そう」


 ヴィーちゃんも魔獣をうまく離せたらしく、こっちによってきた。


「あれってもしかして、レオから?」


「そう」


 なるほど。あれを教えてもらったならレオが魔法大学校出身なのを知ってるのも納得できる。


「それにしてはおかしいな」


 ずっと見ていたノエルさんが口を開いた。いつのまにかティファニー様を中心に円が書かれている。中にはいろんな言葉みたいなものや図が書かれてるけど、よくわからない。


「魔法を発動する条件はさっき君が【サンダースピア】を使ったように呪文を詠唱するか、このように魔法陣を書く。【シールドウィング】」


 魔法陣が光る。けど、それ以外は特に何も起こってないように見える。でも、気を使うとなんとなくわかる。魔法陣の一番外の円から何かが出て、魔法陣をドームのように覆っている。


「だが、ヴィライエさんの最初の魔法。雷装填は詠唱もなかったし、魔法陣も書かれていなかった」


「? 先に槍に書いてたとかじゃダメなんですか?」


 魔法陣を先に書いて、好きなときに発動できればそれで問題ない気がする。


「魔法陣は書いてから時間がたつと使えなくなるんだ」


「へぇ~」


「属性装填自体は属性魔法を使う前によく使われるからおかしい点はない。しかし、だからこそ詠唱もなしにどうやって使った」


 ……なんかノエルさんが少し怖い。いや、怒ってる感じはないんだけど、目が真剣すぎて怖い。


「…………」


 ヴィーちゃんも何も答えない。ちょっと重い空気が流れる。


『配分変更』


「「「!?」」」


 突然、どこからともなく声がした。すると、さっきまで戦っていた魔獣が変貌し始めた。


 さっきまで筋肉質で巨大だった体は筋肉が少し落ち着き、さっきよりも細くなった。しかし、ただ細くなったという雰囲気はない。無駄な筋肉をすべてそぎ落とした感じがする。


『完了』


 ガッ!!


「えっ……」


 速い!?


「くっ!」


 何とか防御したけど、勢いで数m吹っ飛ばされて着地した。気を使えてなかったら、間違いなく防御なんてできてない。それだけのスピードだった。


「雷装填」


 ヴィーちゃんの槍がまた青白く光り始める。


「放て雷撃……」


「ぐおっ!」


 ヴィーちゃんが魔法を詠唱しようとする。しかし、それを止めるように魔獣が1匹突っ込んできた。


「あぶない!」


「槍の型を持って貫く一撃」


 しかしヴィーちゃんはそれを軽くよけて槍を構える。


「【サンダースピア】」


 槍の先から青白い槍が出る。しかし、魔獣はそれをすごい速度でよけた。


「っ!」


 ヴィーちゃんはそのまま突っ込んでくる魔獣を横っ飛びでよけた。


 あたしとヴィーちゃんはいったんノエルさんの近くまで戻った。


「すごいスピードが速いね」


「……サンダースピアは出もスピードもかなりなのに」


「ヴィライエさんは近接戦用の魔法は持ってないんですか? あの速度だと近距離で勝負しないと間に合いませんよ」


 ノエルさんがそんなアドバイスをくれた。あのスピードに遠距離はやっぱり不利だよね。


「雷装填」


 ヴィーちゃんの槍の穂先がまた青白く光る。


まとえ、展開」


 しかし今度はあの槍型の雷は出ず、槍の穂先の周りを纏うように青白い雷が出てきた。


「威力補助だけど」


 これでヴィーちゃんもとりあえず近接戦闘ができるみたいだ。


「私も参加しよう。防壁があればすぐに壊されることはないだろう」


 これで3対4。これならどうにかなるかもしれない。


「うごあっ!」


 今度は4匹が同時に突っ込んでくる。あたしはその1匹とぶつかる。


「はっ!」


 勢いがあったから最初は重かったけど、止めれたらそんなに重くない。


「ていっ!」


 この調子なら防御も下がっていると思ったけど、そこはスピードで回避される。


 ほかの3匹はヴィーちゃんが1匹を、ノエルさんが絶妙な距離感で2匹を相手にしてくれてる。これなら1匹に集中できる。


「はっ!」


 とにかく小さく振ることを意識する。当てれば何とかなるかもしれない。


「うがあっ!」


 しかし、当たらない。やっぱり速い。


「こうなったら……」


 あたしは走り始めた。どんなに速くても、移動している相手を狙うのは難しいはず。


「……」


 予想通り、魔獣は少しだけ動きを止めてこっちの動きを注視した。そこで、あたしは止まる。当然、魔獣はその隙を狙って突っ込んでくる。

 しかし、あたしは止まってさらに横へ跳んだ。そしてあたしが元いたところ、魔獣が飛び込んでくるところに合わせて棒を振った。


 ガッ!


 とらえた!


「うがぁっ!!」


「え?」


 うまく当たった、でも当たっただけだった。簡単に吹っ飛ぶと思った魔獣は吹っ飛ばなかった。


「がっ!」


 そして、思いっきり殴られた。上から思いっきり。かなりの衝撃で、あたしは倒れる。


 あたしは勘違いしてた。魔獣はスピードが上がった分、攻撃力も防御力も下がったのだと。しかし、違った。下がったのは攻撃力だけで防御力は下がってなかったんだ。


「ごあっ!!」


 魔獣は容赦なく追撃してくる。上から連続で殴りかかってくる。体重のかかった重い打撃が何発も何発も。


「がはっ!!」


「シャム……くっ!」


「シャムリアさん! くそっ!」


 ヴィーちゃんやノエルさんがこっちに向かおうとしてるけど、魔獣が邪魔でうまく近づけてない。さすがに、ピンチ……


 ドクンッ!!


「っ!」


 また体の奥から大量の気が流れてくる感じがする。そして、視界に少しオレンジ色が見える。


「いっ、やだ!!」


 思わず気を押さえ込もうとする。一瞬しか押さえ込めないとわかっていながら、恐怖から無理やり気を操作して押さえ込もうとする。


 しかし、その一瞬がいけなかった。


 その一瞬で魔獣の攻撃は十分に届くとわかった。わかったけど、よけられない。


 あたしは目を閉じた。しかし、衝撃は襲ってこなかった。目をゆっくりと開けてみる。


 最初に目に入ったのは夜空みたいな髪だった。そして、銀色の剣。


「大丈夫?」


 そこにはソラくんがいた。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






 現れたのはかなりイケメンの男性だった。金色の長髪にパッチリした碧眼。整った顔立ちにきらりと光る白い歯。まさにテンプレと言っていいほどのイケメン。わかりやすいイケメンだった。


「……誰?」


 簡易的なよろいに一本角の生えた馬のマークが付いてるから騎士団の人間だというのは予想できたけど、一応確認を取っておく。


「私はキルリア・セルディート。よろしく」


 きらりと白い歯を見せて握手を求めてきた。左手で。


「……」


「冗談だよ」


 睨んだらあっさり両手を挙げて降参のポーズをとってきた。


「で、どういう状況なんだい?」


 味方みたいなので現在の状況を説明する。


「……なるほど。君はどういう予想をしているんだい?」


 なんか、話し方がいちいちむかつく。


「……わかりません」


 そう言っておく。こんなことができる技を知ってはいるけど、もしかしたらできる魔法があるのかもしれないし、細かいことを説明させられるのも面倒だ。


「そうかい」


 聞いてきたわりに追求もせずあっさりしている。そういう性格?


「周りを探すんだ! おそらく魔法陣をいくつか利用して空間を隔離している! 魔法陣を見つけ次第破壊するんだ!!」


『は、はいっ!』


 兵士たちは見事に全員が敬礼した後、2人1組で周りに散らばっていった。さっきまでの統率のなさが嘘みたいだ。


「あ、君はここに残っておいてくれ」


 とりあえず僕も探しに行こうと思ったら、止められた。


「君には空間にほころびができたら私と飛び込んでもらう。中で何が起こっているかは分からないけど、おそらく戦闘が行われているだろう。そこを制圧してほしい」


「……わかりました」


 あまり制圧は得意じゃないんだけど、シャムやヴィーも気になるし頷いておく。


 しかし、入れるようになるまで2人きりなんて、面倒だなぁ。


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