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――ソラ――
私は溜息をつきながら部屋に戻る。星を見る気なんて削がれたどころか、全くなくなったよ。
「電気つけるから」
そう前置きして、扉のすぐそばにあるスイッチをぱちん、と押す。
一瞬にして部屋が明るくなり、私は目を細める。この瞬間はいつも嫌いだ。少し頭が痛くなるし、何も見えないのはちょっと、ね。
少しして目を開くと、更に目が見開かれることになった。と同時に気付く。空色に見えたのは、夜の光に照らされたから、か。
銀色の髪。
珍しいし、とても奇麗。染めた、んじゃないよね。地毛であんな色って羨ましい。
「奇麗な髪だね」
言ったのは、私ではなく、彼――ソラ。
私は腰まである髪を指に絡めて首を傾げる。久し振りの素直な仕草。同時に他の人のところではやらない、私の癖だったりする。
じゃあなんで今やったんだろう、と考える前にまず言葉が口を次いで出た。
「そう。こんな水色の髪、奇麗なんておかしいんじゃないの」
肩を竦めて続ける。
「ソラの髪の方がよっぽど奇麗なのに」