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Blu Azzurro  作者: ヒッキー
1章
8/26

8話目 雑談と緊張と急襲

 ……またやらかしちゃった♪マジですみません。予約投稿使えばいいんだけど、個人的にあまり好きじゃないので許してください。

 これからも日曜日に更新は変わりません。よろしくお願いします。

 まさかのまさかすぎる展開がやってきた。もちろん、ギルドに入ってからティファニー様の護衛ができないかな、なんて夢を見たことは何度もある。でも、でもだよ……


「本当に来るなんて思うわけないよ」


「どうかしました?」


「な、なんでもありません!」


 出発から約1時間。すでにあたしはいっぱいいっぱいだった。ライブでティファニー様の歌を聴いて、お姿を拝見するだけで次の日に眠れなかったあたしにいきなりこの距離は、厳しい!


「やけに緊張しているみたいですね。もっとリラックスしていいんですよ」


「いきなり姫様の護衛なんて、緊張しないほうが無理」


 いつもと同じ無表情でヴィーちゃんはそう言ってる。でも、まったく緊張してないように見える。声もいつも通り平坦だし。


「すいません。先に知らせることができればよかったのですが、どこから情報が漏れるかわからないためお伝えすることができず。しかし、姫様の安全を最優先にしなければならないため、どうかご配慮ください」


「……それはわかってる」


 でもやっぱり、ノエルさんと話すときはちょっと機嫌が悪い。


「そうだ! せっかくだから自己紹介しましょう。私はティファニー・シュトレゼウム。よろしくお願いします」


 自己紹介するティファニー様も可憐だなぁ。


「……ヴィライエ・ミランデルト。Bランク。よろしく」


 ヴィーちゃんはいつも通りな感じであいさつする。ほんとに緊張しているのかな?


「ヴィライエさんですか。よろしくお願いします。次はあなたの番ですね」


 そう言ってティファニー様がこっちを見る。


「え! あの……」


 ここは度胸をきめるしかない。……よし!


「あたしはシャみゅ……」


 ……噛んだ。このタイミングで噛んだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!! なんでこのタイミング!? どうでもいいタイミングでめったに噛まないのになんでここ!!? もう駄目だ。もうどうしようもない。


「ふふっ」


 ああ、ティファニー様も笑ってる。もう終わりだ。あたしは大きく肩を落とした。


「もっと落ち着いてください」


「え?」


 ティファニー様が笑顔でそう言う。


「私も昔は公務やコンサートで何回も噛みました。でも、そんな時は落ち着いて、もう1回言いました。あなたもそんな風にしてみてください」


「で、でも……」


 こうなったらヴィーちゃんに紹介にしてもらったほうが……


「私はあなたの口から自己紹介を聞いてみたいです」


 ティファニー様はあたしの考えを読んだように先回りした。いやな顔なんて全然せず、あたしがもう1回言うのを待つように見てくれてる。


 あたしは大きく深呼吸をした。極力、ティファニー様を意識しないように、いつも通りを意識する。


「……シャムリア・スフィアライトです。ランクはD。よろしくお願いします」


 ……言えた。言えた!


「シャムリアさんですね。よろしくお願いしますね」


 ティファニー様が笑顔であたしの名前を呼んでくれた。


「妹がいたらこんな感じなんでしょうか」


 え? い、妹?


「私には姉は2人いますし、妹はいないんです。それに、仲のいい友人たちもなんとなく私を妹のように扱ってたので。なんとなく妹がいたらこんな感じなのかなぁ、と思っちゃいました。あの、嫌でしたか?」


「滅相もございません!!」


 むしろ、嬉しすぎて天にも昇りそうです!!


「よかった。ほら、ノエルも自己紹介」


「……ノエル・エリントンです。姫様の護衛などをする王族近衛隊に所属しています」


「もう。こんなときぐらい昔みたいにティーって呼んでくれてもいいのに」


「今は公務中ですから」


 ん? 昔みたいに?


「あの、もしかしてお2人は昔からの知り合いなんですか?」


「そうですね。魔法大学校時代からの親友です」


 ティファニー様が魔法大学校出身なのは知ってたけど、まさかノエルさんまで魔法大学校出身だったんだ。


「そういえば、レオニードは相変わらずでしたか?」


 え? さっきティファニー様の口からレオの名前がでた? 確認にヴィーちゃんの方を見てみると、ティファニー様をにらんでるから間違いないみたいだ。


「……はい。相変わらず人を皮肉ったようなしゃべり方をしながら、こっちのことを全部見透かすような目で見られましたよ」


「あの、もしかしてレオとも知り合いなんですか?」


「はい。あいつも魔法学校にいたんですよ」


 それは初耳だ。レオからそんな話聞いたことない。というか、レオってほとんど自分のことはなしてくれないんだよなぁ。


「ヴィーちゃんは知ってったの?」


「一応」


 ヴィーちゃんを確認してみると、2人を睨むことはやめていた。


 なんか、こうしてみるとあたしって本当にギルドのメンバーのこと知らないんだなぁ。ソラくんもヴィーちゃんも結構有名らしいけど知らなかったし、レオのことも知らなかったし。


「そうだ! お2人の話を聞いていいですか!?」


 ティファニー様がそう言われた。


「ギルドってどんなお仕事をしているかだいたいは知ってるんですけど、実際はどんな仕事をしているのかを聞いてみたいです。シャムリアさんはいままでどんなお仕事をされてきたんですか?」


「えっと……」


「「!!」」


 ダンッ!!


 突然、ヴィーちゃんとノエルさんが外に跳び出した。


「え?」


 あたしも一拍遅れて外に出てみる。そこに広がっていたのは誰もいないただの街道。


 まったく、誰もいない。


「あ、あれ?」


 さっきまで間違いなく周りにいたはずの兵士やソラくんもいない。それどころか馬車を引いていた馬や御者さんもいなくなっている。


「どうかしたのですか?」


 ティファニー様が馬車から顔を出した。その瞬間、後ろから何かの影が現れた。


「ティー!!」


 ノエルさんがティファニー様のもとへ一気に駆け寄った。そして、ティファニー様をすばやく馬車から降ろして抱えるとそのまま下がった。


 ガシャッ!!


 そして、ティファニー様の乗っていた馬車はその影によって潰された。


「なに?」


 馬車を壊した影は人型の生物。しかし、形が人型であるだけで人じゃない。体長2m半はある巨体で緑色の肌。目は1つしかなく、頭に角が1本生えている。


「なんなの、あれ!?」


「来るぞ!!」


 ノエルさんがこっちまで下がってきたのを確認すると、その変な魔獣がこっちに突っ込んできた。


「集中!!」


 朝やったことを思い出して体から気を出す。そして、あたしは前に出た。


「がぁっ!」


「ていっ!」


 魔獣の拳に合わせて棒を振る。当たって、お互いはじかれるような形で下がった。


 相変わらず手は少ししびれるけど、力では十分負けてない。これならやれる。


「ごぁっ!」


 また突っ込んできた。あたしは、今度は拳を避けて回りながら遠心力をつけて腹を叩いた。クリーンヒットしたし、間違いなくかなりのダメージを食らわせれたはず。


「あぶない!」


「え?」


 その魔獣はこっちを見てにやりと笑うと、そのまま力任せに拳を振り下ろしてきた。あたしは全力で地面を転がりながら回避した。


「どれだけタフなの!?」


 間違いなく倒せるような威力で打撃をお見舞いしたはずなのに、全然効いてない? そういえば、さっきぶつかったときもこっちは武器であっちは拳だったのに、痛がってる様子はなかった。


「あの熊ほど硬くはないけど、耐久力は上ってこと」


 そんなことを考えてたら、どこからともなくこのモンスターと同じやつが4匹現れた。


「くっ……」


「あなたは姫様を護ってて」


 ノエルさんも戦おうとしたが、ヴィーちゃんが止めた。1匹でも抜かれたらアウトより、抜かれてもノエルさんがどうにかしてくれるほうがたしかにありがたい。


 だけど、必然的に2対1の状況になる。それでも、やるしかない。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





「おい! どういうことだ!」


 起こって欲しくないことが起こってしまった。兵士たちがかなり近距離で護衛していたはずのティファニー姫の馬車が突然、消えたらしい。しかも不思議なことに、馬や御者だけは消えずにそこにいたらしい。


 そして、絶賛その責任を取らされそうになっている。


「お前がちゃんと見てなかったのが原因だろ!! これだからギルドのやつらと仕事をするのは嫌だったんだ」


 兵士が何か言っているがスルー。とにかく、ティファニー姫たちはどこに消えたかだ。兵士の話だと、目の前から突然消えたらしい。となると、可能性としては魔法になるのかな。でも僕はそこまで魔法に詳しくないし、それくらいここの兵士が気付かないわけがない。これでも一応、近衛隊なんだし。となると……


「くそっ! とにかくあたりを探すんだ! 早く!!」


「あ、はい!」


 とにかく、そうなると怪しいのは森の中かな。しかし、ノエルさんがいなくなるだけで隊のまとまりがやけに悪い。こうなったら、自分で探すほうが早いかな?


「落ち着け!」


 王都側から来た若い青年の声で混乱していた場は一瞬で収まった。


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